『インド会計の簡単解説』減価償却費編

会計

皆さん、こんにちは。インド統括の小谷野です。

先日インドChennaiの日産R&Dセンターの増強をするために、エンジニア数を2倍の4000人程増やし、6年以内にMade in Indiaの日産社の製造を開始するという発表がありました。

インドでは、マルチスズキや現代、マヒンドラ社の車をよく見かける一方で、国民の平均年収も年々向上し、モールなどではベンツ始め多くの高級車も見ることができます。

こういった生活水準の向上を背景に、生産や製造工場では、様々な設備などを投資し、生産力を向上させています。こういった設備や建物の有形固定資産をインドで償却するための方法を今回はお話ししたいと思います。

インドにおいて減価償却費は、主に会社法と所得税法で規定されています。
今回は、前者の会社法で規定されている減価償却についてご紹介をしたいと思います。この会社法で規定されている減価償却方法が、通常インドにおける会計処理に使用されているものとなります。
その会社法上における減価償却は、【経済的耐用年数】と【会社法SCHEDULE XIV】をベースにしたものがあり、減価償却率が高いものが適用されると規定されています。しかし、実際は企業様の会計担当や会計士の判断によって様々となり、多くの企業は【会社法SCHEDULE XIV】を使用しています。

【会社法SCHEDULE XIV】には、Written Down Valuation MethodとStraight Line Methodが、規定されています。Written Down Valuation Methodは、日本でいう定率法であり、早めの費用計上ができ将来のリスクを軽減することにつながり、インドでは主流の償却方法となります。又、後者のStraight Line Methodは、いわゆる定額法であり、初期費用を抑え利益を得やすくなります。

Written Down Valuation Methodでは、残存価値は考慮しません。又、使用(稼働)度合いにより、1~3交代制に区別されそれぞれに会社法SCHEDULE XIVにおいて償却率が規定されています。

参考までに、WDV法の計算方法を下記しました。
取得価格10,000INR、償却率10%と仮定。
Written Down Value Method

1年目 10,000
償却率 10% ▲1,000
未償却残高 9,000
2年目 9,000
償却率 10% ▲1,000 ▲900
未償却残高 8,000 8,100

※数値に誤りがありました。誠に申し訳ありません。
又、Written Down Valuation MethodとStraight Line Methodは、共に日数ベースでの償却がされ、資産購入後に、その資産の使用又は稼働を開始した時点より減価償却をすることになります。それゆえ、もしある設備を購入し稼働を開始した後に、一時的にその資産の稼働を停止した場合も継続して減価償却の対象となります。

そして、減価償却をする上で注意をすべき点は、インドでは、既にお伝えしました様にWritten Down Valuation Methodでは、残存価値は考慮しません。しかしながら、Straight Line Methodは、全体の95%までしか償却ができないということです。つまり、残りの5%は、日本でも備忘価格が存在する様に、インドでは備忘率となります。
※赤字の部分が抜けていました。誠に申し訳ありません。

又、取得価格5000INR以下の資産の減価償却率は100%となりますが、会社法上で前述したように日数ベースでの償却が可能となります。

減価償却率や方法を修正や変更する場合は、減価償却を開始した時点へ遡及し、【変更後の減価償却費-変更前の減価償却費=当期修正対象となる減価償却費】となります。加えて、財務諸表のNotes to Accountや監査報告書上での明記が必要となります。

年々変わる経済状況の中で、生産や製造業も影響を及ぼします、その結果会計処理も様々に変化しますが、もし少しでも財務・税務・労務問わずご質問などありましたら、こちらまでご連絡頂ければと思います

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