皆さま、こんにちは。バンガロール支店マネージャーの松波優大です。
今回は、お客様よりいただいた質問より、日印間の国際取引に係るTRCの役割について、解説致します。
Q.インド子会社に対する技術支援の対価として、インド子会社から支払を受けることとなりますが、
その際に、日本法人が日本においてTRCを取得する必要があると聞きました。
このTRCの目的と背景を教えてください。
A.
今回のケースの場合、インド居住者であるインド子会社から非居住者である日本法人への支払いに該当することとなり、この場合インド子会社からの支払いはインドにおけるTDS課税取引となります。
その場合、支払を受ける日本法人がTRCを提示しない場合は、
インド所得税法第206AA条により、20%、もしくは現行法での税率のいずれか高い方でTDS控除されることとなり、
ネットの支払い金額が少なくなりますが、
両国において租税条約が存在し、かつ支払を受ける日本法人がTRC(及びPAN)を提示する場合は、
軽減税率10%でのTDS控除となります。
従いまして、ご理解の通り、もし10%でのTDS控除を適用し日本法人が日印租税条約上の恩恵を受けるためには、
支払日までにTRCを提示する必要がございます。
もちろん、TDS20%で控除されようが10%で控除されようが、日本法人が本国にて法人税を申告する際、
インド子会社より控除されたTDS分はインド子会社から納税証明書を取得した場合に限り、
外国税額控除が適用できるため、納税のタイミングでは、結局法人税額は、変わらないこととなります。
(もちろん20%控除の場合は、支払いを受けるタイミングで20%控除され、その戻りが翌年の法人税申告時となるため、キャッシュフローへの影響はございますが。)
株式会社東京コンサルティングファーム バンガロール支店マネージャー
松波 優大(まつなみ ゆうだい)
Tokyo Consulting Firm Private Limited
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