本社人事制度をインドに当てはめる②

労務

  こんにちは。Gurgaon事務所の仁井いずみ(ニイ)です。今回から本テーマについて具体的にみていきます。

 HR Policy(就業規則)
 インドでのHR Policyの届け出義務が社員100名以上となった場合です。ただしその人数は州によって異なるため確認が必要です。

 インド人は規律を好み正義感がある面もあります(実態は置いておいても)。そのためHR Policyが会社にあることは当然で、ないことに不満を持ちます。会社にとってもHR Policyは会社のルールとして社員に規律を守らせる大事なものであるため、社員数にかかわらず作成しておくことをお勧めします。

インドでは就業規則だけではなく服務規定や出張旅費規定など社員にかかわる全ての規定をHR Policyとしてまとめます。主なコンテンツは以下の通りです。

・Corporate Policies(会社理念、行動規範、セクハラ規定など)
・Employee Policies(就業時間、機密保持、解雇など)
・Compensation & Benefits Policies(有給、退職金、各手当)
・Human Resource Development Policies(評価制度の詳細)

インドに当てはめるポイント
・Corporate Policies(会社理念、行動規範、セクハラ規定など)
 理念は当然本社のものをインドでも伝えていく必要があります。加えてインドでのビジョンがあれば記載します。行動規範も同様ですがインドで起きそうな問題を回避するようなも盛り込むとよいです。チームワークをもちお互い助け合う、などです。セクハラについては今年法律となりましたので定められていることを盛り込む必要があります。

・Employee Policies(就業時間、機密保持、解雇など)

日本でいう就業規則にあたる部分です。インドでは遅刻が多いため遅刻への罰則を設けることをお勧めします。機密保持については退職後も有効とすると定めたほうがいいですが法的効力は持ちません。解雇は手順と解雇事由例を明記しますが解雇の決定はマネジメントの判断によるとの旨も記載しておきます。

・Compensation & Benefits Policies(有給、退職金、各手当)
 各有給種類の付与日数と取得ルールを定めます。通常の有給の場合は何日前までに申請が必要なのかなどです。また有給残日数の扱いを明確に定めます。特に買い取りについてです。インドでは最終的には有給残を買い取ることが慣習となっておりますので、それを退職時にするのか毎年にするのかを定めます。

・Human Resource Development Policies(評価制度の詳細)
 評価制度がある場合は、評価基準や評価のタイミングについて明記します。評価は昇給や昇格、その後の教育につながるため、HR Policyへの明記にとどまらず、評価のタイミングで説明会の開催など工夫が必要です。

 インドではHR Policyを全社員に配布はしません。会社の機密情報として扱われ社外持ち出しを禁止しています。社員への開示はイントラネットへのアップや人事部への問い合わせによって行います。その他のタイミングは入社時のオリエンテーションや改定のタイミングで開示します。

次回は雇用契約書についてです。

以上

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