
皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループインド拠点の加部 新です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「【インド進出・現地法人向け】駐在員が知らないと危険な
「ワークマン」概念 ― 解雇・労務トラブルに直結する労働法の重
要ポイント」についてお話していこうと思います。
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【インド進出・現地法人向け】駐在員が知らないと危険な
「ワークマン」概念 ― 解雇・労務トラブルに直結する労働法の
重要ポイント
1.インド労務で最も重要な概念の一つ
インドにおける労務管理において、日本人駐在員が最初に理解すべき概念の一つが、「ワークマン
(Workman)」です。実務上、インドの労務トラブルの多くは、このワークマン該当性を巡って発生すると言っても過言ではありません。
特に日本企業では、
「管理職だから問題ない」
「オフィスワーカーだから一般社員扱いではない」
「給与水準が高いから大丈夫」
という感覚で労務対応を行ってしまうケースがあります。しかし、インドでは日本と異なる考え方
が採用されており、会社側がノンワークマンと考えていた従業員が、後からワークマンと判断され
るケースがあります。
2.ワークマンとは何か
インドの労働法における「ワークマン(Workman)」とは、主に手作業、熟練・未熟練作業、技術
・事務作業等に従事する労働者を指し、法的に手厚く保護される対象カテゴリーのことです。具体
的には、Industrial Disputes Act, 1947(産業紛争法)において規定されています。
ワークマンに該当する従業員については、解雇や労働条件変更に関して強い保護が与えられており
、会社側には厳格な手続きが要求されます。
一方で、ワークマンに該当しない従業員は「ノンワークマン」と整理され、比較的柔軟な契約運用
が可能となります。
もっとも、この区分は日本のように「ブルーカラー=ワークマン」「ホワイトカラー=ノンワーク
マン」という単純な整理ではありません。実際には、職務内容や裁量権限、監督権限などの実態に
基づいて判断されます。
3.ホワイトカラーでもワークマンになる
インドで特に注意すべきなのは、ホワイトカラー従業員であってもワークマンに該当する可能性が
あるという点です。
例えば、
・指示された業務を中心に行っている
・裁量権が限定的
・部下管理権限が実質的にない
・管理職タイトルのみ付与されている
といったケースでは、会社側がManagerとして扱っていたとしても、後からワークマンと判断され
る可能性があります。
実際、インドでは肩書よりも実態が重視される傾向が強く、裁判所も労働者保護的な判断を行う傾
向があります。
4.ワークマンかどうかで「解雇難易度」が変わる
ワークマン該当性が最も問題になるのは、解雇の場面です。
ノンワークマンの場合、原則として雇用契約書に基づくTermination Clauseに従い、通知期間や給
与支払いを行うことで契約終了が可能となるケースがあります。
しかし、ワークマンに該当する場合には、Industrial Disputes Actに基づく厳格な解雇手続きが必要
となります。
場合によっては、
・解雇予告通知
・補償金支払い
・政府機関への通知
・Last Come First Go Rule
などへの対応が必要となり、手続きを欠いた場合には、解雇自体が無効と判断される可能性があり
ます。
そのため、会社側としては「ノンワークマンと思っていたが、実際にはワークマンだった」という
状況が最も危険なケースとなります。
5.Labour Code改正による影響
近年のLabour Code改正においても、このワークマン概念は引き続き重要な論点となっています。
IR Codeでは、「ワークマン」に代わり「Worker」という用語が採用され、月額給与基準も変更さ
れています。もっとも、実務上の考え方自体が大きく変わるわけではなく、依然として実態ベース
での判断が中心になると考えられています。
また、2026年3月現在では、Labour Codeは法律上施行されているものの、州規則などが完全には整
備されておらず、実務上は旧法ベースで運用されているケースも多い状況です。
そのため、現時点では従来のIndustrial Disputes Actベースでの実務理解が引き続き重要となります。
6.「なんとなくManager」が危険
日系企業では、ローカルスタッフに対してManagerタイトルを付与しているケースも多く見受けら
れます。しかし、実態として権限移譲が十分になされていない場合、その肩書だけではノンワーク
マン性の根拠として不十分となる可能性があります。
特にインドでは、
・組織設計
・Job Description
・評価権限
・採用権限
・懲戒権限
などが実態として整理されているかが重要になります。
つまり、ワークマン問題は単なる法務論点ではなく、組織設計や内部統制にも直結するテーマと言
えます。
7.最後に
インド労務では、「契約書にどう書いてあるか」以上に、「実際にどう運用されているか」が重視
される傾向があります。
特にワークマン該当性については、後から争いになった場合、会社側にとって大きなリスクへ発展
する可能性があります。
そのため、インド子会社においては、
・雇用契約書
・Job Description
・就業規則
・権限設計
・Manager層の役割整理
などを、実態に即して設計することが重要になります。
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