インドにおける解雇制度の留意点①~ワークマン・ノンワークマンの違い~

労務

皆様、こんにちは、
Tokyo Consulting Firm Private Limited(India)です。

 

本日から、インドにおける解雇制度について、実務上の留意点と共に、何回に分けて解説していきます。

インドにおいて解雇の種類については、普通解雇(Retrenchment)、懲戒解雇(Dismissal)、一時解雇(Layoff)の3種類があります。

これらの解雇制度を考える上で重要になるポイントがワークマンとノンワークマンの違いになります。
対象となる従業員がワークマンである場合は、労働産業法上の解雇規制が適用されるため、留意が必要です。

この解雇規制を語る上でもまず考えなければならない点が対象となる従業員がワークマン、ノンワークマンのどちらに該当するのかという点です。

 

産業紛争法(The Industrial Dispute Act, 1947)によると、ノンワークマンとは、以下のとおりの例外規定4項目に該当する者と規定されています。

  1. 空軍、陸軍、海軍に所属する者
  2. 警察または刑務所で雇用されている者
  3. 経営者的・経営管理的な立場にある者
  4. 賃金が月額1 万ルピー以上の監督的な立場にある者

1と2に関しては、特殊な条件になるため、3と4の条件が重要なポイントになりそうです。
しかしながら、「経営者的・経営管理的」や「監督的な立場」に関しては客観的に明確な基準はなく、判例に基づいて個別具体的に判断する必要が出てきます。

判例を見ることで判断基準の材料を増やすことはできますが、実態としてはワークマンの該当性の判断は非常に曖昧なものといえます。

 

従って、実務上はオフィス等で働くホワイトカラーはノンワークマン、工場等で働くワーカーはワークマンという風に解釈するインド人の方も多くいますが、実際のところは個々の定義が非常にあいまいであり、判例によってはワークマンの定義が幅広く解釈されているのが実態です。
そのため、解雇対象の従業員がノンワークマンとワークマンのどちらか判断が難しい場合は、ワークマンと仮定して、準備を進める事が無難と言えます。

 

先ほど、ワークマンの場合は解雇規制が適用されるといいましたが、条件によって、解雇に関する事前通知や解雇の補償金等といった労働者を保護する様々な規定が定められています。詳細に関しては次回以降のブログについて紹介します。

 

本日はインドの解雇制度を語る上での重要なポイントであるワークマンとノンワークマンの違いについて話してきました。次回以降は解雇の種類別に留意点について見ていきます。
今週は以上となります。

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東京コンサルティングファーム インド・デリー拠点

田本 貴稔

 

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