SVB(Special Valuation Branch)手続の概要と実務上の留意点


皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループインド拠点の松波 優大です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「SVB(Special Valuation Branch)手続の概要と実務上の留意点」についてお話していこうと思います。

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SVB(Special Valuation Branch)手続の概要と実務上の留意点

I. SVBとは何か

 SVB(Special Valuation Branch)は、インド税関に設置された専門部署であり、関連者間取引に
おける輸入品の課税価格が当事者間の関係によって影響を受けていないかを調査・確認する機関
です。日系企業の多くは日本本社から製品・部品・原材料を調達しており、親子会社間の輸入は
ほぼ例外なくSVB手続の対象となります。
 根拠となるのはCustoms Valuation (Determination of Value of Imported Goods) Rules,
2007(CVR)のRule 2(2)であり、役員兼任・持株5%超・実質支配関係等に該当する場合は「関
連者(related persons)」と定義されます
 

なお、以下の取引はSVB調査の対象外となります(Circular 05/2016)。
・サンプル・試作品(prototypes)の輸入:関連サプライヤーからのサンプル・試作品輸入は評価目
的の商業取引ではないため除外。
・関税が完全免除の輸入:基本関税(BCD)・追加関税(CVD)・特別追加関税(SAD)がすべて無条件
で免除または税率ゼロの輸入。一部のみ免除の場合は対象外とならない点に注意が必要。
・少額取引:1件あたりの輸入品の価格が₹100,000未満であり、かつ当該取引の年度累計額が
₹2,500,000を超えない取引。・少額取引:1件あたりの輸入品の価格が₹100,000未満であり、かつ当
該取引の年度累計額が₹2,500,000を超えない取引。

 

II. SVB手続の流れ

SVB手続は輸入の初回時に開始されます。一度SVBの承認(Investigation Report)が得られれば
、その後の輸入は状況変更がない限り同一の決定が継続適用されます。

 

 

1 Bill of Entry提出と関連者申告(到着15日前が推奨)

輸入者はBill of Entry提出時に「仕入先が関連者である」旨を申告し、Annexure A(関連者申告書)を同時提出します。Annexure Aには当事者間の関係・取引価格の決定方法・価格リスト等を記載します。関連者であっても関係が価格に影響していない旨の立証材料(比較取引・コスト構成等)を添付することが重要です。

 
2 税関Commissionerによる審査・SVB付託判断(3日以内)

Annexure A受理後、税関の審査官が3日以内に取引の状況(circumstances surrounding the sale)を審査します。Commissionerは①SVB付託・暫定査定、②Rule 3確定(価格承認)、③Rule 4〜9での確定(比較法等)のいずれかを決定します。SVBへの付託が決定した場合は暫定査定(Provisional Assessment)に移行します。

3日以内
3 暫定査定(Provisional Assessment)・PD Bond

SVB付託が決定すると関税法§18に基づき暫定査定となります。輸入者はContinuity Bond(PD Bond)を締結することで貨物の通関が可能です。暫定査定は調査が完了するまで継続され、最終査定との差額は後に精算されます。

PD Bond 締結で通関可
4 SVB登録・詳細問診票(Annexure B)の発行と提出

SVBはRegistration Numberを付番し、輸入者に詳細問診票(Annexure B)を発送します。Annexure Bは価格設定方針・株主構成・ロイヤリティ・コスト配賦・契約内容等を網羅する詳細な質問票です。受領後60日以内に回答・書類を提出する限り追加のデポジットは不要ですが、60日を超えた場合は課税価格の5%相当のセキュリティデポジット(現金またはBank Guarantee)が最長3ヶ月課されます。Bank Guaranteeは最終命令確定まで解約されません。

受領後 60日以内 提出が重要
5 SVB調査・調査報告書(Investigation Report)作成

SVBは書類審査・陳述録取を経て調査を実施し、調査報告書(IR)を作成します。調査期間は原則2ヶ月以内(許可を得て4ヶ月まで延長可)。IRには「関係が価格に影響していない」または「○%の加算が必要」という結論が記載され、管轄税関に送付されます。

原則2ヶ月 (最長4ヶ月)
6 CVR Rule 3  最終査定・暫定査定の確定

税関はIRに基づき最終査定(Final Assessment)を行います。「価格影響なし」の場合:暫定査定が確定価格として成立し、PD Bondが解除されます。「価格加算あり」の場合:追加関税が賦課され、Show Cause Notice(SCN)が発行されます。SCNはIR受領から15日以内に発行されます。

IR受領後 15日以内

実務上の注意点:Annexure Bへの回答は受領後60日以内に行うことが重要です。期限内に提出できれば追加のデポジットは不要ですが、遅延すると5%のセキュリティデポジットが課されます。また、Annexure Bの回答内容は後のSVB決定・不服申立の基礎となるため、移転価格文書との整合性を事前に確認した上で提出することが不可欠です。関税とインカムタックスでは評価の目的が異なりますが、内容に矛盾があると双方の調査で不利に働く可能性があります。

 

まとめ

 SVB手続は、日本本社から製品・部品を調達するほぼすべての日系インド子会社が避けて通れな
いプロセスです。「初回輸入時に一度やれば終わり」という認識は危険で、契約変更や価格設定
方法の変更のたびにAnnexure Cによる更新申告が必要となります。
 特に注意が必要なのは、SVBと移転価格の二重リスクです。両者は目的が異なり(関税は課税価
格の引き上げを防ぐ、移転価格は所得の海外移転を防ぐ)、矛盾する方向に調整を求められる場
合があります。例えば、輸入価格が「高すぎる」とSVBが問題にする一方、移転価格では「安す
ぎる」と指摘される、あるいはその逆が起こりえます。このため関税担当者と税務担当者がそれ
ぞれ別々に対応するのではなく、一体となって整合した説明ができる体制を構築することが重要
です。
 Annexure Bは単なる書類提出ではありません。SVBの調査官はここに記載された価格設定方針・
原価構成・ロイヤリティの根拠をもとに判断を下します。後から修正・補足できる機会は限られ
ているため、Annexure Bを提出する前に移転価格文書・関連者間契約・価格リストとの整合性を
必ず確認してください。
 また、SVB手続は初回輸入時だけでなく、契約の改定・グループ再編・インターカンパニー契約
の更新のたびに再度問われる可能性があります。こうした変更が生じたタイミングで専門家に確

する習慣をつけておくことが、後の追徴・ペナルティリスクを最小化する最も確実な方法です
 インド当局は近年、関連者間取引の監視を強化しています。SVBと移転価格の両方で一貫した説
明ができる文書体制を日頃から整備しておくことが、長期的に安定した事業運営の基盤となりま
す。

 

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