インドで「なんとなく残業」が危険な理由 ― Labour Code改正で変わる工場管理の実務

労務

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さて、今回は「インドで「なんとなく残業」が危険な理由 ― Labour Code改正で変わる工場管理の実務」についてお話していこうと思います。

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インドで「なんとなく残業」が危険な理由 ― Labour Code改正で変わる工場管理の実務

1.インドで増える「残業管理」の相談

近年、インドへ進出する日系企業の増加に伴い、製造業を中心として労務管理に関する相談が増え
ています。その中でも特に多いテーマの一つが、「残業管理」です。
実際の現場では、生産遅延への対応や日本本社からの短納期要求、人材不足などを背景として、気
づかないうちに長時間労働が常態化しているケースが少なくありません。日本ではある程度柔軟に
運用されることもある残業管理ですが、インドでは法律上の規制が存在しており、近年のLabour
Code(労働法改革)によって、その重要性はさらに高まっています。

2.インドの労働時間の上限・残業規制とは?

インドの工場等における主な労働時間・残業規制の要点は以下の通りです。
労働時間の上限:原則1日9時間以内、週48時間以内(工場法)
残業代の割増率:通常給与レートの2倍
みなし残業:原則不可(実労働時間ベースで計算)
インドにおける勤務時間や残業制度は、オフィスについては州ごとのShops and Establishment
Act、工場についてはFactories Act, 1948によって規律されています。特に工場については労働時間
管理が比較的厳格であり、原則として1日9時間、週48時間を超える勤務には制限が設けられていま
す。
また、残業を含めた総労働時間についても上限が存在しており、長時間労働が継続している場合に
は、当局から問題視される可能性があります。

3. 残業代の割増率は?(overtime 2倍ルールと実務上の問題)

さらに見落とされがちな点として、インドでは残業代の割増率が法律上定められているという点が
あります。一般的には、オフィス・工場いずれについても通常給与レートの2倍の支払いが必要とされています。
もっとも、実務上は現場マネージャーの判断で残業が実施されていたり、出退勤記録がExcelベース
で曖昧に管理されていたりするケースも少なくありません。その結果、後から未払残業代の問題が
発生することがあります

4.日本式の「みなし残業」が通用しないケース

また、日本企業が誤解しやすい点として、「みなし残業」や包括的な残業代制度の考え方がありま
す。日本では一定程度一般的な制度ですが、インドでは実労働時間ベースで残業代を計算する考え
方が基本となるため、日本式の運用がそのまま通用するとは限りません。
特に工場労働者については、裁判所や労働当局が労働者保護的な判断を行う傾向があるため、契約
書上の肩書よりも実態が重視されるケースがあります

5.Labour Code改正による影響

近年の労働法改革では、従来複雑だった労働法体系が4つのLabour Codeへ統合されました。
その中でもOSH Codeでは、労働時間や安全衛生に関する規制が整理されており、1日の労働時間上
限を原則8時間へ統一する方向性や、残業代ルールの明確化などが盛り込まれています。
もっとも、2026年3月現在では州規則などが完全には整備されておらず、実務上は旧法ベースで運
用されている州も多い状況です。 しかしながら、今後本格的な運用が進めば、企業側にはこれまで
以上に厳格な労働時間管理が求められる可能性があります。

6.「現場で回している」が最大のリスク

実際の日系企業では、「現場でなんとか回している」という状態のまま工場運営が継続されている
ケースも見受けられます。しかし、インドにおいて残業管理は単なる勤怠管理の問題ではありませ
ん。労務、給与、会計、工場オペレーション、内部統制などが密接に紐づいているため、労働時間
管理の不備が会社全体の管理リスクへ発展する可能性があります。
特に製造業においては、「とりあえず回っている」という状態が長期化すると、後から制度修正を
行うことが難しくなるケースもあります。Labour Code改正の方向性も踏まえると、今後は単純な
残業削減ではなく、会社として労働時間を適切に把握し、統制できているかという観点がより重要
になっていくでしょう。

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