【インド進出・導入段階における労務整備~EPF&MP法とは~】

労務

 

皆さま、こんにちは。バンガロール支店マネージャーの松波優大です。

前回は、労務整備、労務管理の際に考慮すべき中心的な社会保障制度について説明いたしましたが、
今回からは、各社会保障制度の概要を一つ一つ説明していこうと思います。

 

前回のおさらいですが、インドにおける社会保障制度は、主に次の3つの法律から構成されております。

-従業員準備基金及び雑則法(Employees’ Provident Funds and Miscellaneous Provision Act、通称「EPF&MP法」)
-被雇用者国家保険法(Employees’ State Insurance Act、通称「ESI法」)
-被雇用者保障法(Employees’ Compensation Act、通称「EC法」)

今回、説明するのが、EPF&MP法になります。

 

EPF&MP法は、従業員の退職後の生活の保障と従業員の勤務中の死亡の場合の遺族に対する生活の保障を目的に、
以下の3つから構成されております。
-従業員準備基金
-従業員年金制度
-従業員預託保険制度

EPF&MP法は、20名以上の従業員を雇用するすべての企業に対して、
本制度を運営しているEmployee Provident fund Organization(以下、EPFO)に加入することを義務付けており、
さらに、月額賃金が15,000INR以下の従業員に対しては、強制加入を規定しております。

従業員準備基金では、従業員の毎月の基本給に物価上昇手当、残留手当を加えた金額の12%の額を会社側が控除し、
EPFOへ掛け金として支払うことで、当該従業員が退職した後の生活保障のための給付金の積立として機能します。

また、上記に加え、毎月の基本給に物価上昇手当、残留手当を加えた金額の3.67%は、
会社側負担として、EPFOへ積み立てられます。

 

従業員年金制度では、毎月の基本給に物価上昇手当、残留手当を加えた金額の8.33%に相当する額を、
従業員の給与から控除することなく、会社側がEPFOへ掛け金として支払うことになるため、
雇用者である会社側の負担となります。

積立てられた基金は、従業員が退職した際の年金として給付されることになります。

最後に、従業員預託保険制度ですが、
こちらは、従業員が死亡した際に遺族へ支払う給付金として、
毎月の基本給に物価上昇手当、残留手当を加えた金額の0.5%が、会社負担としてEPFOへ積立てられます。

 

EPF&MP法は、日本のようにインドと社会保障協定を締結していない国の駐在員にとっては、
本国において社会保障制度に加入していても一定の要件を満たした場合、強制加入となっていたため、
インドの駐在員は二重に社会保険料を支払うことになり、駐在員にとって大きなデメリットとなっていましたが、
2016年10月発行の日印社会保障協定により、必要手続きを踏めば、駐在員の社会保険料の二重支払が解消されることになりました。

従業員の労務管理について、個別のご相談がありましたらお気兼ねなくお問い合わせください。

 

 

 

株式会社東京コンサルティングファーム バンガロール支店マネージャー
松波 優大(まつなみ ゆうだい)

 

 

 

 

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