インドの決算と移転価格税制

税務

どうもこんにちは。増田です。
最近、日本での3月決算法人の申告業務も終わり、大分業務が落ち着いてきたところで、しばらくの間インドに滞在し業務を行うことになりました。

インドは日本と異なり、全ての会社が毎年3月を区切りに決算・税金の計算を行います。
日本の場合は、決算終了後2ヶ月(申告期限の延長をしている会社は3ヶ月)以内に、税務申告書類を所轄の税務署に提出しなければなりませんが、インドの場合は申告期限が決算終了後から6ヶ月(一定の場合は、8か月)以内と、かなり時間的に余裕があります。
なぜこんなに長いかというと、①全ての個人・法人が3月を区切りに税金計算をすること②全ての会社は会計監査を受ける必要がある③インド勅許会計士が、監査と税務の両方を見ている、というのが理由となっています(ちなみに、インドでは「税理士」という資格はなく、会計士が税務も行っているというのが現状です)。
現在、TCFインドでは、法定監査も終わり、続いて税務監査に取り掛かっています。
私自身も、以前から日本側でインド業務のサポートを行っており、ここ最近特に感じるのが、日本・インドともに税制改正により「移転価格税制」が強化されてきている点です。
日本においては税収確保のため国際間取引に関連する課税が強化されている中、インドの移転価格税制については、他のアジア諸国と比較しても厳しい罰則規定が設けられています。例えば、日本では多くの会社が「移転価格ドキュメント(関係会社間の取引価格設定の根拠を一定の様式にまとめた文書)」について、まだまだ制度が浸透しきっていない状況であるのに対して、インドの場合は年間の取引金額が1,000万Rsを超える場合には、移転価格ドキュメントとして、詳細を記載した文書を会社に保管しておかなければいけません。もし会社に備えていない場合には、取引価格の2%がペナルティという他に例を見ない罰則が設けられています。

よく、インド進出企業では設立当初の赤字解消、又は現地での価格競争力強化という事で日本からの販売価格を低く抑えることがありますが、現地当局はこのような事も想定していると思われますので、自社グループの都合だけでの安易な価格変更は、インドでは非常にリスクが高く、注意する必要があります。

とはいえ、価格の変更というのはビジネス上必要な事でもありますので、取引の内容やマージンの変更を検討する際には、外部専門家のアドバイスをもらいながら、リスクヘッジをしていくことが移転価格リスク回避のために非常に有用と言えます。

以上

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