こんにちは、TCFインド ムンバイ駐在員の長坂です。
Q.
インドにおいては有給に関する制度構築を行う際、どのような点に留意すればよいでしょうか。
A.
インドに進出する日系企業は、人事制度構築の際に必ず有給休暇の問題に直面します。
まず、一つ目が有給取得日数の問題。
インドには国民の祝日は年間で3日しかなく、多くの宗教上の祝日や地方の祝日など、会社規定と異なる日程で休日を取得したい従業員が多いため、日本よりも多めに有給日数が与えられます。
会社が守らなければならない有給の最低日数は各州によって異なっていますが、およそ年間で30日前後と考えていただいて差し支えありません。
二つ目に有給の種類についてです。
日本では有給は単なる「有給」として一本化して扱われますが、インドでは大別して3つの有給の種類があります。
①Earned Leave (EL) またはPrivilege leave (PL)
これは、EL/PLは日本で言うところの有給休暇に該当します。積み残し可能であり、有給休暇の対象となる。
②Casual leave: (CL)
CLは、不測の事態、例えば冠婚葬祭などに出席する目的の休暇に当たります。積み残しや買取不可。
③Sick leave: (SL)
SLは、本人の病気等の際に使用されます。積み残しや買取不可。
これに加えて日本の産休と同様の扱いとなる「Maternity leave: (ML)」もありますが、ここでは割愛します。
有給買取制度が認められているため、あまりEL/PLを消化せずに積み残す従業員が多くなりがちです。従って、制度構築の際には積み残し可能な上限日数を定めておく必要があります。
もし、これを定めていない場合には、非常にリスクがあります。
有給買取の計算式としては、「基本給÷30日×有給残数」とされているため、有給が無制限に積み重なり、退職間際の高い給与を基準に多額の有給買取を計上せざるを得ないという状況になり得ます。
人事制度構築の際には、ローカル任せにせず、ご注意いただくようお願いいたします。