インドにおける解雇の種類と留意点 懲戒解雇(Dismissal・Discharge)

労務

皆様、こんにちは、Tokyo Consulting Firm Private Limited(India)です。

 

本日も、前回に引き続きインドの解雇制度について見ていきます。今回は懲戒解雇(Dismissal・Discharge)についてお話します。

 

懲戒解雇は、会社都合で判断する普通解雇とは逆に、従業員の懲戒解雇事由を根拠に、雇用契約の解消を行う事を指し、会社としては、従業員が懲戒解雇事由に該当する行為を犯したため、懲戒処分として雇用契約の解消を行うというスタンスとなります。この点が普通解雇や次回お話する一時解雇を異なる点になります。

 

さて、懲戒解雇についてですが、留意していただくポイントとしては下記の事項になります。

 

  • 従業員100名以上か否か(1946年産業雇用(就業規則)法、適用の判断)
  • 雇用契約書や就業規則上で懲戒解雇に関連する文言に留意
  • 労働組合が存在しているか、もしくは労働組合の一部に加盟しているか否か

※留意しなければいけない点は自社の会社には労働組合はないが、従業員がある労働組合の一部に加盟しているケースです。インドにおいてはこのようなケースもあるため、留意が必要です。

 

上記を踏まえたうえで、懲戒解雇を進める場合のステップについて見ていきます。

 

  1. 懲戒解雇事由を書面にて通知
  2. 解雇対象の従業員に対して、弁明の機会を付与
  3. 社内調査の実施とその結果の通知

 

実務上は、上記ステップ2で時間がかかる傾向にあり、工場などでの懲戒解雇が困難と言われている大きな理由の1つになっています。

 

また、1946年産業雇用(就業規則)法の適用がない場合においても、インドの労働法の得亮と裁判所の判決の傾向を考慮すると、上記のステップを踏んで手続きを進める事が推奨されます。

 

このように、懲戒解雇は労働者寄りのインド労働法上においては、非常に難易度が高くなっており、懲戒解雇を検討される場合はなるべく早いタイミングで弁護士やHRコンサルタント等の専門家に相談されることを推奨します。

 

また、懲戒解雇のコンセプトは従業員の行動に帰するため、従業員が懲戒解雇事由に該当しそうな可能性のある行動を発見次第、まずはその記録を残すことが必要となります。例えば、会社内での連絡手段としてメールやSNS等を使用するケースが多いかと思いますが、そういったケースにおいて、従業員から返信がない事を確認できる履歴を保存する事等が一つ具体的な準備と言えます。

 

さらに、そもそも具体的な懲戒解雇事由が記載されていない雇用契約書や就業規則が散々されるため、会社としてまずはそういった部分に手を付ける事が重要になるといえます。

 

次回は、一時解雇(layoff)について見ていきます。

 

今週は以上となります。


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東京コンサルティングファーム インド・デリー拠点
田本 貴稔

 

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