インドにおける解雇の種類と留意点 普通解雇(Retrenchment)~ワークマンの場合~

労務

皆様、こんにちは、
Tokyo Consulting Firm Private Limited(India)です。

本日は、インドにおける普通解雇(Retrenchment)に関する留意点についてみていきます。

 

インドの解雇制度については、普通解雇(Retrenchment)、懲戒解雇(Dismissal)、一時解雇(Layoff)の3種類があると前回のブログでお伝えしました。
今日はその中でも最も一般的な普通解雇(Retrenchment)について見ていきます。

まず、普通解雇とは「会社側の都合を理由とする会社側の意思表示による雇用契約の解消」を意味します。
既にワークマンとノンワークマンの違いについて前回のブログにて述べましたが、普通解雇においても解雇対象の従業員がどちらに該当するのかについて留意する必要があります。

理由としては1年以上継続的に労働をしたワークマンの場合は、産業紛争法上の解雇規制に留意する必要が出てくるためです。
ワークマンの解雇の流れとしては、大きく下記の3ステップを踏んで頂くことを念頭に進めていく必要があります。

 

1、解雇通知

会社は従業員に対して、普通解雇の合理的理由を示した通知を書面によって行う必要があります。
法定では解雇の1ヶ月前(※100名以上の工場においては、通知期間が3か月前)と定められていますが、実務上は2,3ヶ月前の解雇通知を行う日系企業も少なくありません。

また、解雇通知を1~3ヶ月前に行う代わりに、1~3か月分の給与を支給する手法も用いられることがあります。ここは状況に応じて判断される形になると思います。

 

2、解雇補償金の支払い

会社は解雇時に対象となるワークマンに対して解雇補償金を支払う必要があります。
解雇補償金の支払いの留意点としては、解雇時までに支払う必要があるという点です。

また、解雇補償金は勤続1年につき15日分の賃金相当額(例外あり)とされています。

 

3、行政機関への通知

会社は、→会社は、地方労働監督官(Regional Labor Commissioner)や適切な行政機関への通知を行う必要があります。
さらに、100名超(※ハリヤナ州等では300名)の工場等の場合は、適用な行政機関からの「承認」が必要となるため、留意いただく必要があります。

 

普通解雇の流れとしては以上になりますが、インドでは「社歴の浅いものから解雇(Last come fist go)」ルールという概念が存在し、別途会社とワークマンとの間で特段の合意がない場合は、このルールが適用されると考えて頂く必要があります。
しかしながら、どこまで具体的にこのルールに従うべきかという明確な基準もなく、判断が難しいところです。

 

このように従業員の数や州によって規定が異なるため、普通解雇を検討される場合は弁護士や労務コンサルタント等の専門家に事前に相談する必要性が理解できるかと思います。
次回はノンワークマンを想定した普通解雇の留意点についてお話します。

 

今週は以上となります。

Tokyo Consulting Firm Private Limited(India)ではインドビジネスについて、より詳しい情報を弊社の日本人コンサルタント、インド人勅許会計士・弁護士・会社秘書役がお答えします。
是非お気軽にご連絡ください。


Wiki-Investment 

~ 『海外投資の赤本シリーズ』、待望のデータベース化! ~ 

海外進出の対応国数30か国 ビジネスサポート企業数550社以上!!
新興国を中心に海外ビジネス情報(会計、税務、労務、基礎知識、設立、M&Aなど)をまとめたデータベース!

各国のビジネス基礎情報に加え、最新の法改正やアップデートについて、逐一更新しております!
以下、URLより無料会員登録(24時間お試し)も可能ですので、ぜひご覧ください!
URL:https://www.wiki-investment.jp


東京コンサルティングファーム インド・デリー拠点
田本 貴稔

※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報を基に、細心の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び弊社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Private Limited, Tokyo Consulting Firm Human Resources Private Limited)は、一切の責任を負うことはありませんので、ご了承ください。

関連記事

ページ上部へ戻る