インド現地法人設立の完全ガイド【2026年最新版】費用・手続き・期間まで徹底解説


皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループインド拠点の加部 新です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「インド現地法人設立」についてお話していこうと思います。

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インド現地法人設立の完全ガイド【2026年最新版】費用・手続き・期間まで徹底解説

インドへの事業進出を検討する日本企業が増えるなか、「どの形態で進出すべきか」「設立手続きはどれほど複雑か」「費用や期間はどのくらいかかるか」という疑問を抱く担当者は少なくありません。本記事では、インド会社法・外国為替管理法(FEMA)に基づく最新情報をもとに、現地法人・支店・駐在員事務所・プロジェクトオフィスの特徴から設立手続きの全ステップ、必要書類、費用目安、よくある失敗事例まで、意思決定に必要な情報を網羅的に解説します。


インド進出の事業形態を比較する

インドに事業拠点を設立する場合、2013年インド会社法(Companies Act, 2013)および外国為替管理法(FEMA)に準拠して、通常は現地法人・支店・駐在員事務所・プロジェクトオフィスの4つの形態から選択することになります。
事業形態によって活動できる範囲が大きく異なるため、まずは各形態の特徴を正確に理解することが重要です。以下の比較表をご参照ください。

 

項目 現地法人 支店 駐在員事務所 プロジェクトオフィス
法的位置づけ インド国内法人 外国法人の一部 連絡拠点 期間限定拠点
活動範囲 定款の範囲内で自由 限定列挙(製造等は要RBI許可) 市場調査・連絡業務のみ 特定プロジェクトのみ
利益送金 配当として送金可能 証明後、RBI承認不要で可能 不可(利益なし) プロジェクト終了後に可能
設立難易度 中程度 高(RBI審査あり) 中(RBI審査あり) 中(条件付きRBI許可)
税率(法人所得税) 約22〜25% 支店は現地法人より高率 申告義務あり 申告義務あり
推奨度(日系企業) ◎ 最も一般的 △ 初期は有利な場合も △ 情報収集段階向き △ 建設・インフラ向き

 

ほとんどの日系企業は現地法人(非公開会社・Private Limited) を選択します。これは活動の自由度が最も高く、リスクを限定できる株式有限責任会社(Company Limited by Shares)が日本の株式会社に相当し、実務上最も使いやすい形態だからです。


現地法人(Private Limited Company)の詳細

会社の種類

インド会社法において会社は大きく3種類に分類されます。

 

株式有限責任会社(Company Limited by Shares) は、株主がその有する株式の引受価額を限度とする責任を負う形態で、インドで最もポピュラーな形態です。日系企業の現地法人のほとんどがこの形態を採用しています。

保証有限責任会社(Company Limited by Guarantee) は、メンバーの責任が基本定款(MOA)にあらかじめ定めた金額に限定される形態です。通常の株主を持たないため、主にNPOや協会組織で利用されます。

無限責任会社(Unlimited Company) は、会社債権者に対して会社とともに無限連帯責任を負う形態で、日本の合名会社に相当します。外国投資家がこの形態を選ぶケースは非常にまれです。

公開会社と非公開会社の違い

株式有限責任会社はさらに公開会社(Public Company)非公開会社(Private Company) に分かれます。

比較項目 公開会社(Limited) 非公開会社(Private Limited)
最低取締役数 3名 2名
最低株主数 7名 2名
最大株主数 制限なし 200名
株式の公開 可能 不可(第三者への譲渡制限あり)
最低払込資本金 500万ルピー 100万ルピー
コンプライアンスコスト
日系企業への推奨度 △(特定業種のみ必要)

 

銀行業や保険業など一定の業種は公開会社として設立しなければなりませんが、一般的な製造業・販売業・IT・サービス業であれば非公開会社(Private Limited) の選択が望ましいです。公開会社のメリットである資金調達機能は日系企業にはあまり必要なく、コンプライアンスコストが増大するだけです。
なお、社名の末尾によって形態を確認できます。公開会社には「Limited」、非公開会社には「Private Limited」が付与されます。

 

一人会社(OPC)について


2013年会社法では株主が自然人1名のみの「一人会社(One Person Company)」も規定されています。ただし、「インド国籍および居住者の自然人のみが設立できる」との規定があるため、日本人・日系企業を含む外国投資家は設立できません。

 

現地法人の活動範囲

現地法人は、定款の範囲内であれば活動内容に特別な制約はなく、支店や駐在員事務所と比べて最も自由に活動できます。ただし、投資する業種や立地によって一定の規制があります。
以前は規制業種について外国投資促進委員会(FIPB)の事前承認が必要でしたが、2017年にFIPBが廃止されました。現在は規制業種を管轄する各省庁(DPIIT:Department for Promotion of Industry and Internal Trade など)からの事前承認が必要となります。


支店の特徴と活動制限

支店は本店(外国法人)の一部として取り扱われ、内国法人として扱われる現地法人とは多くの点で異なります。

支店が認められている活動内容(限定列挙)

支店に認められている活動は以下に限定されており、これ以外の業務を行うにはRBIの特別許可が必要です。
・輸出入業務に関連する業務の代行
・専門的・コンサルティング業務
・親会社に対する調査・開発業務
・テクニカルサービスの提供・支援
・外国エアライン・海運会社の代理業務
・インドの財や技術の促進

製造業や加工業を行うには別途RBIの特別許可が必要で、許可が得られた後もRBIへの定期的な業務報告が義務付けられます。

支店の借入と送金

支店は活動資金を本社からの送金または自らの事業利益で賄わなければならず、自ら借入を行うことはできません(FEMA規則第6条)。一方、支店で生じた利益は、認められた業務内で得たことを証明すればRBIの承認なしに本店へ送金できます(FEMA規則第7条)。

税務上の注意点

支店の法人所得税率は現地法人より高く設定されています。進出当初の赤字期間は支店の経費を日本側の損金に算入できるタックスメリットがありますが、事業が軌道に乗り利益を計上するようになると、そのメリットは失われるどころかコスト増につながります。
また、支店と日本本社との取引にはインドの移転価格税制が適用されるため、適切なドキュメンテーションが必要です。


駐在員事務所とプロジェクトオフィス

駐在員事務所の活動範囲

駐在員事務所は「主たる営業所または本社とインド国内の顧客との連絡拠点」と定義されており、以下の活動のみが認められています。
親会社の製品・サービスに関する市場調査
輸出入の促進
技術・財務上の協力の促進
在インド投資家への情報提供
営業活動・収益活動は一切禁止です。インド進出の可否を調査する情報収集段階や、長期的な市場開拓の足がかりとして利用するのに適した形態です。
駐在員事務所の認可期間は3年で、3年ごとの更新が必要です。近年、税務当局による駐在員事務所への調査が厳格化しており、実質的に営業活動を行っているとみなされた場合は「みなし課税」が課されるリスクがあります。所得がない場合でも、毎期、法人所得税申告書の提出とインド勅許会計士による法定監査が義務付けられている点に注意が必要です。

プロジェクトオフィスの特徴

プロジェクトオフィスは建設・インフラ整備プロジェクトなど、特定の契約遂行のためのみに設置される期間限定の形態です。支店との最大の違いは、支店が継続的な事業を前提とするのに対し、プロジェクトオフィスは特定プロジェクトの期間中のみ存在する点です。
開設にはRBIの許可が必要で、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

・プロジェクト資金がインド国外からの送金で賄われること
・世界銀行・アジア開発銀行等の国際金融機関から資金が供給されること
・インドの関係当局からプロジェクトの認可を得ていること
・インドの公的金融機関・銀行との融資契約があること


現地法人設立の具体的な手続きステップ

非公開会社(Private Limited)を新規設立する場合の標準的な手順を解説します。

ステップ1:事前承認の確認

インドに現地法人を設立する際、まず投資しようとする業種が「自動承認ルート(Automatic Route)」か「政府承認ルート(Government Route)」かを確認します。DPIIT(旧DIPP)が公開するネガティブリストで規制業種を確認し、政府承認が必要な場合は各所管省庁に事前承認を申請します。
事前承認が不要な業種(自動承認ルート)であれば、会社設立完了・資本金払込後30日以内にRBIへ事後報告を行うだけで済みます。

ステップ2:デジタル署名証明書(DSC)の取得

現地法人の設立手続きはすべてインド企業省(MCA:Ministry of Company Affairs)のウェブサイトを通じてオンラインで行われます。電子署名のためにDSC(Digital Signature Certificate) の取得が必要です。
DSCの申請には以下の書類が必要です。
パスポートのコピー(英訳・公証・アポスティーユ)
戸籍謄本または住民票(英訳・公証・アポスティーユ)
申請者の氏名・生年月日・住所・メールアドレス等の申請書
日本とインドはハーグ条約(認証不要条約)を締結しているため、インド大使館での認証は本来不要ですが、トラブル防止のため大使館認証も合わせて行うケースもあります。東京都・神奈川県内の公証役場ではこれらの手続きをワンストップで行えます。
公証役場への費用は、私署証書の認証(5,500円)+外国文認証(6,000円)で合計11,500円程度です。

 

ステップ3:取締役識別番号(DIN)の取得

DIN(Director Identification Number) は、会社の取締役を識別するために各取締役に割り当てられる番号です。現在は後述のSPICe+フォームにより、会社設立登記と同時に申請できます。
なお、DINを保有するすべての取締役は毎年9月30日までに「Form DIR-3KYC」で身元情報を申告することが義務付けられています。


ステップ4:商号(社名)の申請

商号申請は、MCAのウェブサイトを通じて会社登記局(ROC:Registrar of Companies)に対してオンラインで行います。希望する社名が既存企業と類似する場合は「No Objection Certificate(NOCレター)」が必要です。
日本親会社の名称に類似する社名をインド子会社に使用する場合も、日本親会社からのNOCレター(公証・インド大使館認証付き)が必要となります。
商号申請の承認・不承認の通知は申請から1〜2週間程度で届きます。承認された商号の有効期間は20日間で、最長60日まで延長可能です。


ステップ5:会社の登記申請(SPICe+フォーム)

2016年から導入されたSPICe(Simple Form for Incorporating Company) が改良されたSPICe+フォームにより、会社設立登記と同時に以下の手続きをまとめて行うことができます。
会社設立登記(Form INC-32)
商号の確定
DINの申請
PAN(納税番号)の取得
TAN(源泉徴収番号)の取得
MOA(Memorandum of Association:基本定款) と AOA(Articles of Association:附属定款) を添付して申請します。登記申請は商号承認から原則20日以内(延長で最長60日)に行わなければなりません。
登記申請時には授権資本金額に応じた登録免許税と、各州ごとに定められた印紙税を支払う必要があります。授権資本金額が大きくなるほど税額も増大するため、初期設定は慎重に行う必要があります。


ステップ6:設立証明書(Certificate of Incorporation)の受領

申請書類に不備がなければ、会社登記局から設立証明書(Certificate of Incorporation)が発行されます。このタイミングで会社は法的に設立されたことになります。


ステップ7:資本金の払込と業務開始宣言

設立登記後180日以内に会社登記局へ業務開始宣言(Commencement of Business) を行わなければなりません。資本金の払込が完了した後、速やかに業務開始宣言を行い、業務を開始します。

ステップ8:各種コードの取得と事後報告

会社設立完了後、30日以内にRBIへ外国直接投資(FDI)の事後報告を行います。また事業内容に応じて以下のコードを取得します。
GST(Goods and Services Tax)コード:物品・サービスの売買を行う場合
IEC(Importer-Exporter Code)コード:輸出入を行う場合
ESI・PFコード:従業員を雇用する場合(社会保険関係)


必要書類と取得コード一覧

インド現地法人設立に必要な主な書類とコードを整理します。

コード/書類 概要 取得タイミング
DSC(デジタル署名証明書) オンライン申請の電子署名に必要 設立手続き開始前
DIN(取締役識別番号) 取締役を一意に識別する番号 SPICe+で設立と同時取得可
PAN(納税番号) 税務申告に必要な法人番号 SPICe+で設立と同時取得可
TAN(源泉徴収番号) 源泉徴収取引に必要な番号 SPICe+で設立と同時取得可
MOA(基本定款) 会社の目的・資本金等を規定 設立登記時に提出
AOA(附属定款) 内部規則・株主総会手続き等を規定 設立登記時に提出
GST登録 年間売上2百万ルピー超は原則必須 事業開始後速やかに
IEC(輸出入者管理コード) 輸出入を行う企業に必要 必要が生じた時点で

設立費用・期間の目安

費用目安

インドでの現地法人設立にかかる費用は、会計事務所・法律事務所への委託費用や公的手数料を含め、以下のとおりです。

費用項目 目安金額(参考)
DSC取得費用(日本側:公証・アポスティーユ) 約1〜2万円/人
専門家(会計士・弁護士)委託費用 30〜80万円程度
印紙税(州によって異なる) 資本金額・州に応じて変動
登録免許税(授権資本金額に応じる) 授権資本金額により変動
GSTコード取得・初期申告費用 5〜15万円程度

※上記はあくまで目安です。依頼する専門家事務所やインドの州、授権資本金額によって大きく変わります。

期間の目安

スムーズに進んだ場合、設立登記完了までのおおよその所要期間は以下のとおりです。

ステップ 所要期間の目安
DSC取得(日本側準備含む) 2〜4週間
DIN取得 SPICe+で登記と同時
商号申請〜承認 1〜2週間
会社登記申請〜設立証明書受領 1〜3週間
PAN・TAN取得 登記と同時または登記後1〜2週間
GST登録 1〜2週間
合計(目安) 約2〜3か月

ただし、書類の不備・当局による追加確認・商号の承認待ちなどが発生すると、さらに時間がかかるケースもあります。特に商号が既存企業と類似する場合は大幅な遅延が生じることもあるため、早期に複数の商号候補を用意しておくことを推奨します。


FDI規制と業種別の注意点

インドへの外国直接投資(FDI)には「自動承認ルート」と「政府承認ルート」の2種類があります。
自動承認ルートは、規制省庁への事前申請や政府承認なしにFDIが可能なルートです。大多数の業種がこちらに該当します。
政府承認ルートは、所管省庁への事前申請・承認が必要なルートです。代表的な規制業種は以下のとおりです。

業種 FDI上限 承認ルート
農業・農産品加工 100% 一部自動
防衛関連製造 100%(74%超は政府承認) 混在
銀行(民間) 74% 自動(一部上限あり)
保険 74% 自動
マルチブランド小売 51% 政府承認
印刷メディア 26% 政府承認
通信衛星 100% 政府承認

FDIが禁止されている業種(宝くじ、ギャンブル・賭博等)も存在します。投資前にDPIITが公表する最新のFDIポリシーを必ず確認してください。


定款作成における重要ポイント

MOA(基本定款)の事業目的

インド会社法では、会社が定款に記載された目的以外の行為を行った場合、たとえ全株主の同意があったとしても無効となります。そのため、将来行う可能性がある事業を包括的に記載しておくことが重要です。
例えば、設立当初は輸入販売を行うが将来的に製造販売を検討している場合は、製造業も目的に含めておく必要があります。現地の会計事務所・法律事務所が用意する標準定款には数十項目もの事業目的が含まれているのが一般的です。

AOA(附属定款)における議決権の注意点

合弁会社を設立する際、特に注意が必要なのが議決権の設定です。インド会社法の標準的なAOAでは、株主総会の決議が「議決権数」ではなく「出席株主の挙手数」によって行われる規定となっています。
これにより、出資比率では日本側が過半数を占めていても、出席したインド側株主の数が多ければインド側に有利な決議が行われてしまうリスクがあります。このリスクを防ぐためには、定款に「決議は挙手ではなく議決権数による」旨を明記することが不可欠です。
合弁相手企業が提出する定款をそのまま採用するのではなく、専門の法律事務所・会計事務所と相談の上で作成することを強く推奨します。


設立後の税務・コンプライアンス義務

法人所得税

2026年現在、インドの法人所得税率は以下のとおりです(参考値。最新情報はJETROや税務当局のサイトでご確認ください)。
国内会社(通常):約22〜25%(付加税・サーチャージ含む)
外国会社(支店):通常より高率

毎年の定期コンプライアンス

インドに設立したすべての法人・事業拠点には以下のコンプライアンス義務が課されます。

・法定監査:毎年インド勅許会計士(Chartered Accountant)による監査が義務
・法人所得税申告:毎事業年度(インドの会計年度は4月〜翌3月)

・GST申告:月次・四半期ごとの申告
・DIR-3KYC申告:DIN保有取締役は毎年9月30日までに提出
・年次報告書提出:会社登記局への各種書類提出

駐在員事務所であっても、所得がゼロの場合でも申告書を毎期提出する義務があります。この点を見落として罰則を受けるケースがあるため、注意が必要です。

移転価格税制
支店・現地法人を問わず、インド法人と日本本社(グループ内関係者)との取引には移転価格税制が適用されます。独立当事者間の取引価格と乖離がある場合、税務当局から修正申告を求められるリスクがあるため、移転価格文書の整備が必要です。


撤退・清算の手続きと留意点

現地法人の清算

現地法人の清算には裁判所による清算と任意清算の2種類があります。インド会社法271〜303条に基づく裁判所清算は手続きが複雑で長期化するため、一般的には任意清算(304条)が選択されます。
任意清算には「株主による任意清算」と「債権者による任意清算」があり、支払能力に関する宣誓供述書を裁判所に提出するかどうかで手続きが分かれます。いずれのケースでも、清算人による資産処分・債務返済・残余財産分配が完了した後、最終の株主総会を経て会社登記局へ報告し、手続きが完了します。

駐在員事務所・支店の閉鎖

駐在員事務所や支店の閉鎖には、以下の手続きが必要です。

1.すべての資産を売却し、負債を返済する
2.閉鎖日現在の財務諸表を作成し、勅許会計士の監査を受ける
3.税務当局からのNOC(異議なし証明)レターを取得する
4.RBIに閉鎖申請・残金送金の許可申請を行う
5.銀行口座を閉鎖し、残金を本国へ送金する
6.会社登記局(Form52)に閉鎖の最終報告を行う

NOCレターの取得が難航するケースが多く、これが閉鎖手続き全体を遅延させる最大の原因になっています。閉鎖申請が完了するまでは、たとえ実質的に運営していなくても毎年の監査・申告を継続する必要があることも忘れないでください。

撤退時の重大リスク:従業員の解雇

インド労働争議法(Industrial Dispute Act, 1947)上、撤退に伴う従業員の失職は会社都合解雇と同様に扱われます。特に「ワークマン」に分類される従業員は手厚く保護されており、100人以上の従業員を雇用している場合は州政府の事前認可が必要です。
実務上は、好条件での早期退職募集や事業所の分割など、100人以下になるよう調整した上で手続きを進めることが多いです。退職金交渉が長期化するケースも多く、事前に弁護士と詳細なシミュレーションを行っておくことが重要です。


よくある失敗事例と対策

失敗事例①:授権資本金額を大きく設定しすぎた
授権資本金額は登録免許税の計算基礎となるため、初期に不必要に大きく設定すると、登録免許税が過大になります。増額時にも同様の費用が発生するため、事業計画に基づいた適切な初期設定が重要です。

失敗事例②:定款の事業目的の記載が不十分だった
設立後に新事業を追加しようとしたところ、定款に記載がないとして問題が発生したケースがあります。将来の事業展開を見越して包括的な事業目的を最初から記載しておくことで防げます。

失敗事例③:合弁相手の定款をそのまま採用した

議決権の規定が挙手数方式のままで、出資比率では過半数を持つ日本側が、出席人数では少数派となり不利な決議が行われてしまったケースです。AOAの議決権条項を必ず確認・修正してください。

失敗事例④:駐在員事務所で営業活動を行った

市場調査名目で設立した駐在員事務所が実質的に営業活動を行っていたとして、税務調査でみなし課税を受けたケースがあります。駐在員事務所で行える活動の範囲を厳守し、必要であれば早期に現地法人へ切り替えることを検討してください。

失敗事例⑤:撤退時の従業員解雇交渉を軽視した

退職金の交渉が難航し、元従業員の親族まで巻き込んで交渉が長期化した事例があります。解雇交渉は法律の専門家を交えて事前にシミュレーションを行い、重要書類・データの管理を徹底してください。


FAQ

Q1. インドの現地法人設立に最低資本金は必要ですか?
非公開会社の最低払込資本金は法律上100万ルピー(約160万円前後)とされていますが、実質的に事業に必要な資金を考慮して設定することが重要です。授権資本金は事業規模に合わせて慎重に設定してください。

Q2. 設立手続きをすべて現地に任せることはできますか?

インド現地の会計事務所や法律事務所に手続きを委任することが一般的です。ただし、DSCの取得やDINの申請には取締役本人の書類が必要となるため、日本側でも一定の準備が必要です。

Q3. 会社設立から業務開始まで何か月かかりますか?

書類準備が整った状態からスムーズに進めば2〜3か月程度ですが、商号の承認が難航したり書類不備があると4〜6か月以上かかるケースもあります。

Q4. インドでは取締役にインド人が必要ですか?

インド会社法上、取締役会に少なくとも1名の**常勤取締役(居住取締役)**が必要です。つまり、直前の暦年に182日以上インドに居住した取締役が1名以上必要です。日系企業では現地の会計士・弁護士などの専門家をノミニー取締役として迎えるケースが多いです。

Q5. GSTの登録は必ず必要ですか?

年間売上が200万ルピー(特定地域は100万ルピー)を超える場合は原則としてGST登録が必要です。Eコマース経由の取引や州を越えた取引を行う場合は売上額に関わらず登録が必要です。

Q6. 駐在員事務所から現地法人への切り替えはできますか?

形態を変更する場合は、駐在員事務所を閉鎖した上で別途現地法人を設立する形になります。直接の「変更・転換」手続きは存在しないため、両者の手続きが並行または順次必要になります。

Q7. インドへの投資を行う際、日本側で必要な手続きはありますか?

外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき、対外直接投資の報告義務があります。また、一定額以上の投資については事前届出が必要な場合もあります。財務省・日本銀行の規定を確認してください。


まとめ

インドへの進出は、世界第4位のGDP(2026年時点)を誇り、今後も高い経済成長が見込まれる巨大市場にアクセスする絶好の機会です。しかし、法制度・税務・労働規制など、日本とは大きく異なるルールが多数存在します。
進出形態の選択から設立手続き・税務・撤退まで、一連のプロセスには専門知識が不可欠です。本記事で解説した内容をふまえ、インドの会計事務所・法律事務所、および日本側の専門アドバイザーと緊密に連携しながら進めることを強くお勧めします。
インド進出に関するご相談、手続きの詳細については、ぜひ専門家へのご相談をご検討ください。


本記事は2026年2月時点の情報に基づいて作成しています。インドの法令・税制は頻繁に改正されるため、最新情報は必ずJETROやDPIIT、RBIの公式サイト等でご確認ください。

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