駐在員事務所の閉鎖手続き

法務

みなさん、どうもこんにちは。増田です。

早いもので、インドに来てもう1ヶ月が経ちました。大分生活にも慣れてきたところで、本格的に動き出さなければいけない時期にもきています(ただ、インド料理に慣れるのは……もう少し時間がかかりそうです)。

今回は、「インド駐在員事務所の閉鎖」というテーマで書かせていただきます。
インドに拠点設立を行う場合、最近では進出当初から「現地法人」の形態を選択する会社様も増えてきていますが、現状、1~2年前に進出された企業で、まだ「駐在員事務所」として活動しているケースもあります。駐在員事務所として活動を続けることも可能ですが、その場合には一般的に3年ごとに延長申請を行う形になります。
進出当初に、あくまで市場調査の位置づけで進出する場合には、「駐在員事務所」の形態で進出するのが一般的です(最近は、ミャンマーなどへの駐在員事務所での進出が増えてきています)。また、駐在員形態であれば全ての経費を親会社側で取り込むことが可能なため、営業活動をする計画が無いのであれば、最も適した形態と言えます。

最近、少しずつ当社クライアントでも「駐在員事務所を閉鎖して、現地法人に切り替えていきたい」というお話しをいただきます。
駐在員事務所の所長と、現地法人の代表を兼務することは法律上では可能ですが、兼務することにより、駐在員事務所で営業活動を行っているものとみなされ、「PE課税」が行われるリスクがあるため、通常は駐在員事務所の所長を外して、現地法人の代表に据え、代わりの所長を選任する、という形が一般的です。
仮に、駐在員事務所が所長1名で活動しているような場合に、代わりの所長選任となると、通常はインドの居住者又は居住予定者に変更する必要があります(仮に、駐在員事務所へ調査が入った場合に、「所長が不在、そもそもインドにいない……」となると、どのような指摘を調査官側から受けるか、そのリスクは不明確ですので)。
同時に、駐在員事務所の閉鎖手続きを進めていくことになりますが、税務局、ROC、RBIなどの各所に対して手続きを進めていくことになります。一般的には、以下の流れで手続きを行っていく形になります。

●駐在員事務所が保有している資産・負債の精算(会社清算と同様)
   ↓
●精算の完了後、閉鎖日時点の財務諸表の作成
   ↓
●閉鎖時点の税務申告(Tax Clearance Certificateの取得)
   ↓
●ROC、RBIへの閉鎖登録・申請

手続自体は、財産の精算→税務申告→必要書類を集めて申請、という事になりますが、上記の「Tax Clearance Certificat」の発行を何年も待っているという状態の企業も中にはあります。
税務当局からClearanceをもらうことは大変厳しく、取得までに2年以上かかる場合もあるとのことです。一説によると、担当官が一度OKを出してしまうと、駐在員事務所の閉鎖後に問題が発見された場合に、その責任者にリスクが来てしまうため、自分の任期が来るまで放置することもある、という話もあります。
もし日本でこのような事があれば、逆に問題視されて責任問題に発展してしまうのですが。

特に、インド拠点の設立、閉鎖などは手続き上の複雑さもありますが、それ以上に不透明な実務上のリスクなどもあるため、専門家に任せて指示を仰ぐことがリスク回避のためには非常に重要なポイントと言えます。

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