インド・グルガオン駐在員の豊田です。
今回は、BSC(Balanced Score Card)についてお話ししたいと思います。
読者の皆様がグローバル事業を推進しようとする際に最も重要となってくるのは、将来の正しい戦略を設定しそれを達成する為の戦術について、組織全体の日次業務レベルにまで浸透させ、それらをPDCサイクルに従って改善し続けることです。
これを実現するためのツールとして、バランス・スコアカード(BSC:Balanced Score Card)を2週間にわたってご紹介します。今週は、1BSC基礎編です。来週は、2BSC運用編をご紹介します。
BSCは、1992年にハーバードビジネススクールのロバート・S・キャプラン教授とコンサルタント会社社長のデビット・ノートン氏が発表した業績評価システムです。企業のビジョンや戦略を達成する為に事業の構成要素を可視化しようとするものです。
従来、業績管理に用いる手法としては財務分析によるものが主流でした。BSCでは、従来からの財務の視点に加えて、顧客の視点・業務プロセスの視点・学習と成長の視点を加えた総合的な評価を行うことに特徴があります。単に帳簿上での管理を行うのではなく、お客様から見える自社、製品・サービスの品質、業務効率性、企業ナレッジの蓄積、従業員の意識や能力までを含めて評価していきます。
また、企業のビジョンや戦略を総合的に評価した後に、それらの成功要因(KFI)を見つけ出しそれをもとに現在の企業が取るべきアクションプランを設定します。設定されたアクションプランに則って企業活動を行うことで、全社的に軸のある事業活動を遂行することが可能となります。BSCに則った事業戦略を可視化したものを戦略マップと言います。
BSCの構築は、主に以下7つのステップから構成されています。もちろん、企業毎の状況によりその比重は異なりますので、自社の状況を熟考した上で必要なプロセスを検討することが必要です。
1、ビジョンと戦略の策定
2、戦略を通してビジョンを実現するための視点の洗い出し
3、戦略を通してビジョンを実現するために戦略マップを描き、各視点毎に戦略目標を設定する
4、それぞれの戦略目標を実現するために何がKey Factorとなっているのかを分析し、重要成功要因を洗い出す
5、これらの重要成功要因を「絵に描いた餅」にしないために業績評価指標を設定し、各業績評価指標に対し責任者を任命する
6、それぞれの業績評価指標に対し具体的数値目標を設定する
7、具体的数値目標を達成するための具体的なアクションプランを設定し、実行責任者を任命する
以上で、BSC基礎編は終わりです。
Tokyo Consulting Firm
グルガオン駐在員
豊田 英孝