インドにおける現地法人設立[定款の記載事項]

法務

みなさんこんにちは、本日は「インドにおける現地法人設立[定款の記載事項]」についてお話したいと思います。

[定款の記載事項]

2013 年インド会社法には、その末尾にScheduleⅠからⅦの附属文書が設けられています。ScheduleⅠのTable A に株式有限責任会社の附属定款の、Table F に基本定款のモデルがそれぞれ示されています。

・ 商号
・ 登記事務所の属する州名
・ 事業目的
・ 株主は有限責任である旨
・ 資本金及び授権資本金額
・ 発起人の氏名、住所、保有株式数など

2013 年会社法では、会社が定款に記載された目的以外の行為を行った場合には、たとえ全株主の同意があったとしても、絶対的無効になると解されています。そのため、会社の事業目的を作成する場合には、将来行う可能性がある事業を包括的に記載しておく必要があります。たとえば、設立当初は輸入販売を行いますが、将来的にはインドで製造販売を行うことが予定されている場合には、製造業を加えます。

設立を委任するインドの会計事務所や弁護士事務所が用意する標準的な定款には、会社に応じて作成する主目的以外にもさまざまな目的が数十項目にもわたって記載されており、設立した会社がインドでの主目的以外の活動を行っても支障が起きないようになっています。附属定款には、次の事項が記載されますが、その詳細については会社によって区々となります。

・ 定義
・ 株式と株主の権利
・ 株主総会
・ 取締役会
・ マネージャーまたは秘書役
・ 社印
・ 配当及び準備金
・ 計算
・ 清算
・ 免責

2013 年会社法では、会社がその適用を一部または全部排除することを明示した独自の定款を採用しない限り、会社法のモデルが会社の附属定款として適用されると規定されています。ただし、インド企業と合弁会社を設立する場合に、合弁契約の条件と定款の記載内容を一致させる必要があります。
株主総会での決議事項の把握も重要です。特に注意が必要な点は、定足数や議決要件が標準の附属定款では「議決権数」ではなく、「株主の挙手数」であることです。これが原因で、出資比率では日本側がインド側を上回っていても、総会に出席した株主がインド側の方が多いと、インド側に有利な決議が行われてしまうことがあります。このリスクを回避するには、定款に株主総会決議は挙手ではなく議決権数による旨を規定するなどの対策が必要です。
このように、会社法のモデルをそのまま利用すると、議決権などの面で、日系企業が不利益を被るおそれがあります。合弁企業を設立する際には、相手企業が提出してきた定款をそのまま採用するのではなく、適切な法律事務所や会計事務所と相談して作成することが重要となってきます。

お読みいただきありがとうございました。
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