皆さん、こんにちは。
今週は実務というよりはインドにおける会計制度の概要に触れたいと思います。
インドにおける企業会計は、インド勅許会計士協会 (ICAI:The Institute of Chartered Accountants of India)
の会計基準審議会が定める会計基準、及び2013年新会社法に従って運用されています。
インドで企業活動を行う会社は、これらの法規に則って決算書を作成しなければなりません。 インド会計基準は
2017年7月現在 Accounting Standards 29 まで制定されており、すべてのインド国内企業に適用されます。
2016年9月、インド勅許会計士協会(The Institute of Chartered Accountants of India)は IFRSに収斂し
たインド会計基準(Indian Accounting Standards : IAS)を公表しました。会計年度2016-17年度より、銀行、
保険会社、一部金融機関を除く上場・非上場企業に対し、会社の規模に応じて段階的に強制適用となりました。
銀行、保険会社、その他金融機関に対しても2018年4月より規模に応じて段階的に適用となります。
また、上記の基準を満たさない企業については、引き続き現行のインド会計基準が適用となります。
この新しいインド会計基準は、その大方がIFRSに収斂されたものです。しかし、一部IFRSとは異なる内容もあ
ります。例えば、IFRS基準では貸借対照表の事を「statement of financial position」と呼ぶのに対し、イン
ド会計基準では「balance sheet」、同じく損益計算書はIFRS上で「statement of comprehensive income」
に対し、インド会計基準では「statement of profit and loss」と呼ばれます。このため、IFRSを強制適用して
いる国としては未だ見なされていないのが現状です。
さて、現状でインドにおける財務諸表の特徴は、貸借対照表が固定性配列法による表示によって行われている点
にあります。固定性配列法とは、流動性の低い項目から順に配列する方法であり、資産については「固定資産」
⇒「流動資産」の順、貸方は「資本」⇒「固定負債」⇒「流動負債」の順に表示します。 こちらは過去
占有国であったイギリスが固定性配列法を採用していたことに依ります。
損益計算書についてみると、日本では「売上総利益」⇒「経常利益」⇒「当期純利益」と利益を3段階に区分し
て算出しますが、インドでは、(一部の特別損益項目を除いて)総収益から総費用を引いて「経常利益」を一度
で算定することに特徴があります。
本日は以上です。
東京コンサルティングファーム
中村 匠吾
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