
皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループインド拠点の亀 圭良です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は【インド会社法】実質的支配者(SBO)申告とBENコンプライアンスとは?未提出・遅延時の実務リスク についてお話していこうと思います。
インドに関する基礎知識が知りたい方は、こちらから▼
・インドの基礎知識
インドに関するセミナーに参加したい方は、こちらから▼
・インド関連セミナー
【インド会社法】実質的支配者(SBO)申告と
BENコンプライアンスとは?未提出・遅延時の実務リスク
1.BENコンプライアンス(SBO申告)の概要 結論として、インド子会社におけるBENコンプライアンスの重要ポイントは以下の3点です。
- SBO(実質的支配者)の特定:名義株主だけでなく、背後で支配力を持つ自然人を特定・申告する義務
- 広範な適用範囲:日本本社100%出資であっても、中間持株会社や役員構成によっては申告対象となる
- 厳格なペナルティ:未提出・遅延の場合、法人だけでなく役員個人への罰金や株式権利の制限リスクがある
BENコンプライアンスとは、インド会社法上、会社の名義株主だけでなく、実質的に会社を所有・支配している者を特定し、必要な申告・登録を行う制度です。
特に重要となるのが、Significant Beneficial Owner、いわゆるSBOです。SBOとは、会社に対して一定以上の株式、議決権、配当受領権を有する、または重要な影響力・支配を及ぼす自然人を指します。
日系企業の場合、日本本社がインド子会社を100%保有しているケースでも、必ずしも確認不要とはいえません。中間持株会社、地域統括会社、ファンド、信託、株主間契約などが関係する場合、最終的に誰が会社を支配しているのかを確認する必要があります。
BENコンプライアンスは単なる会社秘書役の事務手続きではありません。未提出や遅延提出がある場合、会社だけでなく役員個人にもペナルティが及ぶ可能性があります。そのため、日本本社の管理部門も制度の概要を理解しておくべきテーマです。
2.制度・背景の概要
BENコンプライアンスの中心となる規定は、Companies Act, 2013のSection 90です。同条では、会社に対し、SBOの情報を把握し、登録し、必要な情報をRegistrar of Companies、いわゆるROCに提出する義務を課しています。
また、Companies (Significant Beneficial Owners) Rules, 2018では、SBOの定義、申告方法、会社側の対応、使用すべきフォームが定められています。その後、2019年改正により、SBOの定義や実務上の申告手続きが整理されました。
主なフォームは以下のとおりです。
- BEN-1:SBO本人が会社に提出する申告書
- BEN-2:会社がROCへ提出するリターン
- BEN-3:会社が備え置くSBO登録簿
- BEN-4:会社がSBO情報を求めるための通知書
重要なのは、会社はSBO本人からの申告を待つだけでは足りないという点です。会社に合理的な疑いがある場合、または法人株主等が一定以上の株式・議決権・配当権を有する場合には、会社側から情報提供を求める必要があります。
3.SBO判定の実務ポイント
SBO判定では、単に登記上の株主を見るだけでは不十分です。直接保有だけでなく、間接保有も含めて確認します。
たとえば、日本本社がシンガポール持株会社を通じてインド子会社を保有している場合、インド側の株主名簿上はシンガポール会社が株主として表示されます。しかし、SBO判定では、その背後にいる最終的な自然人や、支配関係を確認する必要があります。
確認すべき主な要素は、株式保有割合、議決権、配当または分配を受ける権利、経営に対する重要な影響力です。株式比率だけで判断すると危険です。株主間契約、JV契約、拒否権、取締役指名権、Reserved Mattersなどにより、特定の者が経営方針に重要な影響を及ぼしている場合、SBOに該当する可能性があります。
そのため、SBO判定では、株主名簿だけでなく、グループストラクチャー、出資契約、株主間契約、取締役会構成、議決権の内容まで確認する必要があります。
4.未提出・遅延提出時のペナルティ
BENコンプライアンスを怠った場合のリスクは軽くありません。SBO本人が必要な申告を行わない場合、本人に対して罰金が科される可能性があります。
また、会社がSBO登録簿を備え置かない、ROCへ必要なリターンを提出しない、またはSBOを特定するための必要な措置を取らない場合、会社およびOfficer in default、つまり責任ある役員に対してペナルティが発生します。
さらに、会社がBEN-4により情報提供を求めたにもかかわらず、相手方が回答しない、または回答内容が不十分な場合、会社はNCLTに対して株式に関する権利制限を求めることができます。この場合、株式譲渡、配当受領、議決権行使などに制限がかかる可能性があります。
実際に、BEN-2の提出遅延により、会社および役員に対して罰金が科された事例も公表されています。つまり、これは机上の制度ではなく、実際に執行されているコンプライアンス項目です。
5.日系企業で起こりやすい実務上の落とし穴
日系企業で特に多いのは、「日本本社が100%保有しているため、SBO対応は不要」と考えてしまうケースです。しかし、実務上はそれだけでは判断できません。
たとえば、インド子会社の株主が日本本社ではなく、シンガポールやタイなどの地域統括会社である場合、インド側から見ると法人株主の背後を確認する必要があります。また、日本側でグループ再編、持株会社化、株式譲渡、合併、増資が行われた場合、その変更がインド側のSBO判定に影響することがあります。
もう一つの落とし穴は、Company Secretary任せにして、日本本社やDirectorが内容を把握していないことです。BENコンプライアンスは書類提出だけの問題ではなく、支配関係の確認そのものが重要です。提出済みかどうかだけでなく、提出内容が実態に合っているかを確認する必要があります。
6.企業が取るべき対応
まず行うべきことは、現在の株主構成の棚卸しです。インド子会社の株主名簿、親会社・中間持株会社を含むグループストラクチャー、最終的な自然人の支配関係を確認します。
次に、株式比率だけでなく、議決権、配当権、拒否権、取締役指名権、株主間契約上の重要事項決定権を確認します。特にJVや少数株主がいる場合、単純な持株比率だけで判断しないことが重要です。
そのうえで、SBO該当候補者からBEN-1を取得し、会社側は期日までにBEN-2をROCへ提出しなければなりません。併せて社内にBEN-3(登録簿)を備え置き、疑義がある場合は躊躇なくBEN-4で情報照会を行う実務体制が求められます。
過去にBEN-2を提出していない、または提出内容が現在の株主構成と一致していない場合は、個別事情に応じた確認が必要です。未提出や遅延が判明した場合には、専門家に相談のうえ、是正提出やペナルティ対応を検討すべきです。
7.まとめ
BENコンプライアンスは、単なるフォーム提出ではありません。インド子会社を誰が実質的に所有・支配しているのかを明確にするための、会社法上の重要なコンプライアンスです。
日本企業にとっては、100%子会社であるかどうかだけでなく、中間持株会社、契約上の支配権、グループ再編、JV契約などを含めて確認する必要があります。
特に、未提出や遅延提出は会社だけでなく役員個人にも影響する可能性があります。インド実務では、制度を知っているだけでは足りません。株主構成の変更時に誰が確認し、誰が申告し、どの書類を保存するのかという運用設計まで整えることが重要です。
本文
無料会員登録をされてない方は、以下のボタンから必須項目を入力後、
メールに届くパスワードを入力するとブログを閲覧できます。
この記事に対するご質問・その他インドに関する情報へのご質問等がございましたら
お気軽にお問い合わせください。
【PR】海外最新ビジネス情報サイト「Wiki Investment」
※画像クリックでWiki Investmentページへ移動します
進出予定の国、進出している国の最新情報の情報収集、時間かかりませんか?
進出してビジネスを成功させるためには、その国の知識や実情を理解しておくことが
必須となってきます。
しかし、情報が溢れかえっている社会では
どれが本当に信頼できる情報なのか?が重要になる要素です。
そんな「信頼できる情報」をまとめたサイトがあれば、どれだけ楽に情報収集ができるだろう…
その思いから作成したサイトが「Wiki Investment」です!!
弊社東京コンサルティンググループは海外20カ国超に展開しており、
その現地駐在員が最新情報を「Wiki Investment」にまとめています。
【Wiki Investmentで何ができる?】
・現地駐在員が毎週ホットな情報を更新するNews update
・現地に滞在する方からご質問頂く、
より実務に沿った内容が記載されているQ&A集
・当社が出版している海外実務本をデータベース化したTCG書籍
などの新機能も追加しました!
経営者・幹部層の方におススメしたい【全ての経営者へ贈るTCGブログ】
※画像クリックで「TCGブログ」ページへ移動します
会社経営や部下のマネジメントをしていると、様々なお悩みって出てきませんか?
・どうしたら、会社は良くなっていくんだろう・・・
・部下が育ってくれるにはどうしたらいいんだろう・・・
そういったお悩みをもつ経営層の皆様におススメしているブログがございます。
コンサルティングファームとして、これまで多くの企業様と関わり、
課題を解決してきたコンサルタント達による
経営課題や悩みについて解説したブログを無料公開しております。
もっと会社を良くしたい!、マネジメントについて学びたい!
そうお考えの皆様におススメのコンテンツとなりますので、ぜひご覧ください!
Tokyo Consulting Firm Private Limited(India)
長山毅大(ながやま たけひろ)
※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。該当情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び当社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Co., Ltd.)は一切の責任を負うことはありませんのでご了承ください。












