インドの配当分配税(Dividend Distribution Tax – DDT)の撤廃!インドの配当にかかる源泉税について

税務

こんにちは。
東京コンサルティングファームの梶野です。

インドの配当にかかる源泉税をテーマにお話します。

 

1.インドの配当にかかる源泉税について

2020年度インド国家予算案によって、インドの配当分配税(Dividend Distribution Tax – DDT)が撤廃されることが発表されました。

2020年4月1日以降に受領される配当所得に関しては、配当を受領した納税者側で課税されることになります。
なお、配当の源泉徴収義務は、配当支払企業にあります。

配当所得に関しては、日印租税条約が適用され、源泉税として配当の総額に対し10%を、配当支払企業が源泉徴収し、株主に対して支払うことになります。
しかし、日印租税条約による軽減税率の適用を受ける場合、株主は以下の書類を配当支払企業に提出する必要があります。

 

提出書類

  • 居住者証明書tax residency certificate
    居住国の所轄税務署で入手可能
  • 受益権の宣言書declaration of beneficial ownership
    インド配当支払企業が株主から入手する必要がある

 

2.非居住法人のインドでの確定申告について

1961年所得税法第115A条(5)によると、非居住法人は、以下(a)、(b)に該当する場合は、インドにおいて確定申告は必要ないことが明記されています。

  • (a)総収入が、当該会計年度において配当収入のみで構成されていること
  • (b)源泉徴収税が、かかる配当収入から差し引かれていること

そのため、非居住法人が、インド国内において配当収入以外に収益を上げていない場合は、確定申告を行う必要はありません。

 

3.配当の源泉税率

インド配当支払企業が配当を支払う時点で、上記1の提出書類を揃えることができない場合は、租税条約の軽減税率の適用を受けることができません。
その場合、以下の税率で計算され、源泉徴収されることになります。

Surcharge and Cess on Foreign company 外国企業の所得税率
Total Taxable Income 所得税率 Less Than 1 Cr(1000万INR以下) 1 Cr to 10 Crs(1000万INR以上1億INR以下) More than 10Crs(1億INR以上)
Tax Rate 基本税率 20% 20% 20%
Surcharge 追加税 0% 2% 5%
Health and Education Cess 健康教育目的税 4% 4% 4%
Net Effective Tax Rate 実効税率 20.80% 21.22% 21.84%
(section 115A of the Income Tax Act. 1961をもとに弊社作成)

 

4.源泉税の還付手続きについて

すでに3の税率で源泉税を納めたあとに、租税条約の軽減税率の適用を受けたい場合は、どうすればいいのでしょうか。

その場合、インドで確定申告を行うことで、源泉徴収された税額と租税条約による減免額との差額の還付を受けることができます。
外国企業がインドで確定申告を行う場合は、PANを取得する必要があります。

 

弊社では、インドの会計・税務に関するアドバイザリーを行っております。お気軽にご連絡ください。


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