『インド会計の簡単解説』創立費編2

皆さん、こんにちは。インド・バングラデシュ統括の小谷野勝幸です。

先日デリー・ムンバイ間貨物専用鉄道建設において双日さんがムンバイに本社を置くインド建設業王手のLarsen & Toubro Limitedと手を組み建設を受注見込というニュースが出ました。
ぜひ、交通網の発展に伴ったスマートコミュニティーの展開も期待したいですね。三井物産さんや日立さん、日揮さんがインドにおける先駆者となり、当社もデリーやグルガオン、ムンバイと全5拠点の情報網を生かしインドにおける新たな進出や支店展開を支援しています。そんな中今回は、インド進出の際に気になる創立費第2弾について紹介したいと思います。

■創立費に関わる所得税法
前回、インド会計基準に伴う創立費の処理をご紹介しました。そして、今回は、所得税法(Income Tax Act “Section 35D”)においての創業費の処理方法を紹介いたします。

所得税上での創立費の処理は、会計基準と比較すると多少異なります。創業費に含まれる項目は上記と同様となりますが、所得税法では会計基準(Accounting Standard 26, “Intangible Asset”)とは異なる処理をします。償却期間は、会社設立年度から5年間に渡って均等に償却することが認められています。又、現地法人とその他(駐在員事務所や支店、プロジェクト事務所)によって償却方法が異なりますので、下記を参考としてください。

【現地法人の場合】
①創立費(実費)
②プロジェクト費用の5%、もしくは投下資本金の5%の高い方

上記2項目より金額の少ない方が償却対象金額となります。

計算例)
創立費(Preliminary expenses):400,000
プロジェクト費用(Cost of Project):3,000,000
投下資本金(Capital Employed):2,000,000

項目 金額(INR)
①創立費 400,000
②プロジェクト費用の5%(150,000INR)又は、投下資本金の5%(100,000INR)の高い方 150,000
①又は②の少ない方 250,000

毎年の創立費に係る償却費用(5年間での償却)
250,000/5年=50,000/年

仮に2013年4月に設立した場合は、FY2013-14においては50,000INRの償却となり、最終償却年度はFY2018-19となります。一方で2013年10月に設立した場合は、FY2013-14において4月に設立した場合と同様に50,000INRの償却を行います。しかしながら、最終償却年度も同じくFY2018-19となり、FY2019-20においては償却できませんので注意が必要となります。

【現地法人以外の場合】
① 創立費(実費)
① プロジェクト費用の5%

上記2項目より金額の少ない方が償却対象金額となります。

計算例)
創立費(Preliminary expenses):400,000INR
プロジェクト費用(Cost of Project):3,000,000INR

項目 金額(INR)
①創立費 400,000
②プロジェクト費用の5%(250,000INR) 250,000
①又は②の少ない方 150,000

毎年の創立費に係る償却費用(5年間での償却)
150,000/5年=30,000/年

現地法人以外の場合においても創立費に係る償却期間は、現地法人と同様に最終償却年度は、FY2018-19となります。会計基準との差異は、インド人会計スタッフだけでは心配な時もあると思います。彼らは出来ないこともはっきり出来ると言い切ってしますので。このように、少しでも進出前後の会計から税務、人事、労務関係での不安やご質問などありましたら、こちらまでご連絡頂ければと思います。

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