インド滞在記

労務

みなさん、どうもこんにちは。増田です。

現在、インドに滞在しています。来週には日本に戻りますが、今回の出張でトルコ→ドバイ→インドと約3週間で回り、改めて色々な気付きを得ることが出来ました。

インドも、経済成長が著しいと言われますが、実際約4か月ぶりに来て見て、同じように建設ラッシュ(どの国も一部の地域ですが……)で新しいマンションがどんどん建設されていますが、日系の進出企業数を見ると、複数の某日系機関の方曰く、「今年に入って全く話が入ってこない。おそらく南の方に案件が流れている」との事でした(当社のヘッドオフィスがグルガオンにあり、私もそこに滞在しています)。

今後、グジャラート(アーメダバード)やタミルナード(チェンナイ)といった地域に日系企業の進出数が増えていくのではないか、との見方が強く、なかなかデリー周辺地域は不動産高騰、用地不足などもあって進出数は伸びないのではないか、と言われています。おそらく、1年後に2013年度進出数・地域を見ればその結果になるだろう、と私も予想しています。

そんな中で、いくつかのお客様を回らせていただき話を聞くと、最近のインドでは「人事労務問題」に関する需要が強い、というのを感じました。一口に「人事労務」といっても、規程・規則の作成、人の採用から始まり、雇用後の教育、評価、あとは解雇といった流れがあります。

インドへの日系企業の進出ラッシュが続いていた頃は、規程類の作成や人材紹介などのニーズも高かったのですが、最近では従業員に対する教育(社員育成)や評価制度の構築の依頼が当社にも多く寄せられています(先日、同テーマにてインドでセミナーを行わせていただいたところ、満員御礼、多くのインド日系企業の方々にご参加いただきました)。これは、多くの日系企業が「進出フェーズ」から「成長フェーズ」へと移っていっていることを意味しているのかと思います。

進出して最初の1年、2年はとにかく売り上げを上げていく仕組み作りが重要で、人数も少なく、最低限の経営資源(ヒト・モノ・カネ)の中でどう売り上げを上げていくか、となるため、この時期は「個人の能力」に頼る部分が大きくなります。例えば販売・サービス系の日系企業の駐在者の方に話を聞きますと、最初の頃は駐在者の方が中心に動いて、出来るインド人マネージャーを1人採用して、あとは数人でとにかく営業中心で必死にやってきた、という話をよく聞きますが、その結果、売り上げが順調に伸びてきて、仕事も増えてきて初めて「組織」の問題に直面してきます(そもそも、売り上げが上がらなければビジネス自体、組織が継続していきませんので……)。

売り上げが順調に上がり、従業員数も多くなってくると、次に継続的に売り上げを上げていく仕組み、つまり「個人」の能力から「組織の構築」が必要になってきます。

組織を構築する上で特に「社員教育」と「評価制度」についてはリンクしている部分が多く、「評価制度」に「分配」と「社員教育」の二側面を持たせる(=評価制度をただの「分配のための制度」にせず、同時に評価を通じて社員への教育も行う)ことによって、継続して組織(個人)が成長していく仕組みが出来上がります。
特にこの「評価制度」については、結果として「分配(昇給・賞与)」を絡めるケースがほとんどですので、その側面を考えると、評価基準が成果主義的なものになりがちで、結果、インド人スタッフも「個人の結果」にこだわるようになってきてしまいます。できる個人が集まっただけの組織は、一度問題が起こるとそれぞれが個人の意見を優先させ、簡単に崩壊してしまうことになりますが、組織を継続して成長させていくためには、「個人」でなく「顧客」「組織」、つまり自分以外のものを考えられる人材をいかに育成できるか、という点がポイントになってきます。

当社では、自分以外のもの(顧客、組織)を中心に考える人材を「できる人材」と定義しています。もちろん、「仕事が出来る」ことも大事ですが、バランスの問題で、なぜなら、知識・技術を優先に考える人は「組織」ではなく「個人」にウエイトがあるため、自分の経験にならない、思うようにならないと思った瞬間に、すぐに会社を去って行きます。顧客、周りの社員の迷惑を一切考えずに。この点については、日本・インドでも全く一緒で不変の事実だと思います。

逆に、こう考えられる人材が集まっている組織は、社員が「顧客のために」という事で常に顧客を意識した行動を取るため、個人差・時間差はあれども必ず時間の経過とともに個人の知識・技術も成長し、組織の規模も大きくなってきます。

立ち上げ時期は、得てして「仕事ができる人材」が欲しくなりますが(なぜなら、人がいないと自分が代わりにやらなければいけなくなるので……)、長期間にわたってビジネスを行っていく、という長期的な視点に立つと、最低限、経営幹部と言われる人はこのような人材を育てていく必要があります。

インドでの駐在者の多くの方は様々な事情で3年ほどの期間で帰任されるケースが多いと聞きますが、「私が帰った後も、後任者が来た後に問題なく、より組織が大きくなっていけるように、今のうちに問題点は全て解決したい。その仕組みを作りたい。」という話を聞かされますと、我々自身も「何とかこの思いに応えられるよう、協力して一緒に仕組みを作っていきたい」とよりモチベーションも高くなる、というのが実際です。

我々のコンサルティングという業務も、対象となる企業(クライアント)があってのビジネスですので、常に「顧客視点」に立ち、今何が問題になっているのか?これから何が問題になるのか?を考え続け、企業側の現状にあったサービスを提供していく、というのは国が違っても全く一緒だということを、今回の出張を通じて改めて実感することができました。

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