「インドの源泉税(TDS)対策と日印租税条約の実務:新法 Income Tax Act 2025対応」


皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループインド拠点の亀 圭良です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「インドの源泉税(TDS)対策と日印租税条約の実務:新法 Income Tax Act 2025対応」についてお話していこうと思います。

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「インドの源泉税(TDS)対策と日印租税条約の実務:新法 Income Tax Act 2025対応」

1. インドから日本への海外送金にかかる源泉税(TDS)の概要

 インド子会社が日本本社やインドに支店がない取引先などに対して、ロイヤリティ、技術支援
料、管理手数料、ライセンス料などを支払う場合、日本側では単なる売上やサービス収入とし
て認識していることが多くあります。
しかし、インド税務上は、支払い側であるインド法人が源泉徴収(TDS)を行わなければなら
ない場合があります。そのため、適用税率を判断するうえでは、租税条約(DTAA)の適用要件
、恒久的施設(Permanent Establishment:PE)の有無、必要書類の準備が重要となります。
また、2025年に成立したIncome Tax Act 2025およびIncome Tax Rules 2026の施行により、従
来のForm 10FやForm 15CA/15CBは、Form 41やForm 145/146に置き換えられました。これ
らは2026年4月1日以降の送金から適用され、前年度以前の支払いについては旧制度が残る形と
なります。
本記事では、日印間の支払いに関する税務制度と実務対応を整理し、日系企業の経理・税務担
当者が確認すべきポイントを解説します。単なる制度説明に留まらず、契約書や書類整備など
、実務上検討すべき具体的な対応についても整理します。

2. 背景

ロイヤリティ・技術サービス料への課税原則

 インド所得税法において、非居住者へのロイヤリティや技術サービス料(Fees for Technical
Services = FTS)は、インドで生じた所得とみなされる場合があります。その場合、Section
195に基づき、支払者が源泉徴収を行う義務があります。
税率は国内法上20%(付加税・教育税別)とされていますが、日本居住者が受け取る場合には
、日印DTAA(日本・インド租税条約)に基づく優遇税率を適用できる可能性があります。
日印DTAA第12条では、受領者が所得のbeneficial owner(実質的受益者)であり、かつインド
にPEを有しない場合、インドにおけるロイヤリティおよび技術サービス料の課税は、総額の
10%を上限とすることが定められています。
ただし、支払いが受領者のインドにあるPEに帰属する場合は、事業所得として通常の法人税率
で課税されるため、PEの有無が重要な判断ポイントとなります。
PEとは、固定的事業所や代理人を通じて継続的に事業を営むなど、インドに実質的な拠点があ
ると判断される場合に認定される概念です。PEを構成すると、支払いが技術料やロイヤリティ
ではなく、インド源泉の事業所得とみなされ、利益計算や申告義務が生じる可能性があります

3. 実務上のポイント

3.1 支払い内容と税分類の確認

 支払いがロイヤリティ、FTS、管理手数料など、どの分類に該当するかは、契約の名称ではな
く、実態に基づいて判断する必要があります。
例えば、製造装置の据付や技術指導を伴う機械販売は、単なる物品販売とみなされない可能性
があります。この場合、役務部分がFTSとして評価されることがあります。
契約書に「コンサルティングフィー」と記載していたとしても、実態として技術サービスに該
当すれば、FTSとして課税される可能性があります。一方で、日本本社が提供する純粋なオン
ライン助言のみで、インド側での滞在や固定的拠点がなければ、PEは構成されにくいと考えら
れます

3.2 PEの有無とNo PE Declaration

 インドにPEがあるかどうかは、支払いの税率や申告義務を左右します。以下のような場合には
、PEとみなされやすいと考えられます。
● 日本法人の社員がインドで長期間、通常183日超滞在し、業務管理や契約締結を行って
いる場合
● インドに固定的な事務所、工場、作業現場がある場合
● インド子会社やエージェントが日本本社のために継続的に契約を締結している場合
● 機械据付や試運転のための継続的な現地作業がある場合
PEがない場合は、ロイヤリティ・FTSとしてDTAAの10%税率が適用される可能性があります
。一方で、PEがある場合は事業所得として通常税率で課税され、所得計算や申告が必要になる
可能性があります。
したがって、日本法人はNo PE Declarationをインド子会社に提出し、インドでPEを構成して
いないことを表明することがあります。ただし、これは自己宣誓に過ぎず、実態と矛盾してい
ては意味がありません。訪問日数、業務内容、契約締結権限などを総合的に確認したうえで提
出することが重要です。

4. まとめ

 インド法人から日本本社へのロイヤリティや技術サービス料などの支払いは、インド国内法と
日印DTAAの双方を踏まえた税務管理が必要です。
日本企業は、支払い内容を分類し、PEリスクを評価し、TRC、Form 41、No PE Declarationな
どの書類を整備することで、過大な源泉税や罰則リスクを避けることができます。
制度を理解するだけでなく、送金前の確認プロセスを定着させることが重要です。日本本社と
インド子会社が連携し、契約書、請求書、税務処理を整合させることで、税務リスクを最小限
に抑え、適正な税率で円滑な資金移動を実現することができます。

 よくある質問(FAQ)

Q: インドから日本へ技術指導料を支払う際の源泉税(TDS)の税率は? A: インド国内
法では原則20%ですが、日印租税条約(DTAA)を適用し、PE(恒久的施設)がないこ
とを証明できれば10%に軽減されます。

Q: 2026年4月以降、Form 15CAや10Fはどうなりますか? A: Income Tax Act 2025の施
行に伴い、Form 10FはForm 41に、Form 15CA/15CBはForm 145/146に置き換えられま
す。

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