タイでの企業の開示制度について

 

皆さま、こんにちは。
4月よりタイに赴任いたしました安藤と申します。

今回は、タイでの「開示制度」について、お話ししたいと思います。

 

「開示制度」とは、一定のルールに基づき、企業内容についての情報開示を行う仕組みのことをいいます。
企業が、事業内容、財務内容、経営成績などについて“情報”として外部に公表することは「企業内容開示」といいます。

「企業内容開示」について、タイでは、民商法、公開株式会社法、会計法、商業登記局通達、タイ会計基準、証券取引法及び証券取引委員会通達、タイ国証券取引所(Securities Exchange of Thailand, 以下SET)及びオルタナティブ投資市場(Market for Alternative Investment, 以下 MAI)上場・開示基準など多岐にわたって関連法令などが存在します。
ですので、会社がどの法令に準拠すべきかを確認しておく必要があります。

 

日系企業の多くは“非公開(株式)会社”ですので、非公開会社の企業内容開示について具体的にお話ししたいと思います。

開示方法に関しては、以下の法令にて定められています。
・民商法典
・会計法
・商業登記局通達

 

また開示内容に関しては、以下の法令にて定められています。
・民商法典
・会計法
・商業登記局通達
・歳入法
・タイ会計基準
・1976年商務省令第2号

非公開会社については民商法典が開示根拠となりますが、財務諸表の作成ルールについては、歳入法や会計法等に従うこととなるため、双方の理解が必要となります。

 

開示スケジュールとしては、
非公開会社の場合、民商法典にて、年に1度、年次報告書を作成する義務を負いますことが定められております。
作成した年次報告書は決算日から4ヶ月以内に開催される株主総会に提出され、総会での承認を受けた後、会計記録責任者及び監査人の署名等を記載した申請書を添付の上、総会終了後1ヶ月以内に商業登録局または各県の商業登記事務所に提出しなければなりません。
つまり、遅くとも決算日から5ヶ月以内には、年次報告書を作成し提出しなければならないということになります。
しかし、実務上は株主総会をペーパー上で済ませてしまうことが多いため、もう少し早く進めることが可能だとも考えられます。
なお提出された年次報告書は商業登記局にて入手することができます。

開示内容については、以下の3つで構成される年次報告書を作成しなければなりません。

 

非公開会社の場合、

  1. 監査済の貸借対照表および損益計算書
  2. 取締役事業報告書
  3. 監査人が作成する監査報告書

キャッシュフロー計算書については強制ではないため、企業の任意で提出するものという位置づけになります。また連結財務諸表は原則作成すべきとされていますが、例外として単体財務諸表のみでも良いとされています。

 

財務諸表の雛形についても、標準となるフォーマットが1976年の商務省令第2号に示されていますのでこれを参考にすることになります。
また取締役事業報告書は、日本の事業報告書と同じようなもので、民商法典1197条に基づき、株主への事業説明資料として株主総会への提出が義務付けられています。

貸借対照表と損益計算書はタイ会計基準に基づいて作成されなければならず、他国の会計基準に基づいて作成された財務諸表の提出は認められていません。
また言語と通貨についても制約があり、それぞれタイ語、タイバーツによって表記されることが義務付けられています。タイ語以外の言語を付記することは認められてはいるものの、正式のものとして提出することは認められていませんので、タイ語での表記が必要になります。
なお財務諸表作成のもととなった会計帳簿は7年間保存しなければなりません。

 

非公開株式会社であっても、開示の義務があり、これらを遵守していかなければなりません。
上記についてご不明な際には、是非、ご相談いただければ、幸いです。

今回は以上と致します。
今週も読んでいただき、誠に有難うございます。
本グログがご活躍される駐在員の皆様、および今後進出をお考えの皆様の一助となれば幸いです。
次回もどうぞ宜しくお願い致します。

 

 

 

 

株式会社東京コンサルティングファーム  タイ拠点
安藤 朋美

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2019-10-23

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