調停機関TADMの登場の意味は?

労務

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ シンガポール拠点の田中 勇です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「調停機関TADMの登場の意味」についてお話していこうと思います。

 

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【調停機関TADMの登場の意味は?】

シンガポールにおける従業員の雇用解除に際して、近年最も大きな話題となっているのが調停・仲裁機関と呼ばれるTADMの成立です。

2019年4月から改正された雇用法により、TADMは解雇された従業員に対してわずかS$20で会社に対する訴えを起こす権利を付与し、実質的駆け込み寺として機能するようになりました。これにより、雇用契約を無視したり、一般的な慣習とかけ離れた対応で従業員を解雇する会社に対しては強いブレーキがかかることになりましたが、一方では元々なら満足するに足る金額の解雇手当や退職手当を支給している会社に対しても、解雇された従業員が「その金額は少ない」と訴えを起こすことができるようになってしまい、法律的争いを好まない日系企業にとっては大きな不安要素になっています。

従業員の立場からすると、頼もしい味方の登場!?

個人で訴えを起こす場合には、まずMOMに問い合わせをするのが一般的ですが、そこでは通常、できる限り会社の人事部と話し合いを行うようアドバイスを受けます。

解決できない場合には、TADM(労使紛争管理のための三者提携、Tripartite Alliance for Dispute Management)のサイトにアクセスして、面談を希望する(Make an Appointment)か、訴えを起こす(File my Claim)か、選択することができるとアドバイスされます。

いずれの場合も、主に以下の書類が求められます:
1.ID(身分証明書)
2.LOA(雇用契約書、Key Employment Termsを含む)
3.Relevant Letters(解雇通知、退職届、警告状など)
4.Payslip(給与明細)

面談を希望した場合、入力データに沿って通知が届き、設定された日時に面談が用意されます。
上記書類を持参して状況を説明し、十分に根拠があると判断されれば、訴えを起こすようアドバイスされます。

注意が必要なのは、この訴えを起こす権利には時間的制約があるという点です。
まだ雇用が継続している場合には問題発生から1年以内に、すでに雇用関係が解除されている場合には最終日から6か月以内に訴えを起こすことが必要とされています。

仲裁はどのようにして行われる!?

訴えを起こす場合、まず労働者が申請料(S$10~S$20)を支払うことになります。

申請の後、4週間以内に仲裁(Mediation)の面談(Appointment)が設定され、雇用者側にも通知が行われます。
会社側からは、直接の雇用者または代表者(Authorised Representative)のみが出席を許され、TADMの仲裁官(Mediator)の助力の下、多くの場合友好的な解決が促されるとされています。

そこで合意された内容は和解契約書(Settlement Agreement)として文書化され、従業員、雇用者、仲裁官の三者が署名することになります。
この和解契約書が4週間以内に地方裁判所(District Court)に提出され、法的効力をもって合意された金額が支払われることになるところに、法的効力が発生します。支払いが行われ次第、従業員は支払い状況更新フォーム(Updating Payment Status Form)を提出して、案件終了となります。

今回は以上お伝えします。


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