ASEAN成長率トップクラス!フィリピンとベトナムの法制度の違いとは?!Part.7

会計

こんにちは
Tokyo Consulting Firmの大橋 聖也です。

 

【1分でわかるフィリピン・ベトナム進出のイロハ】

No.97< ASEAN成長率トップクラス!フィリピンとベトナムの法制度の違いとは?!Part.7>

 

フィリピン・ベトナム両国における海外子会社では、独立監査人より法定監査を受ける必要があります。
今回は、年次の法定監査における要点をまとめていきます。

 

検討事項①:監査対象企業

<フィリピン>

フィリピンでは会社法上、総資産または総負債が60万ペソを超える企業は、独立監査人による法定監査の対象となっています。

また、税法上、年間売上が300万ペソを超える会社は法人税の確定申告書に監査済み財務諸表を添付することが求められるため、実務上はほとんどの進出日系企業は、現地法人・支店・駐在員事務所において監査済みの財務諸表をSEC(証券取引委員会)及びBIR(内国歳入庁)に提出しなければいけません。

<ベトナム>

ベトナムでは、外国企業すなわちベトナムに進出した日系法人は、企業規模にかかわらず、認可を受けた監査法人による法定監査を受けなければなりません。

一方で、駐在員事務所は、法定監査の対象外となります。

 

検討事項②:対象期間と監査期限

<フィリピン>

原則は12月決算となりますが、設立時またはその後、1月~12月のいずれかの決算月を選択・変更することが可能です。

また、税法の規定により一課税期間は12ヶ月を超える事が出来ない為、法人設立時期や決算期変更のタイミングによっては、12ヶ月に満たない会計期間であっても決算書を作成し、法定監査を受け、税務申告手続を行う必要があります。(税法上、15ヶ月決算は認められない)

なお、法定監査の期限は、事業年度末から105日以内となります。

<ベトナム>

原則は12月決算となりますが、3月、6月、9月を決算月とすることも可能です。
12月以外の月を決算月とする場合は、その旨を財務省に通知します。

留意点としては、設立初年度の場合は、15ヶ月を限度として1年以上の会計期間を選択することもできますが、会計年度を変更する場合は、変更年度の会計期間は12ヶ月を超えることはできません。
なお、監査の期限は、事業年度末から90日以内となります。

 

検討事項③:言語と通貨

<フィリピン>

会計帳簿は英語で記帳します。
法人の財務報告全般を管轄するSECはフィリピンペソでの財務報告を基本としており、ペソ以外の外貨 (USD、日本円等)を使用する場合、機能通貨の変更申請をすることで可能となります。

しかし、法人税など税務申告はフィリピンペソとなるため、申告時には換算替えが必要となります。

<ベトナム>

会計帳簿はベトナム語で記帳します。外国語で記帳する場合でも、ベトナム語を併記する必要があります。

通貨はベトナムドンが基本ですが、税務局への通知をした上で外国通貨で記帳する場合は、外国通貨で作成された財務諸表が法定監査の対象となります。
しかし、法人税の確定申告書に添付する監査済み財務諸表は、ベトナムドンに換算替えする必要があり、換算の正確性について監査法人の証明を受ける必要があります。

 

検討事項④:提出先

<フィリピン>

BIRに事業年度末から105 日以内に法人税の確定申告と同時に、監査済み財務諸表を提出し押印を受領する必要があります。
その後、事業年度末120日以内にSECへ提出することとなります。
*SECへは、SEC登録番号に基づいたスケジューリングがされます。

<ベトナム>

会社法で定められた財務諸表一式を、事業年度末以降90日以内に、財務局・税務局・統計局、並びに工業団地に位置する場合などは、工業団地管理委員会などへ併せて提出しなければなりません。

 

上記の通り、フィリピンとベトナムでは、機能通貨による外貨建ての財務諸表作成を認める中で、税務申告は現地通貨といった共通点がある一方で、監査対象企業や決算の会計期間など異なる点もありますのでご注意下さい。

 

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Tokyo Consulting Firm – Philippine Branch
大橋 聖也

2012年、東京コンサルティンググループに入社。中小企業の発展、会計業界の生き残りを掛けて、社外CFOとして社長のビジョン実現をサポートする、ビジョナリーコンサルティングを立上げに奮闘。社長の抱えるお困り事解決すべく経営理念の策定・経営会議のファシリテート・財務分析等の支援を行う。2016年10月より、フィリピン支店の拠点長として世界に活躍のフィールドを拡げ、真の顧客貢献を目指す。

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