ASEAN成長率トップクラス!フィリピンとベトナムの法制度の違いとは?!Part.10

会計

こんにちは、Tokyo Consulting Firmの大橋 聖也です。

 

【1分でわかるフィリピン・ベトナム進出のイロハ】

No.100<ASEAN成長率トップクラス!フィリピン/ベトナムの法制度の違いとは?!Part.10>

今回は、フィリピン・ベトナムにおける会計責任者について、要点をまとめていきます。

 

<フィリピン>

フィリピンでは、現地法人に対する会計責任者に位置するものとして、財務役の任命とBOA認証の公認会計士よる決算書作成といった制度があります。
*BOA認証の会計士よる決算書作成のコンプライアンスは2019年で廃止。

フィリピン現地法人を設立する場合には、代表取締役・会社秘書役・財務役といった3役を選任する必要があります。

​財務役は、会社預金の引き出しや小切手等の会計帳簿の証憑保管、資本金送金の宣誓供述書や監査済み財務諸表に署名する権限、財務報告書類の正確性を確認し政府機関へ提出する義務などを有します。
財務役は、国籍を問わずフィリピン居住者であれば日本人でも可能、かつ取締役との兼務が認められています。

BoA(会計委員会)認証の公認会計士による決算書作成は、2016年1月に財務情報の作成・開示は会計業務の実践であり専門的能力が必要であること、また作成を担った公認会計士が証明書(Compilation  Certificate)にサインすることにより、財務諸表の作成責任がより明確になることから、年間売上が1,000万ペソを超える企業は、BoA認証の公認会計士による決算書作成し署名する証明書を監査済み財務諸表に添付することが義務付けられていました。
*BoAはフィリピン公認会計士の資格発行や行動規制を司り、フィリピンの職業的専門家(医者、弁護士、公認会計士等)の規制を行うPRC(専門職規制委員会)の下に位置付けられる組織。

しかし、対象となる企業にとっては、従前より不整合な点が多く、実務上の取扱いに苦慮するなど弊害が生じており、2019年7月12日にBoAより通達(BoA Resolution No. 36-2019)が公表され、BoAから要請のあった年次コンプライアンスが正式に撤廃されました。

*詳細は、下記のブログをご参照ください。

フィリピンBoA認証公認会計士による財務諸表作成の撤廃!

<ベトナム>

ベトナムでは、チーフアカウンタント(CA)制度があり、日系企業を含む外資企業は、必ず財務省が認めるチーフアカウンタントの資格を有する者を任命又は採用しなければなりません。
*CAは直接雇用せず、会計事務所に委託することも可能です。

厳密には、設立初年度はCAを置く必要はありませんが、設立2年度からCAの資格を持つ会計主任者を必ず必要となります。
CAは、主に会計責任者として会計部門を管理し、決算書類等に署名することで財務諸表に対し、経営者とともに責任を負うことになります。

しかし、CAの資格は、会計の専門学校や大学に通い試験を通過しなければなりません。
また、実務経験2、3年と一定期間必要となりますが、非常に合格率も高いため、すべての有資格者が十分な会計税務の知識を持っているとは限らないので要注意です。

以上、年次の法定監査とは別に、企業内の会計責任者に関する両国の制度をまとめました。


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Tokyo Consulting Firm – Philippine Branch
大橋 聖也

2012年、東京コンサルティンググループに入社。中小企業の発展、会計業界の生き残りを掛けて、社外CFOとして社長のビジョン実現をサポートする、ビジョナリーコンサルティングを立上げに奮闘。社長の抱えるお困り事解決すべく経営理念の策定・経営会議のファシリテート・財務分析等の支援を行う。2016年10月より、フィリピン支店の拠点長として世界に活躍のフィールドを拡げ、真の顧客貢献を目指す。

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