ASEAN成長率トップクラス!フィリピンとベトナムの法制度の違いとは?!Part.5

税務

こんにちは
Tokyo Consulting Firmの大橋 聖也です。

 

【1分でわかるフィリピン・ベトナム進出のイロハ】

No.95< ASEAN成長率トップクラス!フィリピンとベトナムの法制度の違いとは?!Part.5>

今回は、株式譲渡した際のキャピタルゲインに関する税金についてです。

近年、フィリピン・ベトナム両国で、外資規制の緩和によるローカルから外国資本への資本比率変更、グループ間での組織再編や現地企業の買収などによる株式資本の譲渡を検討する企業が増えています。

 

株式譲渡時に発生する税金や手続きに関して要点をまとめていきます。

フィリピンでは、株式譲渡時に発生する譲渡益に対し、キャピタルゲイン税が課税されます。
非上場企業の株式譲渡に係るキャピタルゲイン税について、フィリピン内国法人、個人については一律15%、非居住外国法人について、10万ペソまでは5%、10万ペソを超える部分に関しては10%が課せられます。
申告納付期限は、譲渡契約日から30日以内になります。

また、キャピタルゲイン税は、日比租税条約にて免税の適用が可能ですが、総資産のうち50%超が不動産を構成している場合など当該免税措置が適用されないケースがある点に留意が必要です。
株式譲渡の流れとしては、株式譲渡契約書を締結し、キャピタルゲイン税並びに印紙税の支払をした後、税務当局より株主変更の許可証(CAR:Certificate Authorizing Registration)を入手します。
その後、株主構成が記載されているGIS(General Information Sheet)や会社秘書役が管理するSTB(Stock And Transfer Book)を更新したものと併せてSEC(証券取引委員会)へ届出が必要となります。

 

一方、ベトナムでは、売却額から取得価額及び付随する費用を控除した額から生まれた譲渡益に対し、資本譲渡税(Capital Assignment Profits Tax)として20%が課税されます。

資本譲渡する場合は、譲渡者(売り手)で税務申告する必要があり、申告納付期限は「資本譲渡に関する当局の承認」より10日以内となっています。

 

また、キャピタルゲイン税は、日越租税条約にて免税の適用が可能ですが、持株比率が25%未満である場合など当該免税措置が適用されないケースがある点に留意が必要です。

株式譲渡の流れは、譲受人が計画投資局に資本譲渡に関する登録書(法律で定められた雛形)を提出し、税務申告を提出した後、投資登録証明書(IRC:Investment Registration Certificate)と企業登録証明書(ERC:Enterprise Registration Certificate)の修正をします。

 

フィリピン・ベトナム両国ともに、売却価格については、税務当局の判断によりますが、原則として時価又は売却価格のいずれか高い方が適用されます。
また、一般的に株式譲渡手続きには約2ヶ月~3ヶ月程の期間を要します。

 

以上、フィリピンとベトナムにおける株式譲渡時のキャピタルゲインに対する税金の比較になります。
今週もどうぞよろしくお願いします。

 

Tokyo Consulting Firm – Philippine Branch
大橋 聖也

2012年、東京コンサルティンググループに入社。中小企業の発展、会計業界の生き残りを掛けて、社外CFOとして社長のビジョン実現をサポートする、ビジョナリーコンサルティングを立上げに奮闘。社長の抱えるお困り事解決すべく経営理念の策定・経営会議のファシリテート・財務分析等の支援を行う。2016年10月より、フィリピン支店の拠点長として世界に活躍のフィールドを拡げ、真の顧客貢献を目指す。

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