ASEAN成長率トップクラス!フィリピンとベトナムの法制度の違いとは?!Part.9

法務

こんにちは
Tokyo Consulting Firmの大橋 聖也です。

 

【1分でわかるフィリピン・ベトナム進出のイロハ】

No.99< ASEAN成長率トップクラス!フィリピンとベトナムの法制度の違いとは?!Part.9>

 

フィリピン・ベトナムへの進出形態の一つとして駐在員事務所がありますが、設立の簡便さ・運用コストだけでなく、進出後の活動内容・閉鎖の手続き・その他留意点を把握しておく必要があります。

今回は、両国における駐在員事務所の要点をまとめていきます。

 

検討事項①:駐在員事務所の活動範囲

<フィリピン>

フィリピンでの駐在員事務所の役割は限定的で、市場調査や事業開発等の情報収集、本社との連絡業務、製品の販売促進や品質管理などがメインとなっており、現地での直接的な営業・販売活動はできません。
よって、駐在員事務所はフィリピンで所得を得ることはできず、見積発行・売買契約の締結も認められらないため、契約交渉や契約の締結はフィリピン国外で本社が行う必要があります。

営業活動を行い所得を得ている場合は、PE認定課税を受けるリスクがあります。
実務上は、PE課税を受ける事例は極めて稀ですが、将来的に税務調査時など指摘を受ける可能性はあります。

 

<ベトナム>

ベトナムでも同様に、売上が発生するような営業活動は認められないが、現地に駐在員を送り、連絡業務・市場調査・展示会などのプロモーション活動は行うことができます。

法令では、駐在員事務所のPE認定が明確に定められていないが、駐在員事務所の活動範囲の限定や活動内容のベトナム政府の取り締まりは、年々厳格化されていることから、メンテナンス・カスタマーケアが利益創出できる活動とみなされる可能性があるため、保管する書類への表記には注意が必要です。

また、実務上はベトナムにある駐在員事務所がPE認定を受けた事例はなくとも将来的にはPE認定制度が導入やPE課税リスクが高まる可能性は考えられます。

 

検討事項②:設立と閉鎖期間

<フィリピン>

  • 設立は、申請書類提出後から約2~3ヶ月
  • 最低3万USDの送金が必要
  • 存続期間に関する定めはなし
  • 居住代理人を1名選任する(居住性を有する外国人も可能)
  • 登記住所は、バーチャルオフィスでも可能
  • 閉鎖は、税務調査を含め約1~3年程度
    *閉鎖手続きと同時並行で、現地法人の設立は可能。

 

<ベトナム>

  • 設立は、申請書類提出後から約3~4週間
  • 存続期間は、原則5年間(延長は可能)
    *日本で会社設立後1年以上が経過している必要あり。
    *設立申請時に登記住所の賃貸契約書が必要になるが、バーチャルオフィスの場合はライセンスの発行が拒否されたり、活動期間の短縮される可能性があるため、個室オフィスを利用し、賃貸契約も1年以上とするのが望ましい。
  • 閉鎖は、税務調査を含め約6ヶ月程度
    *閉鎖手続きと同時並行で、現地法人の設立は可能。

 

検討事項③:駐在員事務所の代表者(居住代理人/所長)

<フィリピン>

  • 居住代理人(1年以上の滞在ビザを持つ外国人も可能)
  • 現地駐在員が居住代理人となる場合、就労ビザ並びに労働許可証の取得が必要

 

<ベトナム>

  • 所長が複数の役職を兼務出来ないため、現地法人の法定代表者にはなれない
  • 所長が常住しなければならない規定はないが、不在にする場合は本社の承認を得て、他の従業員に委任しなければならない

 

検討事項④:主なコンプライアンス

<フィリピン>

  • 法人税が発生せずとも申告は必要
  • 事業税は、毎年1月末までに営業許可書の更新時に支払いが必要
  • 設立日から毎年30日以内にGIS(登記簿)の年次更新
  • 法定監査の対象となり、120日以内に監査済み財務諸表の提出

 

<ベトナム>

  • 法人税の申告納付はなく、個人所得税のみ
  • 事業登録税も不要
  • 毎年の年次活動報告を管轄の商工局に対して翌年1月31日まで提出する
  • 法定監査の対象外
    *監査済み財務諸表が必要ない為、財務諸表を作成せずに収支管理表や現金出納帳を作成

検討事項⑤:税務調査

<フィリピン>

税務調査は、原則4期目以降から対象となり、法人化に伴う閉鎖時は必ず行われる
*駐在員の所得税に関する調査は現状行われていないが、賃貸契約やコンサルティング会社などの外注先に対する源泉税の申告納付漏れを指摘されるケースが多い。

<ベトナム>

税務調査は、5年後の活動期間の終了時、法人化に伴う閉鎖時または延長時
*税務調査時には、VATインボイス(レッドインボイス)の入手・保管していない場合、出張旅費や各種手当の社内規定がない場合、該当する支払いは所長や従業員に対するベネフィットをみなされ、個人所得税の追徴課税を受ける可能性がある

 

以上、フィリピンとベトナムにおける駐在員事務所における設立・運用・閉鎖のまとめとなります。


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Tokyo Consulting Firm – Philippine Branch
大橋 聖也

2012年、東京コンサルティンググループに入社。中小企業の発展、会計業界の生き残りを掛けて、社外CFOとして社長のビジョン実現をサポートする、ビジョナリーコンサルティングを立上げに奮闘。社長の抱えるお困り事解決すべく経営理念の策定・経営会議のファシリテート・財務分析等の支援を行う。2016年10月より、フィリピン支店の拠点長として世界に活躍のフィールドを拡げ、真の顧客貢献を目指す。

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