皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ フィリピン拠点の古谷 桃可です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「ゼロVATについてBIRからの再通達②」について
お話していこうと思います。
【ゼロVATについてBIRからの再通達②】
前回の記事では、ゼロVATに関するフィリピンの内国歳入庁であるBIR(Bureau of Internal Revenue)から発行されたRevenue Memorandum Circular No.80-2023に記載の前半部分について紹介しました。今回は、後半に記載のこれまでゼロVATに関して通達された内容についてQ&A式で解説がされている箇所を紹介します。
<輸出登録企業の取引について>
Q1. RR No. 3-2023の施行日はいつですか。
A1. 当条文に記載の通り、公表されてすぐに効力が発揮されます。今回は、2023年4月28日に公表されたため同日が施行日となります。
Q2. RR No.3-2023施行について、ローカルの輸出登録企業からの商品およびサービスについてゼロVATを適用するには事前のBIRからの承認が必要ですか。
A2. 必要ありません。ローカルの輸出登録企業は事前のゼロVATに関するBIRへの申請は必要なくなりました。
Q3. 輸出登録企業の国内取引にゼロVATを適用するための必須条件はなんですか。
A3. 輸出登録企業のフィリピン国内での購入取引に関しては、企業の登録プロジェクトまたは事業に直接的かつ包括的なものであること。そして、RR No.3-2023に記載のネガティブリストに含まれていないことが条件となります。
Q4. もし購入した商品またはサービスが登録事業に直接的かつ包括的に関わるものだが、ネガティブリストに記載されているものであった場合、購入側の輸出登録企業ではどう対処すれば良いですか。
A4. 購入した商品・サービスがネガティブリストに概要する物の場合、輸出登録企業であっても該当のフィリピン投資誘致機関(IPA)にて必要書類の提出をし、登録事業に直接的かつ包括的に関わるものであると証明する必要があります。その際、VAT Zero-Rate Certificateが発行されます。またこれは後のBIRからの税務調査の実行を妨げるものにはなりません。
Q5. 輸出登録企業がローカルサプライヤーからの購買にゼロVATを適用する際に用意が必要な書類は何ですか。
A5. VAT Zero-Rate Certificateをもってローカルからの取引はゼロVATが適用されますが、その後のBIR税務調査に備えて輸出登録企業は下記の書類をサプライヤーへ提出する必要があります。
a. VAT Zero-Rate Certificate
b. BIRから発行された商品・サービスの受取先企業のCOR
c. 該当するIPAからの全ての登録されたエコゾーンが記載されたCOR
d. RMC No.84-2022のAnnex Aのフォーマットに則り、購入した商品・サービスが直接的かつ包括的に登録事業へと関連している旨を記載した宣誓供述書
Q6. ゼロVAT申請において該当のBIRオフィスでRMC No.3-2023の内容が適用されきれていない場合はどうすれば良いですか。
A6. もしの申請が該当IPAから発行されたVAT Zero-Rate Certificateを伴うものであれば、RMC No.36-2022に基づいてゼロVATの適用は申請日より行使され、登録事業の直接的かつ包括的に関わるかについてのBIR税務調査の対象ともなります。
Q7. RR No.3-2023以前にゼロVAT申請なしに完了している取引においての優遇措置はどうなりますか。
A7. もしゼロVAT適用に該当する取引であっても売り手側がゼロVAT申請を怠った場合は通常の12%が課税されます。
Q8. 以前のゼロVAT申請で却下された特定の取引について、RR No.3-2023の施行によって優遇措置対象となる可能性はありますか。
A8. ありません。以前の申請で既にBIRからゼロVAT適用の条件に相応しくないと判断された取引については通常の12%が課税されます。
Q9. ゼロVAT適用をBIRにより却下された取引は還付対象となりますか。
A9. 上記Q&A8に記載の通り、BIRより既に却下された取引については通用のVAT適用となります。
しかし、GIT(Gross Income Tax)やSCIT(Special Corporate Income Tax)のような法人税の優遇税制を享受している企業は、優遇期間を満了後にインプットVATをアウトプットVATと相殺または還付手続きができます。(RMC No. 24-2022 Q&A No.40に記載の通り)
Q10. 輸出登録企業の取引の監査においてゼロVATに関して留意しておくべきことは何ですか。
A10. 下記事項はゼロVAT適用の取引を監査する際に確認されるべきです。
a. 登録プロジェクトまたは事業について適切なBIRオフィスで登録されているか。
b. 優遇税制享受のために該当のIPAへ登録されているか。
c. IPAよりVAT Zero-Rate Certificateが発行されているか。
d. 注文書、請求書、領収書、サービス契約書など取る引きに関する書類がすべて揃っている事。
e. 購入した商品・サービスの受取先はゼロVAT享受の対象となる登録されたオフィスや支店、エコゾーンであること。
f. 税法およびその他規則に則った取引であること。
Q11. RR No.3-2023によりVAT申請の必要がなくなってから、サプライヤーはどのように売った商品・サービスが買い手の登録企業に直接的かつ包括的に関わるか判断しますか。
A11. VAT Zero-Rate Certificateに登録された直接的かつ包括的に関わる商品・サービスが列挙されています。
Q12. Health Maintenace Organaization (HMO)のプランでゼロVAT申請は必要ないとされていますが、HMOが企業の事業内容に直接かかわっていなくてもゼロVAT適用となりますか。
A12. なりません。RMC No.137-2022で記載の通り、従業員のHMOプランは事業に直接関わるものではいためゼロVATは適用されません。しかし、登録プロジェクトまたは事業のオペレーションに直接かかわる従業員の給与に含まれるHMOプランについてはゼロVAT適用となります。
Q13. HMOプランのサプライヤーはRMC No.137-2022に記載されている輸出登録企業からの詳細情報を入手する必要がありますか。
A13. あります。RMC No. 137-2022のAnnex Aに記載の詳細情報を輸出登録企業顧客から入手し保管する必要があります。
<特別法や国際協定によってゼロVATの優遇措置を受けている企業について>
Q14. 特別法等によってゼロVATの恩恵を享受している企業のローカルサプライヤーはゼロVAT申請をする必要がありますか。
A14. 必要ありません。その他必要書類については下記Q&A15以降を参照ください。
Q15. ゼロVAT適用のために特別法等によってゼロVATの恩恵を享受している企業のローカルサプライヤーはどのような書類を用意する必要がありますか。
A15. 必要書類は下記の通りとなります。
・不動産デベロッパーのサプライヤーの場合
a. 不動産プロジェクトが位置する管轄のBIRから発行されたCOR
b. BOIから発行されたCOR
c. DOEから発行されたCOR
ゼロVATが適用されるのはデベロッパーの発電所施設の開発、建築、設備設置に関わる商品・サービス、不動産であり、サブコン等関連する研究開発も含みます。
・その他特別法および国際協定により優遇措置を享受する企業のサプライヤーの場合
該当のBIRから発行されたVAT Exemption Caertifivate/ Rulingおよび適用される特別法等によって定められたその他書類を買い手はサプライヤーに提出します。
Q16. 特別法等ゼロVATの恩恵を享受している企業との取引について監査で留意する点はなんですか。
A16. ゼロVAT適用の取引について留意すべきは下記のとおりです。
a. プロジェクトの所在と適切なBIRオフィスにて登録がされているか。
b. 特別法によるゼロVAT優遇享受のためにはOGA(Other government agency)への登録も必要となる。
c. 該当するOGAからのVAT Exemption Caertifivate/ Ruling等の発効がされているか。
d. 注文書、請求書、領収書、サービス契約書など取る引きに関する書類がすべて揃っていて、税法およびその他規則に則った取引であること。
<政府機関からのゼロVATに関する証明書について>
Q17. IPAから輸出登録企業へ発行されるVAT Zero-Rate Certificateにテンプレートはありますか。
A17. あります。RMC No.36-2022のAnnexes B-1およびB-2に記載のものが各IPAから発行されるVAT Zero-Rate Certificateのテンプレートとなります。
Q18. RR No.3-2023よりVAT Zero-Rate Certificateを所持する輸出登録企業についてのマスターリストをIPAがBIRへ提供する義務について、この報告書のテンプレートはありますか。
A18. あります。各IPAで承認されたゼロVATについては税務調査で必要となる基本情報等が含まれています。
以上
RMC No.80-2023の内容となります。
こちらの内容および解釈の責任は弊社が負うものでありません。
<参照資料>
https://www.bir.gov.ph/images/bir_files/internal_communications_2/RMCs/2023%20RMCs/RMC%20No.%2080-2023.pdf
この記事に対するご質問・その他フィリピンに関する情報へのご質問等がございましたら
お気軽にお問い合わせください。
※画像クリックでお問い合わせページへ移動します
【PR】海外最新ビジネス情報サイト「Wiki Investment」
※画像クリックでWiki Investmentページへ移動します
進出予定の国、進出している国の情報本当に分かっていますか?
進出してビジネスを成功させるためには、
その国の知識や実情を理解しておくことが必須となってきます。
しかし、情報が溢れかえっている社会ではどれが本当に信頼できる情報なのか?が
重要になる要素かと私は思います。
そんな「信頼できる情報」をまとめたサイトがあれば、どれだけ楽に情報収集ができるだろう…
その思いから作成したサイトが「Wiki Investment」です!!
弊社東京コンサルティンググループは海外20カ国超に拠点を有しており、
その現地駐在員が最新情報を「Wiki Investment」にまとめています。
【Wiki Investmentで何ができる?】
・現地駐在員が毎週ホットな情報を更新するNews update
・現地に滞在する方からご質問頂く、
より実務に沿った内容が記載されているQ&A集
・当社が出版している海外実務本をデータベース化したTCG書籍
などの新機能も追加しました!
経営者・幹部層の方におススメしたい【全ての経営者へ贈るTCGブログ】
※画像クリックで「TCGブログ」ページへ移動します
会社経営や部下のマネジメントをしていると、様々なお悩みって出てきませんか?
・どうしたら、会社は良くなっていくんだろう・・・
・部下が育ってくれるにはどうしたらいいんだろう・・・
そういったお悩みをもつ経営層の皆様におススメしているブログがございます。
コンサルティングファームとして、これまで多くの企業様と関わり、
課題を解決してきたコンサルタント達による
経営課題や悩みについて解説したブログを無料公開しております。
もっと会社を良くしたい!、マネジメントについて学びたい!
そうお考えの皆様におススメのコンテンツとなりますので、ぜひご覧ください!
※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。
該当情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び当社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Co., Ltd.)は一切の責任を負うことはありませんのでご了承ください。