【マレーシア:労務】社会保障制度について

労務

日頃よりお世話になっております、
Tokyo Consulting Firm Sdn. Bhd.の安孫子で御座います。

コロナに係るスクリーニング等がSOCSOにより執り行われておりますが、マレーシアの社会保障はどのように規定されているのでしょうか。
本記事では、マレーシア企業において、必要とされる社会保障制度について記載します。

 

目次

【1.マレーシア企業に必要とされる社会保障制度について】

マレーシアでは、年金給付、労災給付等の社会保険制度、医療保障、感染症や生活習慣病等の疾病予防、健康の保持増進のための公衆衛生施策、高齢者、障害者、支援を要する児童や家庭等に対する社会福祉施策が展開されています。

社会保険制度については、日本のような全国民を対象とする制度設計とはなっておらず、民間労働者と公務員を対象とする制度が並存しています。医療保障は英国の制度に由来し、マレーシア国民は公立の病院・診療所で、わずかな負担で受診することができます。
なお、マレーシア企業において、対応義務のある社会保障制度は下記の通りです。

  1. 従業員積立基金(EPF:Employees Provident Fund)
  2. 従業員社会保障制度(SOCSO)
  3. 雇用保険制度(EIS)

 

【2.従業員積立基金(EPF)について】

従業員積立基金(EPF:Employees Provident Fund)は労働者を対象とする年金制度です。自営業者や家事手伝い、外国人労働者についてはEPFへの加入が任意となっています。
EPFは財務省の監督下で運営されており、すべての雇用者がEPFへの登録・拠出を義務付けられています。

納付方法は、加入者の個人貯蓄口座に対する労使双方の拠出であり、退職時等の給付に当てられます。
拠出額は定期的に見直されており、2012年1月以降労働者は月収の11%、雇用者は13%相当額を拠出することとされています。

なお、2021年1月以降労働者の拠出比率は9%に削減されます。また、雇用者拠出額は税控除の対象であり、同様に労働者はEPF拠出と生命保険料を併せて最大6,000RMまでが税控除することが可能です。

 

【3.従業員社会保障制度(SOCSO)について】

従業員社会保障制度(SOCSO)は労働者を対象とする労災給付制度です。労働者社会保障法(Employees Social Security Act 1969)に基づき、人的資源省の下に設置されたSOCSOの運用機関である従業員社会保障機構により運営されています。

現在、すべての労働者およびその雇用者にSOCSOへの加入が義務付けられています。
なお、拠出率は労働者が月収の0.5%、雇用者は1.75%と定められていますが、月収4,000RMを超える労働者は、労働者拠出19.75RM、雇用者拠出69.05RMを上限拠出額と定められています。

また、外国人労働者(就労許可証取得者)については49.40RMを雇用者が拠出すると定められています。

 

【4.雇用保険について】

雇用保険 制度(EIS)は失業した労働者を対象とする財政支援制度です。2018年1月1日より導入されており、労働者・雇用者ともに月収の0.2%ずつを拠出するものと定められています。

 

【5.まとめ】

上記の通り、マレーシアの社会保障制度はしばしば変更されており、政権や経済状況の影響を受ける側面が大きいと言えます。加えて、設立初期は、社会保険等の登録から計算方法、納付に関し、苦労される企業様もあるものと思います。

弊社では各種給与計算、納付代行を行っておりますので、ぜひお問い合わせください。


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東京コンサルティングファーム マレーシア拠点 / Tokyo Consulting Firm Malaysia
安孫子 悠治 (abiko yuji)


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