日頃よりお世話になっております、
Tokyo Consulting Firm Sdn. Bhd.の安孫子で御座います。
昨今のコロナによる経営悪化に伴い、事業を縮小・撤退される企業もあるかと思います。その際、しばしば問題となるのが従業員の給与や解雇等の労務に係る取り扱いです。ただし、従業員数が少数であること、現地のローカルに完全に任せていたことから、雇用契約書や就業規則を用意しておらず、労務の取り扱いに苦労されている企業があります。
労務に係るお問い合わせとして、「マレーシアの雇用法において、どのように取り扱われるのか。」 といった主旨のお話をよく頂きます。ただし、マレーシアの雇用法(Employment Act 1995)の適用は1ヵ月の賃金が2,000RMを超えない、もしくは工場勤務等のワーカーに限られているため、まず、就業規則が定められているか否かをご確認頂いています。
下記にて、マレーシアの雇用契約書について簡単に触れ、就業規則の位置づけについて記載します。
目次
【1.マレーシアにおける雇用契約書について】
雇用法(Employment Act 1955)において、1ヶ月以上の雇用においては雇用契約書を作成することが義務付けられています。なお、上記の通り、多くの労働者は雇用法ではなく、雇用者と労働者間の合意によって、雇用条件・職務内容を取り決めます。万が一、雇用契約を作成していない場合には、基本的には雇用法の内容に準ずることとなります。そのため、賃金の規定や解雇時の取り扱い等のためにも、契約内容を書面で残すということは極めて重要性が高いと言えます。ただし、個人ごとの契約書において、企業運営における労働者の規定を全て記載することは現実的ではなく、別途就業規則にて取りまとめるのが一般的です。
【2.マレーシアにおける就業規則の位置づけについて】
マレーシアの雇用法において、就業規則の作成の義務はありません。ただし、従業員を雇用している以上、雇用条件の規定と公平さを明示する上で、重要な規則であると言えます。なお、労働者一人一人には雇用契約書で定めきれない詳細な規定についても、全労働者共有の規定として、就業規則で定めることが可能です。就業規則の運用において、重要なポイントは下記2点です。
1点目、就業規則が従業員に認知されていること。(従業員の合意を得ていること)
2点目、就業規則と雇用契約書の内容が合致していること。
就業規則は労働者が存在を認知して初めて効力を発揮します。仮に就業規則にて規則が定められている場合においても、労働者が就業規則の存在と内容を認知していない場合、就業規則に従わせることは難しくなります。そのため、雇用契約時には雇用契約書だけでなく、就業規則にも署名をもらう、もしくは雇用契約書にて別途就業規則の内容にも合意している旨の文言を記載する必要があります。
就業規則の設定において、記載が望ましい内容を下記します。
- 企業の商品、サービス等の説明を含む企業概要
- 労働時間について
- 賃金規定について
- 社会保険の取り扱いについて
- 休暇について
- 試用期間の取り決め
- 解雇に係る取り扱い
- 福利厚生について
- 賃金・役職に係る評価制度について
- 不正・懲戒に係る取り扱いについて
- 就業規則の更新時の周知方法について
就業規則は法的に作成義務のある規定ではないため、設定しなければならない項目等はありませんが、企業の運営における従業員の規定について定めるという観点から、あらゆる状況を想定して幅広く記載されることをお勧めします。
【3.まとめ】
会社設立初期、事業のライセンス取得やマレーシアの事業運営における実現性の確認を優先される企業が多いように見受けられます。ただし、後々労働紛争や解雇に係る取り扱い等、厄介な問題に発展するため、雇用契約書と就業規則の2点はしっかりと用意されることをお勧めします。
弊社では、雇用契約書・就業規則共に作成、改定のサポートを行っております。レビュー業務も行っておりますので、コンプラインアンスの確認も含め、ぜひお問い合わせください。
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東京コンサルティングファーム マレーシア拠点 / Tokyo Consulting Firm Malaysia
安孫子 悠治 (abiko yuji)
E-mail:abiko.yuji@tokyoconsultinggroup.com
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