マレーシアにおける減給制度に関して

労務

いつもお世話になっております。
東京コンサルティングファームマレーシア法人にて勤務しております、中村です。

今回はマレーシアにおける減給制度に関して触れたいと思います。

 

経営者の方であれば、一度は減給や解雇や減給、降格などの懲戒処分の検討する時期は必ず訪れるかと思います。

しかし一方で、マレーシアでは解雇や減給、降格などの懲戒処分を実施するのは難しいと一般的に言われています。
理由は、マレーシアは英国に習った慣習法の国であるため、雇用関連法に定められていない事実は、過去の労働裁判の判例が有効となるためです。
成文法での記載がないため、不文法(慣習・判例)等を確認する必要がありますが、細かく内容を確認しきれないとする経営者の方が多くいらっしゃいます。

 

例えば労務関連でいえば、慣習法には次のようなものがあります。

  • ①Warning Letter(警告書)の発行は、回数にこだわる必要はない。警告書3回発行で解雇などのような規則はない。
  • ②使用期間中の社員も正社員と同等の権利を有する。使用期間中の社員が成績不良を理由に3日間の告知で解雇はできない。
  • ③会社の都合で人員削減を行う場合、同じ部署内では、職歴の短い社員から解雇しなければならない。
    (Last In First Outの原則)。
    人員削減する場合、勤務成績が悪く職歴の長い年配者は最初に解雇できない。

上記の通り、マレーシアにおいては不文法(慣習・判例)を踏まえ、従業員の成績不良や不正項へ対応する必要があります。

 

目次

【減給措置を行う場合】

  • ①従業員に同意を書面で得なければならない
  • ②フォームPKを実施30日前に、従業員が勤務する州の労働局
    (State Manpower Department)へ提出する(P.U. (B) 430/2004,雇用法1955 63条)

 

※フォームPKとは

フォームPKのパートⅠ~Ⅳ

上記フォームPKは整理・解雇の際にも同じように提出する書類となりますが、減給の場合にも提出することが必要です。

  • パートⅠ 雇用主の明細
  • パートⅡ 整理・解雇の対象となる従業員数
  • パートⅢ 整理・解雇の理由
  • パートⅣ 整理・解雇回避のためにとった対策

一点、現在の新型コロナウイルス感染が拡大する状況下の中で、MCO期間中政府からの支援「Wage Subsidy」(賃金RM4000以下の従業員RM600/月)を申請した企業様も多くいらっしゃるかと存じます。

上記支援を受けた従業員については、支援を受けてから3か月間の支給+支給後3ヵ月(=計6か月間)は解雇や無給休暇を強制したり、減給をしたりすることはできないため、注意が必要になります。


Wiki-Investment 

~ 『海外投資の赤本シリーズ』、待望のデータベース化! ~ 

海外進出の対応国数30か国 ビジネスサポート企業数550社以上!!
新興国を中心に海外ビジネス情報(会計、税務、労務、基礎知識、設立、M&Aなど)をまとめたデータベース!

各国のビジネス基礎情報に加え、最新の法改正やアップデートについて、逐一更新しております!
以下、URLより無料会員登録(24時間お試し)も可能ですので、ぜひご覧ください!
URL:https://www.wiki-investment.jp


※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。該当情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び当社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Co., Ltd.)は一切の責任を負うことはありませんのでご了承ください。

 

ご質問やご依頼が御座いましたら、ぜひともお問い合わせ頂ければと存じます。
https://kuno-cpa.co.jp/お問い合わせ

東京コンサルティングファーム
中村 文香

関連記事

マレーシアの税額控除について

マレーシア会計基礎知識について

ページ上部へ戻る