皆様、こんにちは
Tokyo Consulting Firm Private Limited(India)です。
本日も、前回に引き続きインドの解雇制度について見ていきます。
今回はノンワークマンを想定した普通解雇(Retracement)と流れと留意点についてお話します。
前回のワークマンの普通解雇と大きく異なる点は産業紛争上の解雇規制が適用されない点になります。
しかしながら、解雇対象となる従業員がワークマンなのか、ノンワークマンなのかについては前回お話しした通り、明確な基準がないため、どちらに該当するか迷う場合は保守的な判断をされることを推奨します。
ノンワークマンの普通解雇の流れとしては下記の通りになります。
1、解雇通知
ノンワークマンの解雇通知の期間については、雇用契約書の定めもしくはShops and Establishment ActまたはFactories Act,1948の規定(通常は1カ月)に従う形になります。
従って、雇用契約書の解雇条項を確認する必要が出てくるのですが、この際に該当する解雇条項が普通解雇(Retrenchment)と懲戒解雇(Dismissal/Discharge)のどちらを想定して記載されているのかについて留意する必要があります。
実務上では、ノンワークマンの雇用契約書であるにも関わらず、懲戒解雇のみを想定した解雇条項しか記載されておらず、普通解雇に関する記述がないケースが存在します。
2、各種レターの送付
解雇通知(Termination letter)の送付はもちろんですが、ノンワークマンの場合、最終勤務日に退職証明(Relieving letterやExperience letter)やFull & Final Settlement letterを送付する事が慣習的に必要になります。
従業員の転職活動を行う上で必要になるため、会社として進んでこれらの書類を準備してあげる事がスムーズに解雇を行う上でのポイントになります。
3、退職金(Gratuity)の支払い 【1972年退職金支払法】
退職金はいくつかの条件を満たす従業員に対して、支給する必要があります。条件は下記の通りです。
- 原則、5年以上の間継続して労働を提供した労働者 (6カ月を超えて勤務した年は1年とみなす)
- 労働者の数が10人以上の事業所 (法人全体ではなく、事業所ごとに判断)
また、退職金の計算方法は下記の通りです。
退職金=最後に受け取った給与額(Basic salary & Dearness Allowance)×15/26×勤続年数
- ※Deadness Allowance (物価調整手当)がない場合は、Basic salaryのみ考慮
- ※上限は、200万ルピー(州によって異なる可能性あり)
このような形で退職金の支払い条件と計算方法について確認を行う形になります。
以上がノンワークマンの普通解雇の流れと留意点になります。
ノンワークマンの普通解雇を検討されている場合は、上記の留意点に気を付けて頂きたいのですが、やはりインド人の解雇は会社と従業員の間で揉めるケースが多いというのが実情です。
これらの留意点に加えて、会社としては解雇時に従業員のメリットになる手札を全て先に伝えてしまうのではなく、徐々に出していくといった形で交渉を進めていく必要があるといえます。
次回は懲戒解雇の留意点についてお話します。
今週は以上となります。
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東京コンサルティングファーム インド・デリー拠点
田本 貴稔
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