【インドにおける新労働法施行予定による影響分析―全体概要と賃金定義―】

労務

Tokyo Consulting Firm Private Limited
Tokyo Consulting Firm Human Resources Private Limited
デリー拠点

皆さま、こんにちは。東京コンサルティングファーム、デリー拠点でございます。

今回は、インドにおける新労働法施行予定による影響分析ということで、
新労働法の全体概要と➀2019年賃金法における「賃金定義」についてお話させていただきます。

こちらは弊社Wiki Investmentの第11章の労務にリンクしており、
現在、従来の労働法と併記する形で更新中です。

【全体概要】

2020年9月末に大統領承認が下り、施行時期は未定ですが新年度の2021年4月以降ではないかと言われておりました。しかしながら、昨今のコロナウイルスの影響や政治的な面から、未だ正式な施行日は中央政府より発表されておりません。すでに新労働法の概要は承認が下りていますので、弊社は次四半期の7月頃から施行されるのではないかと予測しております。

新労働法が施行されると、現状の29の労働法から4法に統括され、これまでは、複数にわたっており複雑な内容でしたが、4法に統括されることで、より理解しやすい内容になっております。

また、新労働法は、①2019年賃金法(Code on Wages)、②2020年労使関係法(Industrial Relation Code)、③2020年社会保障法(Social Security Code)、④2020年労働安全衛生法(Occupational Safety, Health and Working Conditions Code)の4種類で構成されております。

【➀2019年賃金法(Code on Wages)】

2019年賃金法は、現法の、1948年最低法(The Minimum Wages Act, 1948)、1976年平等報酬法(The Equal Remuneration Act, 1976)、1936年賃金支払法(The Payment of Wages Act, 1936)、1965年賞与支払法(The Payment of Bonus Act, 1965)の4法が1つに集約されたものです。

ここからは2019年賃金法における特徴になります。

[「賃金」の定義の統一/Unified definition of “Wages”]

これまでのインドにおける29種類の労働法では、それぞれの法律で「賃金」について定義されており、参照する法律によって異なっておりました。しかし新労働法では、1つの統一された「賃金」の定義が適応されるようになります。

今後、「賃金(wage)」に含まれるのは、雇用条件に基づく、給与・手当・その他金銭または、金銭とみなされる報酬全てとなり、つまり(i) 基本給(basic pay)、(ii) 物価調整手当(dearness allowance)、(iii) 残留手当(retaining allowance/Special allowance)となります。

一方で、下記項目に関しましては「賃金」に含まれません。

  1. 雇用条件に基づいて支払われる報酬に該当しない、当面有効な法律に基づいて支払われる賞与
    any bonus payable under any law for the time being in force, which does not form part of the remuneration payable under the terms of employment
  2. 住居費、水道光熱費、医療費、その他アメニティ費、政府が認めている賃金計算から除外されたサービス費
    the value of any house-accommodation, or of the supply of light, water, medical attendance or other amenity or of any service excluded from the computation of wages by a general or special order of the appropriate government
  3. 雇用主が年金または、積立基金(PF)に支払った拠出金及び、そこに発生した可能性のある利息
    any contribution paid by the employer to any pension or provident fund, and the interest which may have accrued thereon
  4. 旅費交通費
    any conveyance allowance or the value of any travelling concession
  5. 雇用の性質上、従業員に伴う特別な費用を負担する為に従業員に支払われる金額
    any sum paid to the employed person to defray special expenses entailed on him by the nature of his employment
  6. 居住費手当
    house rent allowance
  7. 当事者の裁定または和解、あるいは、裁判所の命令に基づいて支払われる報酬
    remuneration payable under any award or settlement between the parties or order of a court or tribunal
  8. 残業手当
    any overtime allowance
  9. 従業員に支払われるコミッション
    any commission payable to the employee
  10. 従業員解雇の際に支払われる退職金
    any gratuity payable on the termination of employment
  11. リストラによる解雇や退職の際に支払われる退職金または、謝礼金
    any retrenchment compensation or other retirement benefit payable to the employee or any ex-gratia payment made to him on the termination of employment

*賃金除外に含まれる上記11項目の合計金額が、給与全体の金額の50%を超える場合、その50%から超えた分の金額は「賃金」とみなされてしまいます。

 

次回は、上記の「賃金」の定義の統一化によるPFや退職金の拠出額の変化によってもたらされる、企業及び、従業員様への影響についてお話いたします。

弊社では、今回の新労働法施行予定に伴い、
給与構成のレビューや分析サービスも開始いたします。

そして引き続きwithコロナ・afterコロナの視点から、
将来のリスクも見据えた各種レターのドラフトやレターのレビューを行っております。

就業規則の無料レビューや、賃貸契約書・仕入先との契約書、顧客とのサービスコントラクトといった
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少しでも、ご懸念点などがございましたら、
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(2021年4月12日時点)


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