皆さん、こんにちは。
今週も先週に引き続き、インドの労務問題の具体例と対策、解説という流れでお話ししたいと思います。
それでは日系企業がインドで実際に直面した労務上の問題点を見ていきましょう。
実例)
ある日系企業D(事務所⇒製造業)は設立当初は従業員数が10名程度であったため、
賃金表や昇給ルールを特段作成していなかった。毎年の昇給率決定は他日系企業に足並みを合わせて、全社員に一律の昇給率を採用していた。
設立から年数が経ち、事業も拡大して社員数が50名程度になったが、
採用時の給与に積算で昇給が行われてきたため、同役職内の賃金格差が顕著になり、
低賃金の社員は不満がたまり、座り込みストライキが行われた。
対策)
初期の段階で賃金表や昇給ルールなどの大枠を作りこみ、計画的な昇給を行う。
解説)
無計画に昇給率決定が行われると、役職の低い古株社員の給与が新規雇用した役職の高い社員よりも給与が高くなる場合や、同役職内で賃金格差が拡がる場合が発生し、後に調整をかけるのが困難になる。
問題発生後、事後的に給与テーブルを作成し、それに合わせる形で各社員の人件費を底上げすることは会社の利益の圧迫に繋がる。
従って、給与設計を行う上では、将来の利益予想と可能労働分配率を加味するといった、財務面からのアプローチも肝要である。
本日は以上です。
Tokyo Consulting Firm Private Limited
チェンナイマネージャー
中村 匠吾(なかむら しょうご)
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