導入の背景
GST 導入の背景には、GDP の伸び率が2005 年以降、順調に推移しインド経済が高成長を続けていることが挙げられます。世界的不況下にあった2 0 0 8 年ですら6.7% の成長率を記録しています。政府は、持続可能な経済成長のための健全な税体系への移行には、税収の順調な拡大基調が欠かせないとしてきました。また、物品とサービスを切り離す従来の税体系では、区別困難な投入資財やサービスの煩雑な仕分け作業を伴い、これが一般企業のコスト負担となっているため、産業界から税制改革が急務であるとの強い要望がありました。
従来の制度では、国税は、関税(Custom Duty)、物品税(ExciseDuty)、中央販売税(CST:Central Sales Tax)、サービス税(ServiceTax)からなっていました。一方、地方税は、州付加価値税(VAT:Value Added Tax)、入境税(Entry Tax)、オクトロイ(Octori)などで構成されていました。
間接税のうち国税は、インド財務省歳入局物品税・関税中央局(CBEC:Department of Revenue, Central Board of Excise andCustoms)の管轄であり、地方税は州(市)ごとに法律が定められ、州(市)ごとに異なる税率が適用されていました。2 0 1 7 年7 月にGST が導入されたことにより、これらの間接税の大部分がGST に統一され、インド全土における物品の売買、役務の提供に対して同一の税率が適用されることになりました。
間接税のうち、関税(追加関税、特別追加関税)、物品税、サービス税、中央販売税、州付加価値税、越境税、娯楽税、贅沢税、オクトロイ、クリーン・インディア税(SBC)、農業福祉税(KKC)、国家災害対策税(NCCD)、インフラ税、クリーンエネルギー税、その他州税が、GST に一本化されました。GST が導入されたことによる最大の変化は、他州からの物品の購入に係る中央販売税と、製造業者以外の商社がファーストステージディーラーなど一定の手続を行わないとクレジット利用が認められていなかった関税(追加関税、特別追加関税)などです。これらがGST に統一されたことによって、クレジット利用が可能となり、企業の税負担が大幅に軽減されることが期待されます。