皆さん、こんにちは。
インド及びインド周辺国統括の小谷野勝幸です。
今週も皆様から寄せられたご質問についてお答えしてきます。
質問)
今回カンニング事件ビハール州で起きたが、州特有の事情(貧困層が多いなど)や問題があるのか教えてください。
回答)
ビハール州では、古くからこういったカンニングや汚職は、有名である。その理由としてビハール州が、インドにおいても最貧困州のひとつであることが上げられる。2012年JICAがまとめた貧困プロファイル(14ページ目)では、5,000万人を超える貧困層(州人口の約53.5%)が、州全土で記録されている。
加えて、ビハール州においては第一次産業 や加工業が未だに中心であり、多くの学生(中高生)が、労働力として学業の傍ら労働を強いられている。また、ビハール州はじめ、貧困州では教育分野へ予算が振り分けられないため、公立学校における教育者や教育内容の質が非常に低く、学生はそもそも正しい内容を正しく学ぶことができない場合もある。そういった環境の中で、学生も貧困から抜け出したい思いがあり、重要な全国共通テストにおいてハイスコアを獲得するために、カンニングを行っている事実が存在する。
一方、それを取り締まる監督側について下記する。ビハール州においても、第一次産業特有の住民同士や同カースト間の非常に強いつながりが存在する。それゆえ、顔見知りの教師や監督官、警察関係者に賄賂を渡しカンニングを取り締まれない、または許容する文化や社会環境がすでに出来上がっている。同様の事例は、貧困州のひとつであるウッタル・プラデッシュ州においても認識することが容易である。このカンニングにおいて、2,000ルピー前後の罰金や禁固刑を科すという話も見られるが、実際は、数百ルピーの賄賂で解決される事案も多くあるかと想定される。
しかしながら、首都デリーをはじめハリヤナ州(グルガオン)、マハラシュトラ州(ムンバイ)においては、こういった大規模なカンニングは見られない(カンニングペーパーや一部裏口は別)ので、インド全体が必ずしも腐敗しているというわけではない。
また別件とはなるが、インドにおける事情としてカンニングだけではなく、政府関連施設における賄賂要求が、頻繁に起こり日系企業のコンプライアンス上問題となっているのは、公然の事実である。
インド国内の反応については、毎年カンニングは起こっていることではあるが、現地でも多くの人が関心を持っている。なぜなら、逮捕者も大勢でたこと、国際間で騒がれこともあって、非常に珍しがっている。しかしながら、上記のように同州においてカンニングは一般的であるため、上位であるインド政府から指摘が無ければ、遅かれ早かれ沈静化される見通しである。
韓国程受験戦争と比較して、そこまで加熱している印象は正直受けないが、やはり大学によって、スコアによって多国籍企業や政府関係、金融系に就職するような兆候はある。違いは、インドでは労働者の売り手市場であり、また経済が拡大していることが上げられる。
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東京コンサルティングファーム
インド国 取締役
小谷野 勝幸
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