インドにおける移転価格文書化~Form 3CEB(会計士署名)~

税務

皆様、こんにちは、Tokyo Consulting Firm Private Limited(India) の田本です。

 

本日は、インドにおける移転価格文書化シリーズ、第1回という事で、移転価格文書化の全体像についてお話していきます。

 

インドにおける移転価格対応のコンプライアンスについて、どのようなイメージをお持ちでしょうか。

 

やはり、他国と比較して、対応しなければいけないコンプライアンス項目が多く、その分コンサル会社に支払う費用も多くなるというようなイメージをお持ちかもしれません。

 

本日は、何故そのように感じるのか、インドの移転価格文書化の経緯と共にその全体像についてお話します。

 

まず、インドにおける移転価格税制は2001年より導入されております。通常であれば、OECDガイドラインに則ったルールと推測されますが、インド税務当局が特徴的な解釈を取る傾向があり、グローバルスタンダードとは少し基準が異なる可能性があるという風に理解しておくべき必要があります。

 

他国と比較して、早い時期から移転価格税制が導入されていたこともあり、諸々の規定についてはインド所得税法92条に規定されております。文書化については92条Dや92条Eを参照する形になります。

 

さらに、2016年以降はBEPS行動計画13に基づく法制化がなされており、マスターファイルと国別報告書の対応が必要となりました。参考条文はインド所得税法286条とRule 10DAや10DBになります。

 

留意点としては、マスターファイルは申告の対象基準となる金額がグローバルスタンダードと比較して、低く設定されているため、注意が必要です。具体的には、日本親会社ではマスターファイルの作成が求められていないにもかかわらず、インド子会社では求められるという状況が発生する可能性があります。(詳細はマスターファイルの回で説明します。)

 

ここまでがインド移転価格文書化に関する経緯になります。これを踏まえた上で日系企業が行わなければならないコンプライアンス対応としては大きく4つに分けられます。

 

  • 移転価格監査/会計士による証明(Form 3CEB)
  • 移転価格文書化/ローカルファイル(TP Documentation/TP Study)
  • マスターファイル(Form 3CEAA, Form 3CEAB)
  • 国別報告書(Form 3CEAC, Form 3CEAD, Form 3CEAE)

 

過去の経緯やインド税務当局の移転価格調査に対する積極的な姿勢から、インドでは上記の移転価格文書化対応のコンプライアンスが重要とされます。

 

次回のブログでは、それぞれのコンプライアンス項目について具体的に説明していきます。

 

 

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東京コンサルティングファーム インド・デリー拠点
田本 貴稔

 

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