コロナ後に向けた人事労務戦略ということで、インドにおける新労働法が施行予定のうち、労働安全衛生法のまとめとして、本日は改めてお話させていただきます。
労働安全、健康法、労働条件、労使関係法、社会保障法、賃金を含んだ新労働法が施行予定で、9月末に大統領承認が下り、施行時期は未定ですが2021年4月ごろではないかと言われているとこれまでもお話させていただきました。
Social Security Code, 2020(社会保障に関して)
Industrial Relation Code, 2020(労使関係に関して)
Occupational safety, Health Code, Working Conditions Code, 2020(労働安全・労働条件に関して)
Code on Wages, 2019(賃金に関して)
労働法について、現在その改正案が政府により可決され、これまでの29の労働法が4法に統括される形で新たなスキームがスタートしようとしております。
今回まとめとしてお話させていただく2020年労働安全衛生法は、下記の様々な労働法を1つに集約した形となっております。
The Factories Act, 1948
The Contract Labour (Regulation and Abolition) Act, 1970
The Mines Act, 1952
The Dock Workers (Safety, Health and Welfare) Act, 1986
The Building & other Construction Workers (Regulation of Employment and Condition of Services) Act, 1996
The Plantation Labour Act, 1951
The Inter-State Migrant Workmen (Regulation of Employment and Conditions of Service) Act, 1979
The Working Journalist and other Newspaper employees (Condition of Service and Miscellaneous Provision) Act, 1955
The Working Journalist (Fixation of rates of wages) Act, 1958
The Cine Workers and Cinema Theatre Workers Act, 1981
The Motor Transport Workers Act, 1961
The Sales Promotion Employees (Conditions of Service) Act, 1976
The Beedi and Cigar Workers (Conditions of Employment) Act, 1966
まず閾値の拡大ということですが、こちらは6歳以下の子供を持つ女性労働者に対する託児所の提供についてです。
以前は30名以上の女性労働者を雇用する雇用主に対して義務化されていましたが、50名以上へと対象範囲を拡大されました。
これによって、女性の社会進出が高まっているインドにおいて、女性従業員にとっての勤務環境も改善されている様子がうかがえます。
閾値の低減についてですが、 “Welfare officer”の選任について、以前は500名以上の労働者を雇用する雇用主に対して義務化されていましたが、250名以上と対象範囲を緩和されました。
また、食堂施設の提供についても、以前は250名以上の労働者を雇用する雇用主に対して義務化されていたが、100名以上と適用範囲を緩和されました。
出稼ぎ労働者に関する規制ということで、他州からの出稼ぎ労働者に関して、雇用主はESI法及びEPF法等の適用、両州での当局への届出書の提出、当人の所在地から勤務地間の往復旅費交通費の支給等を義務化となりましたので確認が必要です。
年次のヘルスチェック義務の導入についてですが、雇用主に対して、年次のヘルスチェックテスト等の実行を義務化されました。
また、National Occupational Safety and Health Advisory Boardの設立ということで、中央政府は、National Occupational Safety and Health Advisory Boardを新たに設立し、本法案における規定や規制、運営等についてのアドバイザリーを担当し、本法案の安定運営に努めていくとされております。
今回の新労働法の施行によって、今までの複数にわたって定められていた労働法が4法に集約されるだけではなく、雇用主としての義務がより明確にもなり、同時に従業員(労働者)にとっての保証も改めて定められました。
上記を含みました変更改正が施行予定となっておりますので、給与構成を含めた見直しの準備を今の段階から行うことを推奨します。
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古川泰加(ふるかわやすか)
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