【コロナ後に向けた人事労務戦略―インドにおける新労働法施行予定 2020年労使関係法―】

労務

コロナ後に向けた人事労務戦略ということで、インドにおける新労働法が施行予定のうち、労使関係法のまとめとして、本日は改めてお話させていただきます。

 

労働安全、健康法、労働条件、労使関係法、社会保障法、賃金を含んだ新労働法が施行予定で、9月末に大統領承認が下り、施行時期は未定ですが2021年4月ごろではないかと言われているとこれまでもお話させていただきました。

 

Social Security Code, 2020(社会保障に関して)

Industrial Relation Code, 2020(労使関係に関して)

Occupational safety, Health Code, Working Conditions Code, 2020(労働安全・労働条件に関して)

Code on Wages, 2019(賃金に関して)

 

労働法について、現在その改正案が政府により可決され、これまでの29の労働法が4法に統括される形で新たなスキームがスタートしようとしております。

 

2020年労使関係法は、下記の労働法が1つにまとめられた形となっています。

 

  • The Industrial Dispute Act, 1947
  • The Trade Unions Act, 1926
  • The Industrial Employment (Standing Orders) Act, 1946

 

以前、労使関係法の一部としてお話させていただいたのが下記のポイントとなっております。

 

これまでは、有期雇用従業員(fixed term employment)について明確な保障などが定義されていないところがございました。

 

今回の施行予定となっております新労働法では、同様の業務を行う正社員と同様の給与・社会保障・福利厚生といったすべての法定給付が利用可能になります。さらに退職金支払いの対象にもなります。それぞれの雇用契約に基づいた雇用期間にわたって、役務を提供した場合、比例配分(日割り計算)で退職金支払いの対象となります。これまでは正社員として雇用されていた従業員のうち、5年以上勤続した従業員のみが退職金の対象でした。正社員の退職金の対象は変わらず、5年以上勤続した従業員となっております。

 

またストライキについて、今後はすべての産業において14日前の事前通知が必須とされますので、義務となったため事前通知がない場合は違法という形で判断されることとなります。

 

労使関係法は、調停手続き中および手続き後、7日以内、および裁判所の手続き中および手続き後、60日以内のストライキおよびロックアウトを禁止しています。

 

解雇とレイオフに関する政府の事前承認についても、これまでは100人以上の労働者を雇用している場合、自然災害以外の理由で実行する場合には、事前に政府の許可を得なければなりませんでした。100人未満の企業は事前承認なしで可能とされておりましたが、今回対象が100人から300人に引き上げられました。

 

同じようにして、原則として100人(州により50人とする地域もある)以上の従業員を雇用している事業所では、就業規則の作成義務があるとこれまでもお話してまいりましたが、こちらも300人に引き上げられる予定です。

 

このような変更改正が施行予定とお話しましたが、下記記載のポイントも今回の新労働法で施行予定とされておりますので改めてお話させていただきます。

 

労働組合法については、事業所内に複数の労働組合が存在する場合、従業員の51%が組合員である労働組合が唯一の交渉相手の組合と認識されることとなります。この閾値は、2019年の法案で設定された75%から減少し、51%となりました。また、社内に複数の労働組合がありどの組合も51%を満たさない場合、従業員の20%以上が組合員である労働組合の代表者で構成される交渉評議会が設定されます。

 

雇用主によって解雇された従業員のための「再スキル基金」という新しい概念を導入しました。これは解雇される直前に労働者が最後に受け取った15日分の賃金に相当する金額を従業員が解雇されてから45日以内に補償金として支払わなければなりません。現時点では、解雇された労働者のために基金が作成されるとだけ述べられています。 新労働法が施行された後、または政府がそれに関する通知を出した際に、改めてより詳細をお伝えできるかと存じます。

 

上記を含みました変更改正が施行予定となっておりますので、給与構成を含めた見直しの準備を今の段階から行うことを推奨します。

 

弊社では、withコロナ・afterコロナの視点から、将来のリスクも見据えた各種レターのドラフトやレターのレビューを行っております。

 

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少しでも、ご懸念点などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

(2021年2月5日時点)

 

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