【2026年最新版】インドビジネス法務・インド会社法コンプライアンス完全ガイド


皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループインド拠点の加部 新です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「インドの法務」についてお話していこうと思います。

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はじめに

インドは2023年に世界最多人口国となり、2030年代にはGDPで日本・ドイツを抜いて世界第3位の経済大国になると予測されています。チャイナ・プラスワン戦略の文脈でも、製造業・IT・インフラ分野への日系企業の進出が急増しており、インド法務対応はもはや大企業だけの問題ではありません。
しかし、インドのビジネス法務は複雑です。2013年会社法(Companies Act, 2013)をはじめ、外国為替管理法(FEMA)、労働法、税法、CSR義務など、日本とは根本的に異なるルールが重層的に存在します。法務対応を誤れば、数千万ルピーの罰金・事業停止・株主紛争に発展するリスクがあります。
本稿では、インドに進出する・すでに進出している日系企業の経営者・法務担当者に向けて、インド会社法コンプライアンスの核心を実務視点で解説します。株式制度から取締役会運営、CSR委員会、株式電子化義務まで、2026年時点の最新情報を網羅しています。

 

2013年インド会社法(Companies Act, 2013)の基礎知識

新会社法制定の背景と特徴

2014年4月に施行された2013年インド会社法(The Companies Act, 2013)は、1956年法の抜本的な改革として位置づけられます。旧法は57年間にわたって改正が積み重ねられた結果、重複規定や解釈の曖昧さが生じ、急速にグローバル化するビジネス環境に対応しきれなくなっていました。
新会社法の主要な革新点は以下の通りです。一人会社(One Person Company)の創設により、個人でも会社形態による事業運営が可能になりました。独立取締役(Independent Director)制度の明文化により、コーポレートガバナンスが強化されました。CSR(Corporate Social Responsibility)の義務化により、一定規模以上の企業は社会貢献活動への支出が法的義務となりました。また、休眠会社(Dormant Company)と赤字会社(Sick Company)の要件・手続が明確化され、実務対応が容易になっています。
重要なのは、インド企業省(Ministry of Corporate Affairs:MCA)が毎年通達を発出し法改正を継続していることです。実務対応においては、MCA公式サイトの最新情報を常にモニタリングする体制が不可欠です。

インドの会社形態と日本との比較

項目 インド(非公開会社) インド(公開会社) 日本(株式会社)
設立最低資本金 規定なし(実務上1ルピーから) 規定なし 1円以上
取締役最低人数 2名 3名(うち独立取締役必須) 1名
居住取締役義務 あり(1名以上) あり(1名以上) なし
株式譲渡制限 必須(定款で設定) なし 任意
会社秘書役 資本金1億ルピー以上で必須 必須 不要
CSR義務 一定規模以上で適用 一定規模以上で適用 任意
取締役会開催 年4回以上(3か月に1回) 年4回以上 法令上の規定なし

 

インドにおける株式制度の実務

株式の種類と概要

インド会社法における株式は、資本株式(Equity Share Capital)と優先株式(Preference Share Capital)に大別されます。資本株式はさらに、議決権付普通株式(With Voting Rights)と、配当・議決権等について異なる権利を定めた普通株式(With Differential Rights)に区分されます。
日系企業のインド子会社のほとんどは、議決権付普通株式(Equity Shares with Voting Rights)を発行しています。この株式は日本の制約のない普通株式とほぼ同様の性格を有しており、実務上の取り扱いも標準的です。
優先株式については、発行から20年以内に必ず償還するか、または普通株式に転換しなければならないという大きな特徴があります。この点で、優先株式は社債に近い性格を持ち、日本でいう株式の社債化(債権化)に相当します。合弁契約や投資スキームの設計時には、この「20年ルール」を必ず念頭に置く必要があります。

 

株式の電子化(Dematerialization)義務|2025年6月30日期限

インド会社法の改正により、株式の電子化が段階的に義務付けられています。2023年10月27日にRule 9Bが導入され、Small Company(小規模会社)を除く全非公開会社は、2025年6月30日までに株式の電子化(Dematerialization)を完了することが法的義務となりました。
株式の電子化とは、物理的な株券(Share Certificate)に代えて、NSDL(National Securities Depository Limited)またはCDSL(Central Depository Services Limited)という預託機関に株式を預託し、デポジトリ参加者(Depository Participant:DP)を通じて電子的に株式の保有・移転を管理する仕組みです。
日系企業にとって特に重要な点は、日本法人が親会社となっているインド子会社については、たとえ財務規模が小さくても「外国会社の子会社(Subsidiary Company)」に該当するため、Small Companyの免除対象とはならず、電子化義務が適用されるという点です。つまり、規模の大小にかかわらず、日系企業のインド子会社の大半が電子化対応を求められます。

 

電子化手続の流れ

電子化の手続は大きく以下の3段階で進みます。
1. 会社がNSDLまたはCDSLと預託契約(Depository Agreement)を締結する
2. 株主(日本の親会社を含む全株主)がDPにDemat口座を開設する
3. 会社が物理的な株券を回収し、対応する株式をDemat口座に記録して電子化を完了させる

日本の親会社がDemat口座を開設する際は、PAN(Permanent Account Number)の取得、KYC(Know Your Customer)要件の充足、定款・設立証明書等のアポスティーユ認証、インド国内での代理人選任など、追加的な手続が必要となります。

電子化義務違反のリスク

違反内容 制裁・影響
電子化未完了のまま放置 会社法Section 450に基づき、会社・違反責任者に1万ルピーの罰金。継続違反は1日1,000ルピー(上限20万ルピー)
電子化未完了会社が新株発行 新株発行、自己株式取得、ボーナス株式の発行が不可
株主の物理的株券の譲渡 電子化未完了の場合、物理的株券の譲渡・新株引受が不可

 

増資・株式譲渡・自己株式取得の実務

授権資本金額の増額

授権資本金額(Authorized Capital)は、会社が株式発行により調達できる資本の上限額であり、基本定款(Memorandum of Association:MOA)に定められます。日本の公開会社のような「1/4規制」は存在しないため、授権資本金額はいくらでも増額できますが、増額すると定款登録料が高額になる点に注意が必要です。授権資本金額を増額するには、原則として株主総会の特別決議が必要です。

 

株主割当増資(Rights Issue)

株主割当増資は、既存株主に対してその持株比率に応じた新株引受権を付与する増資手法で、インドでも最も一般的な増資形態の一つです。株主への申込期間として最低15日、最長30日を設けなければなりません。手続は、①取締役会決議→②株主への権利通知→③払込受付→④ROCへの30日以内の届出、という流れで進みます。
日本の親会社が参加する場合、払込はインドルピー建てとなり、外国直接投資(FDI)規制が適用されます。ただし業種別規制の範囲内であれば、持分比率増加であっても原則として新たな政府承認は不要です。

 

第三者割当増資(Preferential Allotment)

第三者割当増資は、既存株主以外の特定の第三者に新株を割り当てる手法で、新規投資家の参加や合弁持株比率の変更に用いられます。既存株主の持株比率が希薄化するため、株主総会の特別決議(出席議決権の4分の3以上の賛成)が必要です。決議には割当先の名称・割当株式数・発行価格・払込期限の明示が求められます。

 

自己株式取得(Buy-back)

インドでは自己株式取得をバイ・バック(Buy-back)と呼び、厳格な財源規制と手続要件が課されています。原資は①配当可能利益(Free Reserves)②株式払込剰余金(Securities Premium Account)③新株発行払込金(ただし同種株式の相互取得は禁止)の3種類に限定されます。

自己株式取得の主な要件

要件項目 内容
取得総額の上限 払込資本金と配当可能利益の合計の25%以下
普通株式の上限 当該事業年度における払込済普通株式の25%以下
負債資本比率 取得完了後、負債/(払込資本金+配当可能利益)が2:1以下
対象株式 全額払込済株式のみ
過去3年間の条件 預託金・利息・社債の償還等の債務不履行がないこと

 

インドの取締役制度と取締役会運営

取締役の種類

インド会社法は、通常の取締役(Director)のほか、マネージング・ディレクター(Managing Director)、常勤取締役(Whole-time Director)、そして取締役以外の役職としてマネージャー(Manager)を認めています。
マネージング・ディレクターは、取締役会から包括的な授権を受け、対内・対外両面で会社代表権と業務執行権を持つ点で、日本の代表取締役に相当します。公開会社におけるマネージング・ディレクターの任期は1回につき5年が上限です。

 

居住取締役(Resident Director)義務

2013年インド会社法Section 149(3)により、公開・非公開を問わず全ての会社は、取締役のうち少なくとも1名を、直前の事業年度(4月1日〜3月31日)において合計182日以上インド国内に滞在した者から選任しなければなりません。
日系企業の実務では、①日本人駐在員を居住取締役として選任する②インド人従業員・経営陣を取締役に選任する③合弁パートナー側から選任する④信頼できる専門家をNominee Directorとして選任する、といった対応が取られています。Nominee Directorには会社法上の責任が生じるため、専門家の選定は慎重に行う必要があります。

 

女性取締役(Woman Director)義務

上場会社、および払込資本10億ルピー以上または売上高30億ルピー以上の公開会社は、少なくとも1名の女性取締役を選任する義務があります。日系企業においても、インド子会社が公開会社形態であれば適用対象となりますので注意が必要です。

 

取締役会の開催ルール

インド会社法上、全ての会社の取締役会は年4回以上(概ね3か月に1回)開催しなければなりません。また、各取締役会の間隔は120日以内とする必要があります。取締役会は会社所在地以外でも開催でき、ビデオ会議等の電子的方法による参加も認められています。ただし、取締役は1年に1回以上は直接(現地で)取締役会に出席することが求められています。

 

取締役の欠席と資格喪失リスク

取締役会の承認なしに一定回数以上の取締役会を欠席すると、取締役の資格喪失事由となります。これは日本より厳しい規制です。日印合弁の場合、日本側が選任した取締役が無断欠席すると、インド側から取締役の地位を排除される口実を与えかねません。取締役会開催地の州を3か月以上離れる場合は、代替取締役(Alternate Director)の事前選任または欠席承認書面の取得が必要です。

 

主要経営責任者(KMP)と会社秘書役(Company Secretary)

KMP(Key Management Person)制度

2013年会社法から新設された主要経営責任者(KMP)制度では、CEO・マネージング・ディレクター・マネージャー、CFO(Chief Financial Officer)、会社秘書役(Company Secretary)がKMPとして位置づけられています。
上場会社および資本金1億ルピー以上の公開会社は、常勤のKMPを取締役会で選任する必要があります。KMPは取締役と同様に会社法上の責任・義務を負います。

 

会社秘書役(Company Secretary)の設置義務

払込資本金額が10クローレルピー(1億ルピー)以上の会社は、公開・非公開を問わず常勤の会社秘書役を設置しなければなりません。1億ルピー未満の会社は常勤設置義務はないものの、外部の会社秘書役から法令遵守証明書を取得し、会社登記局(ROC)に提出する必要があります。
会社秘書役は弁護士・勅許会計士と並ぶ公的資格であり、インドでの合格率は2〜3%程度と難易度が非常に高い専門資格です。優秀な会社秘書役の確保が困難なケースもあるため、設立準備段階から早期に候補者を探しておくことが実務上のポイントです。

 

監査役・監査委員会・指名報酬委員会

インドの監査役(Auditor)の役割

インドの会社法における監査役(Auditor)は、主に財務諸表の会計監査を行います。日本の監査役(業務監査権・会計監査権の両方を持つ)とは異なり、業務監査権は取締役で構成される監査委員会(Audit Committee)が担います。したがって、インドの監査役は日本の会計監査人に相当する機関と理解するのが適切です。

インドにおける監査の種類

監査の種類 対象 概要
法定監査(Statutory Audit) 全会社に適用 財務諸表について会計監査を受ける。日本の会計監査に相当
税務監査(Tax Audit) 前年度売上1,000万ルピー以上の内国法人 所得税法に基づく監査。法定監査と同一監査人が兼任可
内部監査(Internal Audit) 上場会社・一定規模の公開会社・非公開会社 経営リスク・コーポレートガバナンス強化を目的とした勅許会計士による監査
原価監査(Cost Audit) 中央政府が指定する製造・加工業 原価会計士(Cost Accountant)による監査

 

監査役の選任・解任の実務

インドでは監査役の「再任が原則」であり、任期中の解任には株主総会の普通決議に加えてインド政府の事前承認が必要です。日本のように取締役会の意向で自由に解任することはできません。会社設立の準備段階から信頼できる監査役候補(会計事務所)を選定しておくことが、スムーズな運営のために欠かせません。

 

監査委員会・指名報酬委員会の設置義務

以下のいずれかの要件を満たす公開会社は、監査委員会および指名報酬委員会の設置が義務付けられています。資本金が1億ルピー以上、または売上高が10億ルピー以上、または負債総額が5億ルピーを超える場合です。委員会は3名以上の取締役で構成され、うち3分の2以上はマネージング・ディレクターおよびホールタイム・ディレクター以外の取締役でなければなりません。

 

CSR義務とインド社会への貢献

CSR義務の適用基準

2013年会社法では、以下のいずれかの要件を満たす会社(上場・非上場を問わない)にCSR義務が課されています。
• 純資産が50億ルピー(約75億円)以上
• 売上高が100億ルピー(約150億円)以上
• 純利益が5,000万ルピー(約7,500万円)以上

該当する会社は、直前3会計年度の平均純利益の2%以上をCSR活動に支出しなければなりません。この「2%ルール」はインド独自の制度であり、日本企業には馴染みのない概念ですが、インドでは強制規定として運用されています。

 

CSR委員会の設置と役割

CSR義務が適用される会社は、3名以上の取締役で構成されるCSR委員会を設置しなければなりません。委員のうち少なくとも1名は独立取締役(ただし非上場の公開会社および非公開会社については独立取締役不要)である必要があります。CSR委員会の主な役割は、CSR基本方針の策定・実施状況のモニタリング・取締役会への報告です。
CSR支出の対象となる活動は、教育、医療、環境保護、貧困撲滅、農村開発など、Schedule VIIに定められた分野に限定されています。自社の事業に直接利益をもたらす活動や、従業員・その家族のみを対象とした活動はCSR支出として認められないため、活動設計には慎重な確認が必要です。

 

日系企業が陥りやすい失敗事例と対策

株式電子化対応の遅延

ある日系製造業のインド子会社は、小規模であることを理由に電子化義務の確認を怠っていました。しかし、日本の親会社の子会社である以上Small Companyの免除は適用されず、2025年6月30日の期限を過ぎた時点でROCからの警告通知を受けました。その後の対応では、日本の親会社のPAN取得・KYC書類整備・アポスティーユ認証に数か月を要し、その間は増資や株式関連の手続が一切できない状態に陥りました。
教訓:日系子会社は規模にかかわらず電子化義務の対象となります。2026年以降も新規設立時から速やかに電子化対応を開始することが不可欠です。

 

取締役の無断欠席による地位喪失

日印合弁のインド法人において、日本側が選任した取締役が帰国後に日本業務が多忙となり、取締役会の承認を得ずに3回連続で欠席しました。インド会社法の欠席規定により当該取締役は資格を喪失し、インド側パートナーから新たな取締役選任を一方的に進められ、持分比率に見合わない議決権を行使されるリスクに晒されました。
教訓:日系側の取締役は取締役会の開催スケジュールを事前に把握し、欠席が見込まれる場合は代替取締役(Alternate Director)を事前選任するか、取締役会から書面による欠席承認を取得しておく必要があります。

 

CSR義務の未把握による罰則

急成長した日系IT系インド子会社が、売上高100億ルピーを超えた年度にCSR義務の適用を受けることを認識しておらず、CSR委員会の設置・支出ともに未対応のまま事業年度を終えました。翌年の法定監査の過程でCSR義務違反が発覚し、未支出額相当の追加支出義務と取締役の個人責任を問われる事態となりました。
教訓:売上・純資産・純利益のいずれかがCSR基準に近づいた段階から、翌年度以降の義務適用を見越した準備(委員会設置・CSR方針策定・支出先の検討)を進めておくべきです。

 

自己株式取得による財務規制違反

日本の親会社への資金還元手段として自己株式取得(Buy-back)を検討したインド子会社が、取得後の負債資本比率が2:1を超えることを失念して手続を進めてしまいました。規制違反が判明した後は手続の中止・ROCへの報告・弁護士費用等の追加コストが発生しました。
教訓:自己株式取得前には、取得総額・普通株式上限・負債資本比率・過去3年の債務履行状況の全てを事前にCAおよび弁護士と確認することが必須です。

 

インド法務コンプライアンスチェックリスト

インドでのビジネス法務対応において、定期的に確認すべき主要項目を整理します。

分類 確認項目 頻度
株式管理 株式電子化の完了・維持状況の確認 随時
株式管理 授権資本金額と発行済株式数の確認 年1回以上
取締役会 年4回以上・120日以内の間隔で開催しているか 四半期ごと
取締役会 居住取締役の182日要件を満たしているか 事業年度末
取締役会 女性取締役義務の対象会社は選任済か 随時
KMP・CS 会社秘書役の設置義務確認(払込資本1億ルピー以上) 年1回
監査 法定監査・税務監査の適時実施 年次
CSR CSR義務の適用有無の確認(3要件) 年度末
CSR CSR委員会の設置・方針策定・支出実施 年次
増資 FDI規制・ROCへの30日以内届出 随時
自己株式 取得財源・数量制限・負債比率の事前確認 実施前

 

インド法務を成功させるための専門家活用

必要な専門家の種類

インドのビジネス法務を適切に管理するためには、複数の専門家の協力が不可欠です。
• インド弁護士(Advocate):会社法・FDI・契約・労働法・紛争解決全般を担当。日系企業サポート実績のある事務所を選ぶことが重要です。
• 勅許会計士(Chartered Accountant:CA):財務諸表作成・法定監査・税務監査・移転価格対応を担当。インドのCAは公的資格であり、監査証明書の発行権限を持ちます。
• 会社秘書役(Company Secretary:CS):会社法コンプライアンス・取締役会議事録管理・ROCへの各種届出を担当します。
• コスト会計士(Cost Accountant):製造業向けの原価監査対応を担当します。

 

日系企業支援実績の重要性

インド現地の弁護士・会計士であっても、日系企業特有の課題(日本の親会社との連結決算対応、日印合弁における議決権設計、日本語での報告体制など)に習熟しているかどうかは大きく異なります。インド法律事務所や顧問弁護士を選ぶ際は、日系企業支援実績・日本語対応可否・日本の法律事務所との協力体制を必ず確認しましょう。
また、インドの法改正は頻繁に行われるため、最新情報を継続的に提供してくれるリテイナー(顧問)契約を締結することが、長期的なコンプライアンス管理の観点から有効です。

 

よくある質問(FAQ)

質問 回答
株式電子化の期限はいつ? Small Companyを除く全非公開会社は2025年6月30日が期限です。日本法人の子会社はSmall Companyに該当しないため、規模にかかわらず対象となります。また、これ以降に設立された会社の場合、再度の会計年度末から18か月以内が期限になります。
日系子会社でも居住取締役が必要? はい。公開・非公開を問わず全ての会社に適用されます。日本人駐在員の選任、インド人役員の選任、Nominee Directorの活用など複数の選択肢があります。
CSR義務の対象かどうかはどう判断する? 純資産50億ルピー以上、売上高100億ルピー以上、純利益5,000万ルピー以上のいずれか1つを満たせば対象です。いずれかに近づいた段階で翌年の準備を始めることを推奨します。
取締役会は必ずインドで開催しないといけない? いいえ。取締役会はインド以外の場所(日本含む)での開催や、ビデオ会議等の電子的方法による参加も認められています。ただし年1回以上は現地参加が求められます。
自己株式取得で親会社に資金を還元できる? 可能ですが、厳格な財源規制・数量制限・負債比率要件があります。実施前にCA・弁護士による事前確認が不可欠です。
優先株式の発行で20年後はどうなる? 優先株式は発行から20年以内に必ず償還か普通株式へ転換しなければなりません。20年経過後も未処理のまま放置することは認められていません。
会社秘書役の設置義務の基準は? 払込資本金額1億ルピー(1クローレルピー)以上の会社は常勤の会社秘書役設置が義務です。それ未満の会社は外部CSによる法令遵守証明書のROC提出が必要です。
インドの監査役は途中で解任できる? 任期中の解任には株主総会の普通決議に加えてインド政府の事前承認が必要です。日本のように取締役会の判断で自由に解任することはできません。
増資時にFDI申告は必要? Automatic Routeの業種であれば政府承認は不要ですが、増資完了後にROCへ30日以内の届出が必要です。Government Routeの業種は事前承認が必要です。
取締役が無断欠席するとどうなる? 一定回数以上の無断欠席は取締役の資格喪失事由となります。欠席する場合は事前に取締役会決議による承認または代替取締役の選任が必要です。

 

まとめ

本稿では、2013年インド会社法(Companies Act, 2013)を中心に、日系企業が押さえるべきインドビジネス法務の重要事項を解説しました。最後に重要ポイントを整理します。
• 株式の電子化(Dematerialization):日系子会社は規模にかかわらず対象。電子化未完了は増資・株式譲渡の停止リスクあり。
• 居住取締役(Resident Director):全ての会社に182日以上の滞在要件あり。人選と継続管理が重要。
• 取締役の欠席管理:無断欠席は資格喪失リスク。代替取締役の選任または欠席承認書面を事前取得すること。
• CSR義務:純資産・売上・純利益が基準に達したら、翌年度からの委員会設置・支出が義務。早期の準備が不可欠。
• 会社秘書役(Company Secretary):払込資本1億ルピー以上は常勤設置が必須。難関資格のため早期確保を。
• 自己株式取得(Buy-back):財源・数量・負債比率の要件を事前に弁護士・CAと確認してから実施すること。
• 増資・株式管理:ROCへの30日以内届出、FDI規制の確認を徹底すること。

インドの法務環境はMCAの通達改正により頻繁に変化します。日系企業がインドで安定的に事業を運営するためには、インド弁護士・勅許会計士・会社秘書役といった専門家チームを早期に構築し、継続的なコンプライアンス管理体制を整えることが最大のリスクヘッジとなります。
本稿は2026年2月時点の情報に基づいています。インド法務は頻繁に改正されるため、実際の対応に際しては必ず最新情報および専門家の意見をご確認ください。

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