【フィリピン法務】フィリピン法務、改正事項①新会社法

法務

 

皆様、こんにちは。

東京コンサルティングファーム・フィリピン支店の伊藤澄高です。

今週はフィリピンの会社法や法律の改正について、執筆致します。

 

<フィリピンの会社法改正>
2019 年 2 月 20 日に改正会社法が成立し、同年 2 月 23 日に正式に施行されました。改正 内容をご説明する前に、旧会社法についてここで再確認しますと、従前の会社法では第 14 条にフィリピンに現地法人を設立する際に、取締役を最低 5 名選定する必要があると記載 があり、また第 23 条において各取締役最低 1株所有する必要があり且つ取締役の内、過半数はフィリピン居住者であることが求めらておりました。 新会社法では現行の取締役 5名というルール及びフィリピンの居住者要件が撤廃され、1 人の発起人で現地法人の設立を行うことが可能となる見込みです(最低 1 株を所持すると いう点は継続)。設立発起人の定義は法定年齢に達した自然人、パートナーシップ、組合ま たは会社とされています。また新会社法では「取締役におけるフィリピン居住者要件」が完 全に撤廃となりました。なお、代表取締役、財務役及び会社秘書役(フィリピン国民且つフ ィリピン居住者)の選定要件について変更はなく、新会社法においても同様に適用されます。 旧会社法において、財務役の選定要件は明示されておりませんでしたが、新会社法では「取 締役である必要はないものの、フィリピン居住者でなければならない」ということが明示さ れました。

 

旧会社法にて、外資 40%以下で法人を設立する場合の資本金が規定されており、最低 5,000 ペソを払込資本金として必要とする旨が記載されております。改正後はこの最低払込 資本金の要件が撤廃となります。しかし、ご留意頂きたいのはこの資本金の規制撤廃はあく までフィリピン会社法上においてである、ということです。会社法以外で資本金について規 定がある場合はその法律に準じて、資本金を設定する必要があります。

 

また公益企業に対する規制も新たに追加され、別途会社内にコンプライアンスオフィサ ーの選定、及び取締役の内 20%は独立取締役であることが求められます。新会社法におい て、以下の要件に該当する企業は公益企業とみなされます。

 

・証券取引員会(SEC)に公益企業として株式登録されており、株式上場しているか、少な くとも 5,000 万ペソの資産と 200 人以上の株主がおり、各々が最低でも 100 株以上保有し ている会社 ・銀行、または銀行に準ずる金融機関、金融ビジネス、保険、信託を行う会社 ・上記に類似する事業を行っていると SEC が判断した会社

 

さて、上記のように新会社法におけるコンプライアンス内容が明らかになりましたが、 SEC としてはこれらの法務コンプライアンスの順守をすべてのフィリピン現地法人に求め ており、新会社法の施行から 2年間の猶予が与えられています。

しかしドゥテルテ大統領がこれらの改正法案に署名をしたものの、具体的な改正要件や 手続きについては今後発布される施行規則(IRR:Implementing Rules of Regulations)にて判明していくことになるでしょう。IRR は通常、大統領が署名してから 15 日以内に官 報等で発表、その後 90 日以内に IRR が発布され、その後各改正内容が適用されます。

 

それでは今週もどうぞ宜しくお願い致します。

 

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東京コンサルティングファーム

フィリピン国 マニラ駐在員

伊藤 澄高

TOKYO CONSULTING FIRM PHILIPPINE BRANCH
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