フィリピン労務⑥~社会保障制度

労務

 

こんにちは!
東京コンサルティングファーム・マニラ支店の野島です。

今回はフィリピンの社会保障制度について書いていきます。
日本と異なる点もございますので注意が必要です。

 

フィリピンの社会保障制度は、社会保障制度(SSS)、健康保険公社(PhilHealth)、持家促進相互基金(HDMF: 通称 Pag-IBIG)の3つから成り立っています。
原則として60歳以下の外国人労働者も含む全ての労働者に対し、これら3つの保険料の負担が義務付けられています。従って、60歳以下の労働者を一名以上雇用している企業は社会保険に加盟しなければなりません。雇用者は労働者の毎月の給与から源泉徴収します。

 

SSSが被保険者に支給する社会保険給付は、疾病手当、出産手当、退職手当、障害手当、死亡手当の5つです。それぞれの手当における支給要件と保険料納付要件の両方を満たすことにより、受給資格を得ることができます。それぞれ受給資格が異なるので注意が必要です。

今回は疾病手当、出産手当、退職手当の3つについて詳しく書いていきます。

 

~疾病手当
受給資格:疾病になる直前1年以内に3ヶ月以上保険料を納付した加入者が3日以上入院し、動けなくなった場合
給付内容:平均賃金日額の90%、最高1年間に120日間支給

※上限は月額150PHP

 

~出産手当
受給資格:直前12か月間に3ヶ月以上納付している加入者
給付内容:平均賃金日額の100%。105日間支給。

 

~退職手当
受給資格:60歳以上で余儀なく退職された者、又は65歳以上の全ての労働者のうち保険料納付済み期間が120ヶ月以上ある者
給付内容:給付金額は次のうち高い方の金額が支払われる
1 1,300PHP+(平均報酬月額×20%)+〔平均報酬月額×2%×(険料納付期間-10)〕
2 平均報酬月額×40% (保険料納付済期間が120ヶ月未満の場合は一時金)

疾病手当や出産手当は日本と比較すると支給割合が非常に高いと言えます。

 

また、フィリピンでは社会保険制度を適用される雇用者と全ての労働者に労災保険が適用されます。フィリピンにおける労働災害とは就業中の事故が該当し、泥酔や故意の事故、不注意による事故は該当しません。
保険料の納付は日本同様、雇用者のみに負担義務が課されます。保険料は労働者の月給の約1%と定められています。
ここでは労働者について正式にSSSに報告がなされていないと労災保険の給付がされないので注意が必要です。

 

今週は以上となります。
次週もお楽しみください。

 

 

東京コンサルティングファーム フィリピン・マニラ拠点
野島洋孝

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