【インドにおける支店/駐在事務所設立の5つのポイント】

投資環境

 

こんにちは。
ムンバイの東海林舞(トウカイリンマイ)です。

 

5月はマンゴーシーズンの真っ只中で、街中どこでもマンゴーが並んでいます。品種によって若干価格や風味は異なるのですが、今の時期はどれも安くて甘くて新鮮です。話題のアルフォンソマンゴーもスーパーや八百屋にたくさん置いてあります。マンゴー好きにとってインドの夏は天国ですね。

さて、今回はインドにおける支店(branch office)、駐在員事務所(liaison office)の設立について、それぞれ5つのポイントに絞って紹介致します。

 

 

1 支店(branch office):本店(外国法人)の一部として取り扱われる

(1)支店の活動範囲
・専門的なサービスまたはコンサルティングサービス業務
・本店の事業にかかわる調査業務
・インド法人と親会社、関連会社間の技術や財務上の提携関係を促進させる業務
・本店の代理者としての購買や販売代理店業務
・IT産業やソフトウェアの研究開発事業
・本店やグループ会社の供給した製品や技術の支援業務

[ポイント]
・支店は現地法人と比べ活動範囲に制限がある。
・上記以外の業務を行う際はRBIの特別許可、定期的な業務報告が必要。

 

(2)借入および送金

・活動資金は本社からの送金か自らの事業活動から生じたもので賄う。
→✖借入
・支店で生じた利益は、照明があればRBIの承認なしに本店に送金できる。
→○送金

(3)支店の代表者
・インド居住性を有する代表者の名前と住所を登録する必要がある
・支店構成員のうち少なくとも1名はインドに居住していなければならない。
・「代表者=居住者」でなくともよいが、これが一般的。

 

(4)支店と日本本社の財務諸表
・日本に本社がある場合、日本側で支店財務諸表を合算できる。
(※現地法人は合算できない。)
・進出当初は赤字が計上されることがあるが、
支店の活動経費を本店の所得計算上、損金に算入することができる。
→日本における法人税を軽減(タックス・メリットの享受)
・インド支店が軌道に乗り継続的に売り上げが計上されるようになると、
上記のタックス・メリットは減少。なぜならインドにおける
法人所得税は現地法人より支店のほうが高く設定されているから。

 

(5)会計監査および移転価格税制
・毎年勅許会計士による監査を受けなければならない。
・支店と日本本社との取引は、インドの移転価格税制の適用を受ける。

 

 

2 駐在員事務所(liaison office):主たる営業所・本社とインド国内の顧客との連絡拠点
(1)駐在員事務所の活動範囲
・親会社またはグループ会社のエージェントとしての活動
・インドへの輸出入の促進
・親会社、グループ会社とインド企業との間の技術・財務上の提携関係の促進
・親会社とインド企業との連絡拠点

[ポイント]
・✖営業活動
・✖販売活動

(2)駐在員事務所への税務調査と税務申告
・駐在員事務所の認可期間は3年。したがって3年ごとの更新が必要。
・設立してから相当な年数が経っている場合や事務員を多く雇用している場合に、
税務調査が入る可能性がある。
・証憑書類やメールなどがチェックされ、「みなし課税」が課されるケースあり。
・(所得がなくても)法人所得税申告書を提出しなければならない。
・インド勅許会計士による監査を受けなければならない。

 

(3)プロジェクトオフィス
・プロジェクトオフィスとは、建設やインフラ整備プロジェクトなど、
限定的な契約の遂行のために設置される形態。
・必要な資金は本店やその他外国からの送金で賄わなければならない。
→✖借入

 

(4)プロジェクトオフィスの開設条件
・プロジェクトオフィス開設のためにRBIの許可が必要。
・RBIの許可を得るためには、本店がインド国内で
プロジェクトに関する契約締結済みであること。

・以下の4つの要件のいずれかを満たす必要がある。
*プロジェクトに必要な資金が、インド国外からの送金で賄われていること
*プロジェクトに必要な資金が、国際金融機関によって賄われていること
*当該プロジェクトが、インド関係当局から認可を得ていること
*プロジェクトの支払に関して、インド公的金融機関や銀行との間で
返済期限付きの融資を契約していること

 

(5)年次申告書「Form 49C」の提出
・2012年4月から、全ての外国会社の駐在員事務所は、
Form49Cと呼ばれる年次申告書の提出が義務付けられた。
提出期限は会計年度終了後60日以内(5月31日まで)となっている。
・Form49C提出の際、年次活動報告書(AAC)の提出日を記載しなければならない。

 

本日は以上になります。インドにおける支店と駐在員事務所、そしてプロジェクトオフィスの特徴、税務、コンプライアンスについて理解が深まったでしょうか?こちらの内容はTCFの新訂インド本(黒本)により詳しく記載されています。また、インドのコンプライアンスに関しましては、ニュースレターを通じていち早く情報を発信しております。黒本のお買い求め、メーリスへの登録をご希望の方はお気軽にご連絡ください。

 

また、東京コンサルティングファームインドでは、進出からその後の税務、法務、労務、人事、各種コンプライアンスまですべて網羅しております。インドビジネスにおいてご質問、ご相談等があればいつでもお申し付けください。

 

 

Tokyo Consulting Firm Private Limited
東京コンサルティングファーム・ムンバイ拠点
東海林 舞(トウカイリン マイ)

※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報を基に、細心の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び弊社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Private Limited, Tokyo Consulting Firm Human Resources Private Limited)は、一切の責任を負うことはありませんので、ご了承ください。

関連記事

ページ上部へ戻る