インド法人撤退について(つづき)

皆さま、こんにちは。バンガロール支店マネージャーの坂本佳代です。

 

先週に引き続き、法人撤退のテーマでお話ししたいと思います。

 

インドで法人撤退を行う場合、新会社法に準じた清算手続きが必要になることと、他国と比較しても遵守すべきコンプライアンスが非常に多いことから撤退は決して容易ではありません。また、閉鎖を前提としていないことから、様々な政府機関から許可を受ける必要があります。

 

中でも正しく税務申告が行われておらず、本来保存すべき書類が無い等の理由から多額の追徴金の支払命令が下ることも少なくないことから、インドに進出の企業様におかれましては、最低限のインドの税制や会社法についての知識を身に付けてリスクを最小限にする努力をしていただくことをアドバイスいたします。

 

現在は、インドの間接税はGSTに一本化されていますが、2017年6月以前は、物品税、VAT、サービス税、入境税など数多くの間接税が存在していました。2017年6月以前に設立された企業様が法人撤退を検討される場合、同日以前の税務申告状況によっても法人撤退手続きに影響することがありますので注意が必要です。

 

中でも、VAT当局対応で多くの企業様が悩まれることが多いです。GSTが導入される以前は、州を越えて物品を販売する場合、CSTとよばれる間接税を支払う必要がありました。このCSTは、同州内で販売する売上に係るVATと相殺控除することが出来ないことから企業にとって実質的な税コストとなっていました。通常、CSTの税率はVATの税率と同率ですが、買い手側は売り手側からForm Cを入手した場合のみ、軽減税率である2%が適用されることになります。これが回収できない場合、最高税率である14.5%(カルナタカ州の場合)が適用されます。

 

これまで多くの日系企業をサポートしてきた中で、経理や営業部隊を含めローカルスタッフがForm Cの重要性を理解していないケースが多く見受けられました。役割分担が明確になっていても積極的に回収が行われていないこともあり、過年度のVAT当局対応を行う際、Form Cの提出状況によっては、手続きが長期化するなどのリスクが生じます。

 

仮に正しくForm Cを当局に提出していたとしてもそれを証するものがない場合、担当官の入れ替わりが激しい当局側がまともに取り合ってくれないこともありますので、必ず提出記録は残しておくようにしましょう。実際に、提出記録が残っていないことから多額の追徴課税の支払いを要求されたケースもありました。税務当局対応は、Form Cが回収された時点でやり直しを要求することは可能ですので、回収分の還付請求を後日行うことは認められています。

 

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バンガロール支店マネージャー

坂本 佳代(さかもと かよ)

TEL: +91 91484 32351

 

 

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