皆さん、こんにちは。
チェンナイ駐在員の中村です。
今週は先週に引き続き、自社都合の解雇に関する質問にお答えします。
先週は下記手当額のうち「1.会社都合による解雇手当
を解説しました。
1.会社都合による解雇手当
2.退職金
3.未消化有給休暇
4.未払給与
5.その他会社が社員に負う債務
今週は「2.退職金」について触れたいと思います。
退職金はPayment of Gratuity Act, 1972)に定めがあり、1948年工場法上の「工場」に該当する企業、または10人以上の被雇用者が現に労働しているか、過去12ヶ月間のいずれかの日において労働していた事務所、店舗において、5年以上継続して勤務した被雇用者が対象になります。仮に従業員が事故または疾病により、死亡あるいは就業不能の障害を負ったことで退職する場合、勤続年数は問われないとされています。
さて、前回の会社都合による解雇手当がワークマンのみ対象だったのに対し、退職金はワークマン、ノンワークマン(詳細は先週のブログを参照ください)を問わず対象となります。また、会社側の解雇のみならず、自主退職する社員に対しても要件を満たす限り、適用となります。
ただし、法律および雇用契約書、就業規則が定める即時解雇事由(器物破損、セクハラ、パワハラ、窃盗、暴行など)に該当する場合、従業員に受給資格はありません。
さて肝心の支給金額ですが、月額基本給×15/26(日)×勤続年数で算出できます。
ここでいう月額基本給とは月額のBasic SalaryとDAを足したものになります。DAとはDearness Allowanceの略語で、物価調整手当額を指します。日系企業でDAを支給しているケースは稀なので、月額Basic Salaryとの認識で問題ありません。
少し脱線しますが、給与設計上のアドバイスを一つ・・・・
退職金計算ではGross SalaryではなくBasic Salaryに係数を乗じるという点に注目してください。
Basic Salaryは一般的にGross Salaryの40~50%に設定すべきというガイドラインがありますが、会社の裁量で60%にしている企業もあれば、35%とする企業もあります。Gross Salaryを高く設定する企業は退職金を多く支払うことになり、コスト高になります。ちなみに勤続年数が5年を超えた社員に関しては毎年の会計年度末に退職金の引当計上が必要です。
高い比率のBasic Salaryにより、従業員の福利厚生を厚くするとの考え方も出来なくないですが、
退職金の計算式を把握している社員は少なく、Gross Salary内の給与科目の内訳でBasic Salaryを何%に設定するかという話なので、Gross Salaryの総額のみに関心がある従業員は、会社の愛を理解することなく退職してしまうでしょう(笑)
従って、基本的にBasic SalaryはGross Salaryの40%に設定すればよいかと思います。ちなみにインドの給与設計は日本の積み上げ方式と異なり、総額からのBreak up方式であることが、この話の背景にあります。
話を計算式に戻しまして、勤続年数は1年のうち6か月以上働いた年のみを1年とカウントします。
逆に言えば、4年と10か月働いた社員が過去全ての年において6か月以上勤続した場合は、受給資格があるということになるのでご留意ください。
今週は以上です。
Tokyo Consulting Firm Private Limited
チェンナイマネージャー
中村 匠吾(なかむら しょうご)
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