皆さん、こんにちは。
チェンナイ駐在員の中村です。
今週はお客様から寄せられた質問に回答したいと思います。
【質問】
インド現地法人の業績が振るわず、本社より人員削減の指示が出ました。
そこで、スタッフレベルのインド人従業員数名の解雇を検討していますが、解雇の際に気を付けることはありますでしょうか。また、当該従業員に付与すべき手当額はどうやって決めればいいでしょうか。
【回答】
今回のケースでは、会社側が当該社員に支払うべき給与および手当として下記を考慮する必要があります。
1.会社都合による解雇手当
2.退職金
3.未消化有給休暇
4.未払給与
5.その他会社が社員に負う債務
今週はこの中で1に触れたいと思います。2以降は次週のブログをご確認ください。
なお、不正行為や就業規則、雇用契約書の定める解雇事由に該当する行為に基づき、社員を解雇する場合、1は不要です。ではさっそく・・・
会社の組織改革、業績不振、会社清算による人員削減は「会社都合の解雇」ということになり、Industrial Disputes Act, 1947 Section25(※1)が定めるRetrenchment Compensation (会社都合による社員解雇に係る法定手当額)を付与することが義務付けられています。同条はWorkmanのみが受給対象となりますが、今回はスタッフレベルの従業員とのことなので、Workmanに該当すると考えられます。
補足になりますが、インド労働法では被雇用者がWorkmanとNon Workmanに分類されており、Workmanは法令による手厚い保護を受ける一方、Non Workmanは使用者と対等の当事者関係に近い立場にある者として保護は限定的です。Workmanは「手作業的、非熟練的もしくは熟練的、技術的、作業的、事務的または監督的業務のために雇用された者のなかで、下記要件のうちいずれか一つでも満たすものを除いた者と定義されます。
・経営的または管理者的立場にある者
・月額賃金が10,000ルピーを超えており、監督的立場にある者
・空軍・陸軍・海軍に所属する者
・警察または刑務所で雇用されている者
さて話を戻しまして、手当額は下記計算式で算出できます。
(勤続年数)×15(日)÷26(※1か月を26日の勤務日とみなす)×(月割CTC)
ちなみにCTCとは、Cost To Companyの頭文字を取ったもので、(会社の)社員に対するコストを表すインド所得税法上の考え方になります。大枠の構成は、給与総支給額(Gross Salary)、一時金(ボーナスなど)、会社負担分(社会保険料)となり、併せて CTC と考えます。一般的にCTCというと年間で社員にかかるコストを指しますが、ここではそれを12等分した月額CTCを用います。
今週は以上です。
Tokyo Consulting Firm Private Limited
チェンナイマネージャー
中村 匠吾(なかむら しょうご)
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