東京コンサルティンググループインド拠点の加部 新です。
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「SEPによるTDS控除義務の発生」についてお話していこうと思います。
SEPによるTDS控除義務の発生
本記事ではインドにおけるSEP(Significant Economic Presence)の概念に関してご説明いたします。
通常、非居住者がインド居住者に商品を輸出した場合、税務上インド居住者でなく、インドに恒久的施設(PE)を有していないので、TDS(源泉徴収税)が控除されることはありません。
しかし、非居住者の売主がインドにPEを有していない場合であっても、商品の輸出対するTDS控除が適用されるケースが存在します。
それが今回ご説明させて頂くSEPです。
従来、企業は通常、その国内に物理的な拠点(事業所、支店など)を持っている場合にのみ、その国で課税の対象とされてきました。
しかし、テクノロジー革命により、企業は物理的な拠点を持たずに、インターネットを通じて様々な国々でビジネスを行うことが可能になりました。
これにより、一部の企業は収益を国際的に移転させることで課税を回避し、国ごとの税収の減少が問題となっていました。
SEPはこのような課税回避を防ぐために”Explanation 2A to Section 9(1) of the Income Tax Act, 1961”として導入された概念です。
これは以下の条件いずれかを満たした場合、”business connection”を確立したとみなされます。
・収益条件:非居住者によって行われる商品、サービス、財産に関する取引(インド国内の個人のデータまたはソフトウェアのダウンロードの提供を含む)が1会計年度おいて2,000万ルピーを超えること
・ユーザー条件:インド国内ユーザーに対するビジネス活動の勧誘またはインド国内ユーザーとのやりとりへの関与が、30万ユーザーを上回ること
まとめると、仮に非居住者がインド居住者へ商品を輸出した場合、上記の収益条件またはユーザー条件を満たすのであれば、SEPの概念による”business connection”を確立したとみなされます。
その結果、収益支払者のインド法人に対して40%の税率でTDSを控除する義務が発生します。
SEPのような国際的な税制はルールの見直しや調整がされていますが、依然として複雑な点が多いので専門家によるアドバイスを受けることをお勧めします。他インドに関して気になる点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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