インド国家労働・雇用政策「Shram Shakti Niti 2025」草案の動向と意義


皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループインド拠点の北岡 光里です!

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さて、今回は「インド国家労働・雇用政策「Shram Shakti Niti 2025」草案の動向と意義」についてお話していこうと思います。

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インド国家労働・雇用政策「Shram Shakti Niti 2025」草案の動向と意義

 

概要

 インド労働雇用省(Ministry of Labour and Employment, MoLE)は2025年10月8日、国家労働・雇用政策「Shram Shakti Niti 2025(国家労働力強化政策)」の草案を発表し、10月27日まで一般から意見を募集しています。
 この政策は、インド政府の長期国家構想「Viksit Bharat@2047(先進国インド2047)」の実現に向け、労働市場の近代化と包摂的成長を支える包括的な青写真として策定されました。

 目的は、デジタル化やAIなどの技術革新、働き方の多様化、ギグワークや非正規雇用の拡大などに対応し、「公平・安全・包摂的で将来に強い労働生態系」を構築することにあります。
 政策は7つの戦略目標(Strategic Pillars)に基づいて構成されています。


ポイント

  1. 普遍的社会保障の拡充(Universal Social Security)
     全ての労働者に医療、年金、出産、障害、生命保険などの社会保障を提供する体制を確立します。EPFO、ESIC、e-Shramなどの制度を統合し、可搬性と包括性を強化します。
  2. 安全で健康的な職場の推進(Occupational Safety & Health)
     リスク評価に基づく労働安全衛生管理を推進し、デジタル報告制度を整備します。労働災害防止と遵法の容易化を両立させます。
  3. 雇用創出と技能マッチング(Employment Promotion & Skill Alignment)
     政府を「雇用促進者」と位置づけ、National Career Service(NCS)を中核とする**雇用デジタル基盤(Digital Public Infrastructure)**を整備します。AIによる職業照合やスキル認証を活用し、都市と地方の雇用格差を縮小します。
  4. 女性・若年層の就業促進(Inclusive Labour Participation)
     女性の労働参加率を2030年までに33%以上に引き上げることを目標とし、柔軟な就労制度や育児支援策を拡充します。若年層の技能教育とキャリア支援も強化します。
  5. 労働ガバナンスと遵法改革(Labour Governance & Compliance Reform)
     労働法の簡素化と統合監督制度の導入を進め、企業のコンプライアンスコストを削減します。リスクベース監査とワンストップ電子申告を推進し、「透明・効率的・予測可能」な労働行政を確立します。
  6. 労働データ統合とデジタル変革(Integrated Labour Stack)
     EPFO、ESIC、NCS、e-Shramなどの主要データベースを統合し、オープンAPIと多言語対応を備えた「Labour Stack」を構築します。政策立案・監視・評価をデータ駆動型に転換します。
  7. 地方分権的実施と成果モニタリング(Decentralised Governance & MEL Framework)
     国家・州・地区の三層構造で政策を展開し、Monitoring, Evaluation and Learning(MEL)枠組みに基づき、成果を定期的に測定・改善します。

まとめ

 Shram Shakti Niti 2025は、インドの労働行政を「監督・規制中心」から「サービス提供中心」へと転換する試みです。ILOの「ディーセント・ワーク」理念とインド憲法の社会正義原則を基礎とし、2019年賃金コードや2020年労働安全衛生コードなど既存法制の運用を統合・近代化する橋渡し政策として位置づけられます。

 最終政策はパブリックコメントを経て策定され、段階的に実施される見込みです。企業にとっては、今後の労務・雇用制度改革への対応やデジタルコンプライアンス体制の整備が求められる局面となると言えるでしょう。

 本日は以上になります。

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