ロックダウンにおける解雇禁止の撤回から考えるインドの雇用形態

労務

皆さま、こんにちは。
デリー拠点の古川でございます。

ロックダウン延長に関する5月17日付の通達の中で、政府はロックダウン中の従業員への全額給与支払いと解雇禁止を義務付けていた命令を撤回しました。

 

政府はロックダウンにおける解雇や給与カットを避けるよう述べてきており、ロックダウン期間中においてもスタッフはOn duty とみなされ、3月29日付の通達で、給与の減額は原則禁止とされ、解雇につきましても、一切禁止となっておりました。

下記URLにあります3月29日付の通達にも、

“All the employers, be it in the Industry or in the shops and commercial establishments, shall make payment of wages of their workers, at their work places, on the due date, without any reduction, for the period their establishments are under closure during the lockdown”

と記述されております。
https://www.mha.gov.in/sites/default/files/MHA%20Order%20restricting%20movement%20of%20migrants%20and%20strict%20enforement%20of%20lockdown%20measures%20-%2029.03.2020_0.pdf

 

しかしながら、本通知が発表されるとすぐに、最高裁に多くの異議が申し立てられていたように、ロックダウン中の給与全額支払いの義務は、多くの企業から反対の声も上がっておりました。

5月17日付の通達で、これまでのロックダウンに関する措置は特に記載が無い場合は5月18日から効力を失うと記載されており、3月29日付の解雇禁止と給与減額に関する記載がないため、この義務付けが撤回されたということになります。

 

原文には、

“Whereas, save as otherwise provided in the guidelines annexed to this Order, all orders issued by NEC under Section 2(10)(I) of the Disaster Management Act, 2005 shall cease to have effect from 18.05.2020.”

とあります。

下記URLの1ページの3段落目に、上記記載がありますのでご参照ください。
https://www.mha.gov.in/sites/default/files/MHAOrderextension_1752020_0.pdf

 

しかしながら、インド労働環境上、ワークマンの解雇は困難にあります。

ワークマンとノンワークマンの違いにも留意し、個別ケース毎に労務規定面のチェックが必要となります。
ノンワークマンは契約の条件次第でワークマンと比べて、比較的容易に解雇が可能ではあります。

 

ここでインドにおける雇用形態について見直していきたいと思います。

インドにおける雇用形態は、大きくわけますと直接雇用と間接雇用があります。
直接雇用とは、会社と被雇用者の間で直接雇用契約を締結し雇用関係を生じさせる雇用形態となります。

直接雇用は

  1. 終身雇用
  2. 有期雇用
  3. パートタイマー等の非正規雇用

にわけることができます。
また、会社が直接雇用を行う場合、試用期間を設けられることが一般的となっています。

 

有期雇用は「1年間」など雇用期間を定めた雇用であるため、雇用契約の更新がなされない限り、雇用期間満了により雇用関係は終了することとなります。
上述のとおり、インドでは会社に直接雇用されている、いわゆる正社員であっても、有期雇用であることが珍しくありません。

インドでは、特にワークマンに属する被雇用者の解雇が困難であると言われており、雇用期間満了、契約不更新により、比較的容易に雇用関係を終了できるなどの会社にとってのメリットもあげることができます。

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